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本の備忘録

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16年前くらいから、読んだ本の備忘録として、それから未読の積読本も相当溜まっていたので重複して購入しないようにと、書評というには拙い内容をとつとつとブログで綴っていました。 6… もっと読む
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2022年2月の記事一覧

はずれのない作家

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2008年7月22日に投稿したブログより。 小粒ながら、冴えないモテない男女の短編を描いたらピカ一のこの作家。 いつも楽しく読んでおります。 今回も期待を外さずに定番路線の短編集。 この調子で書き続けてくれたら、近い将来何か賞でも獲って注目されること間違いなしか? サラッと読めてクスッと笑える。 もともとは珍しい版元から新書版で出ていた佳作です。 今日

サルでも解けるミステリー

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2008年11月10日に投稿したブログより。 ああ、あのユーモアはもう味わえないのだろうか。 正直、昔の荻原浩の作品が好きでした。 まあ、色々なジャンルを書いているようだから、また戻ってくれるかもしれませんが。 読禁法が個人的に施行されてから読んだ最初の一冊。 禁止された際は併読中だったということでご勘弁を。 それでも相当ペースダウンしています。 サルに言

お姉さんへの憧れ小説

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2006年5月20日に投稿したブログより。 薄い本だったので、あっという間に読了。 タイトルに書いたとおり、少年たちのお姉さんへの憧憬を交えた青春小説の佳作です。 ただ、単なる憧れのお姉さんではなかったことが、この小説のポイントです。 毎度信頼を置いている小説すばる新人賞の受賞作。 いまだにハズレなしですわ。 ただ、ネタバレ覚悟で述べますと、ネットを使い慣

好きな作家の殺し屋小説

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2007年7月18日に投稿したブログより。 久々の伊坂幸太郎。 文庫化に際して購入。 殺し屋たちが主人公なので、当然人が死んでいきます。 解説にも書いてありましたけれども、いろいろな描写を試して、少し残酷なものとかも取り入れたのでしょうか。 でも最初の数行からして、いつもの伊坂節は健在でした。 耳障りのいい会話の応酬に、クールな小道具たち。 別に今更私

最後の武士の生き様

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2007年7月18日に投稿したブログより。 貧乏神や疫病神、死神などを擬人化して、ユーモラスに描いている時代小説ですが、そのユーモアの根底には、幕末の倦んだ世の中や武家社会の腐敗に対する痛烈な皮肉を感じます。 まあ、結局それが現代社会を皮肉っているわけでもあるのですけども。 これは確かに映画化しやすそうですね。 読んでいて確かに妻夫木クンのイメージも沸きやす

職人の矜持がここに

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2010年2月18日に投稿したブログより。 自分の道を極めんと全てを投げ打って注ぎ込んだ男の物語。 虎徹。 有名な刀鍛冶のお話です。 この作家、己を賭けてモノづくりをする職人を描かせたら天下一品。 例えば、作中の次のようなエピソード。 主人公の叔父の錠前作りの職人が、陰謀に巻き込まれて死罪の憂き目にあいます。 処刑直前に、その実直で潔い姿勢から、処刑の

正常と異常の境界とは

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2008年8月11日に投稿したブログより。 精神病院のお話。 新しく着任した医師の担当するやっかいな患者である少女の症状は、果たして分裂症なのか、それとも境界例なのか。判断を下そうとした医師に、同病院の臨床心理士は解離性同一性障害、つまり多重人格の疑いがあるのではないかと言い出す。 ダニエル・キースによって日本でもブームになった多重人格の扱いに対して、極めて懐

ベテラン作家の新たなステージ

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2008年8月24日に投稿したブログより。 最近の自分は何かに急いているのだろうか。 前に読んだシリーズものの時代小説もそうだったのですが、今回も何だかテンポの遅さに少々苛立ちを感じてしまいました。 大好きなシミタツ初の長編時代小説。 仕事も特に出来るわけでもなく、剣の達人でもない、何の変哲もない侍の次男坊が主人公。 まあ、苛立ってしまったのは、おそらく最

本屋さん好き必読

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2008年8月27日に投稿したブログより。 これはシリーズ化しそうな感じですねー。 ありそうでなかった、元書店員が書いた書店ミステリーの連作集。 出てくる登場人物も分かりやすくていいし、ミステリーあり、恋物語ありとシリーズ化する要素はきちっと揃っております。 ちょっと強引な話もあったので、星は一つ引いてみましたが、本や本屋さんが好きな人には是非オススメしたい

極上の和製ファンタジー

週末や祝日は、過去の読書ブログからの転記が多くなってしまいますが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。 2008年8月10日に投稿したブログより。 鹿の王も映像化しますね。 正直ハリーポッターは読んではいませんが、このシリーズの面白さを超えているとは思えません。 守り人シリーズ。 今回はタイトルに守り人を冠していません。 ということで、主人公は皇太子チャグムになります。 異世界との交流だけでなく、異なる階級、異なる文化との交流がテーマになっているようです。