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梨さんの『瘤シリーズ』を関連させて考察してみる

『瘤談』『瘤告』『瘤報』の3作品の考察・感想記事を書いてきましたが……
『瘤』と名のつくこれらが、繋がりのあるストーリーなんじゃないかと踏んで、色々妄想していきたいと思います。

ネタバレ全開でいきますので、梨さんの書かれた作品自体を読んでない方は、まずは読んできてくださいね。👇

3つ全部読むならBOOTHの『瘤話』です。
臨場感味わいたいなら『瘤報』はパソコンで[relive]版をどうぞ。



ちなみに前の記事↓


◆各話の時系列


☆2021年5月2日に公開された『瘤話』を参考にして各話の主な出来事を書き出しています。
長いので、確認したい時だけ見てください。

《『瘤報』の出来事》

〜2000年頃〜
・90年代後半に自殺した女性の「瘤報」というファイルの噂が出回る。
・[20000503.txt]の人自殺(1人目)
・[20000505.txt]の人自殺(2人目)
・[20000507.txt]の人自殺(3人目)
・5月8日[業報.pdf]の語り手が「瘤報」を手に入れる。
・茶髪の女が、語り手の目の前で自殺し続ける。
・語り手男性が自殺に失敗し両手を失う。

約20年間「瘤報」を次に繋げられず留め置く。

〜2021年〜
・語り手男性が梨氏に「瘤報」を引き継ぐ。
さらに[業報.pdf]や遺書の書き起こし、自殺の手伝いをしてもらう。
(4人目)


《『瘤告』の出来事》

〜2013年〜
・5月  叶結依が ODで搬送(19歳?)
・6月〜カウンセリング開始 
・10/20 解離性体験尺度の検査
・10/24   言語連想検査
〜2014年〜
・1月3日 (カウンセラーにより?)『報告』書かれる

2021年頃まで空白

〜2021年〜
・何者かが『誣告』を書く
・1月17日  叶結依、首を括って自殺


《『瘤談』の出来事》+その後

〜2020年〜
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・11月頭 茶髪の女が公民館前で目撃される→帰り際に貼り紙をしたか?
・11月頭(おそらく茶髪の女が)地蔵尊に丸石を供える。
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・11月頭  四津さん貼り紙を見かけ、女の夢を見るようになる。
↓(10日後くらい)
・11月中旬 四津さん、梨氏に相談。↓(3日後くらい)
・梨氏、貼り紙を探しに行き、男の顔写真が貼られた石を見つけ持ち帰る。
四津さんに報告し、石を預ける。

・四津さんと連絡が取れないが、取材を続ける梨氏。地蔵尊に行く。

・12月中旬 四津さんからメール。
拾った石を高名な寺に預け、祈祷を一緒に受けようという誘い。
異変を感じとり断りを入れる梨氏。
・貼り紙についての積極的な取材はやめる。

・12月28日 四津さんからメール家のポストに入っていたという紙の文面を梨氏に提供。
・12月29日 地蔵尊近くの掲示板前に不審な女性の目撃情報

〜2021年〜
・1月2日 福岡県内のある神社の賽銭箱の上に奇妙な石が転がっていた、という目撃情報
・1月4日 (石が)増えていた、という目撃情報
・1月17日 noteにて『瘤談』を初公開(叶結依の死亡日と同日)
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・3月11日 ネップリで『瘤告』公開
・4月9日 どっとうpろだ『瘤報』公開
([業報.pdf]の語り手の死亡日の翌日)
・4月9日 (石が)なくなっていた、という目撃情報。
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◆重要人物と概要

ここから先は、私の頭の中で組み立てられた妄想を元に、こねくり回された考察となります。
一個人の見解だと留意の上、お読みください!
それでは参りますよ〜

___

まず、最初に提示しておきますね。

この3作品の軸は、”とある家族の呪い呪われのお話”だと、私は考えました。

”とある家族”の成員は……

・父親……『瘤談』の写真の男、
『瘤報』の「あいつ」
・母親……『瘤報』の自殺女
・娘1……『瘤報』の「死んだ娘」、『瘤談』の夢の中の女
・娘2……『瘤談』の茶髪の女、
『瘤告』の叶結依

これを前提として、話を進めていきます。

◆3作品を通して何をしたかったのか?

細かい部分の「どうして?」は、取り敢えず放置します。
妄想の際限がないので収拾つかない……

ここでは辿り着いた結論だけ述べます。
______

この物語は、”家族に蔑ろにされた娘の復讐物語”です。

______

↓私の頭の中での”とある家族”は、ざっくりこんなイメージ。
実際にどうなのかは知りようがない。

・【娘1】は父親による虐待の末、自殺か虐待死。未就学児か。
のちに【娘2】の身体を乗っ取り、家族への復讐を行う。
・【母親】は子への愛情は薄い。なぜか
娘の死に際の記録方法にだけ固執。
自身も自殺する。
・【父親】は家族にそこまで愛情はなく【娘1】の死後、妻子を残して蒸発。
・【娘2】は、【娘1】の虐待を見てるだけだった。
父母もいなくなり、親戚の家に引き取られるも、そこも劣悪な環境だった。
オカルトに傾倒し【娘1】の霊魂を喚び出してしまう。



◉男への復讐

まずは父親への復讐の話からいきます。

①石の男のコラージュ画像
四津さんが作成した、石の男のコラージュ画像を思い出してください。
(『瘤談』参照)
なんか体が不自然な形でしたよね?
あれは「死後硬直が解けてぐだぐだになった死体」を表しています。

②賽銭箱の奇妙な石
そして、2021年1月2日に「福岡県内の或る神社の賽銭箱の上に奇妙な石が転がっていた」という目撃情報がありました。
最初に読んだ時は「奇妙な石=積んだ丸石」をイメージしてたんですが「神社で石を積むこと」は然程おかしくないと地蔵尊で会った地元の人は言ってましたよね。
たぶん賽銭箱に置かれた石は”男の顔写真が貼られた石”だったんじゃないでしょうか。

③『瘤告』で集められた10円玉
ネップリ印刷代の硬貨たちのことです。
梨さんのツイートによると、20円のプリント代で1749名の方が印刷したとのことなので、
(10円玉)2枚×1749名=3498枚
の硬貨が、上記の「福岡県内の或る神社の賽銭箱」に入れられたのだと思います。

・すると、どうなるか?
①〜③の条件を満たすと……
石の男を「棺(=賽銭箱)」に入れて

「死後硬直が解けてぐだぐだになった死体(=写真つきの石)」のまわりに

「丸石(=10円玉硬貨)」を敷き詰めることになります。

つまり、男の魂ごと神への願掛けに使おうとしたのでは……?

印刷した人たちは、いつの間にか当事者で、復讐に加担させられてますよ!
やられましたね!😉

何なら、日にち的に初詣に来た人たちの賽銭もカウントされてるかもしれないですね……
ううむ、なんと罰当たり……😣

・では、神様に何をお願いしたのか?
それは『瘤談』でさんざん言っていた
「わるいひとておもわればいい」
なんでしょうね。

もしかしたら『瘤談』のモチーフだといわれてる都市伝説『This Man』のようになってしまうのかも……?

・モチーフについては、こちらのツイートの画像に……↓
『その男』ってのが『This Man』のことですね。

・”地蔵尊の写真で見切れてた男の顔”とか、”多くの知人が「知っているような気がするんだけど、何で知っているのかが思い出せない」と言ってる”のは、まさに『This Man』だよね……

・そういえば、四津さんや梨氏が”例の男に似てる写真”を集められるということは、本物の男の顔を夢で見たということ?
もしかして「死んだ娘」の記憶を見せられたりしてるのか〜?😰


◉女への復讐

次は母親への復讐です。

・みなさん何の媒体で『瘤報』を読んだかはわからないですが、『瘤話』pdfのp.147の左上の文字がそこだけ「復讐」になってるのはご存知ですかね?

・あと『瘤報[relive]』の中の[業報.pdf]というファイルのサブジェクトも「復讐」になってます。


・これらから読み取るに「業報」の中に母親への復讐のヒントが仕込まれていると予想。

『瘤話』pdfで「復讐」と書かれたページは、見開きでp.146とp.147が該当するとして、そこに書いてある何かが「復讐」のはず。

①「瘤報が消えるわけないじゃないですか」
語り手男性の、このセリフ。
これが全てだと思います。

考えてみてください。
「瘤報」が消えない限り、母親はずっと自殺し続けるループ
に陥ってるんですよ。
これ以上ない苦しみ方じゃないですか?

「瘤報」を確実に消さない方法。
それは拡散し続けることです。

ほら、また我々は復讐に加担させられている😇

②隠しファイルの[escaped.jpg]

みなさん、見てみました?
[瘤報.wav]から抽出する、例の隠し画像。
たぶん、これが母親の顔写真なんだと思います。

p.147で「フォーマットを変換した」と言及されてますので、我々は厳密には元の「瘤報」を聞いてはいないんですよね。
たとえば、何か変更が加えられていてもわからない。

そして、[瘤報.wav]に[escaped.jpg]を仕込んだのは、おそらく梨氏。

この画像ファイル、中身とサムネイルが違うんですよね〜
みなさんのツイート上では、このサムネの茶色いのは「木目」なんじゃないか……という意見がチラホラあったので、やっぱりそうなのかな〜、と。

たとえば「賽銭箱」の木目のアップ画像とか……?
母親はそこから”逃げ出した”から「escaped」なんでしょうかね。

まあ、代わりに永遠に近い苦しみを味わうことになりそうだけど……


◉姉妹への復讐

最後に、「死んだ娘」の姉妹であろう結依への復讐です。

・1月4日に(神社の石が)増えていた、という目撃情報がありましたよね。
何個増えたのかは言及されてなかったものの、たぶん1個か2個かな。
結依と母親の分。
父親と一緒に「棺桶」に入ったんでしょう。(母親は後に[escaped.jpg]で逃げ出してますけど)

・あと『瘤告』がネップリ公開されてたときの跡地に書いてある「みんな死にます。」の「みんな」って一家全員のことか……?

・どっとうpろだに『瘤報』が公開された、4月9日に「(神社の石が)なくなっていた」というのは、「棺桶」に落とされたのか、神様に受理されたのか……


✢まとまりきらなかった考察要素など

ここからは、いっぱい考えたけど消化しきれず残ったものたちです。
上記の考察に書けなかった補足や諸々もついでに書いていきます。
_____

《母親の態度のおかしさについて》

・「録音だけじゃだめなんです、誰がどういう風になるのかどういう風になったのかをちゃんと書かないといけない」って死後もこだわってるけど、本当何なんだろう……?強迫観念が強すぎるよね。

こじつけるとしたら、『瘤報』が「青い鯨」をモチーフとしてるらしいので、何かしらの洗脳状態にあり、「自殺の前後の様子を克明に記さなければならない」とか命じられてた?

《街中に現れた不審な茶髪女性は誰?》
・結依です。
厳密にいえば結依の身体を利用している「死んだ娘」です。
・貼り紙したり、石を供えたりと動き回っていたのも結依の身体を使ってる「死んだ娘」。
そしてそのまま、四津さんの夢の中にも出演。

身体は成人女性なのに、喋り方が「幼い、言葉を覚えたて」みたいなのは中身が子供だから。
四津さんの「そりゃあ小さいときの記憶だから、多少は雑になっちゃっても仕方ない」は、「死んだ娘」のことを言っている。
結依は小さい頃の記憶はなくしてるはずなので。

《「誣告」を書いたのは誰?》
・結依の中にいる”別の結依”です。
7歳のときに急に活発になったのは、そこで別人格と入れ替わったから。
・作中で「叶結依」として語られる人物は、”作られた人格”の方。
そんで”元の結依”は通常は引っ込んでいて、たまに出てくる。
結依が知らぬ間に色々やってるのはそのせいで、「誣告」を書いたのは”元の結依”。

・自分の身体を明け渡してる人格が、しょうもない感じだから「誣告」での口調に嫌悪感が滲み出たのかな……と。

・あとは、「死んだ娘」の霊魂なんて本当はいなくて、結依が幼少期に姉妹を救えなかった自責の念で作り出してしまった人格かも……とかも考えたけど収拾つかなくなった。
本当に幽霊がいるのか、ただの病気による幻覚幻聴なのかなんて、傍から見たらわからないのよね……

《結依の生い立ち》
・この子、あまり良い家庭環境で育ってなさそうだな〜、というのが真っ先に感じたこと。
常習的にODや自傷行為をしてるのは、境界性パーソナリティ障害から来てるのかな……
・トラウマの単語で「ちちおや」は虐待を想像するし、「がっこう」も周りから浮いてたことを指していそう。
・幼稚園年長〜小1にかけての「選択性緘黙」の時期が、計算してみるとちょうど2000年あたりになる。
”姉妹や母親が自殺するなどしてのショックから緘黙になったのか”、とか”父親による虐待によるものか”とか考えたけど、緘黙症はそういった原因ではならないみたい。どちらかというとPTSD。

《石堂丸物語との関連》
・作中で出てきた地蔵尊の伝説……の続き。「苅萱」で検索すると出てくる。

「顔も知らない父親を探す息子」とか「妻子を残して出家」とか「息子以外の家族は死んでしまう」とか……フレーバーとして使われてそうな気はする。

このへんから、【父親】はさっさと逃げてそうだと思った。

・石堂丸物語では、正室と側室の確執とかも語られてるから、娘たちは異母姉妹の可能性も……とか色々考えたけど複雑になりすぎるので放りました。

《父親探しが目的なのか?》

・四津さんが「夢の中の女」の父親を探してあげようムーブをしてましたけど、たぶんそこはもう彼女的にはどうでもいいのかな、と。
・貼り紙の時点で、「この男を探してます」じゃなくて「この男は、こんな酷いやつです」ってアピールしたかったんじゃないかと感じました。

・あと、男のコラージュ画像のファイル名が「オニシバリイシ」って出るんですが。
あの地蔵尊の近くにある博多の住吉神社に「鬼縛り石」というものがあるんですね。
追儺の祭で鬼を捕まえて、その石に縛り付けるらしいんです。

【父親】を鬼に見立てて”石に縛り付け”晒し者にする……
テープで貼り付けられてた顔写真付き石は「鬼縛り石」のつもりだったのかも。

《タイトルについてる『瘤』の字》

調べた中で興味深い意味合いのものは↓

✻ ひもの結び目
✻ 自由な行動のさまたげになるもの、やっかいなもののたとえ。
多く、子供をいう。

「ひもの結び目」からは、結依の名前や「おまじない」を連想するし、親に蔑ろにされていた娘たちは「やっかいな」存在として雑に扱われたんだろうなというのが想像できる。


◉『瘤話』が公開された意味

・これまでの限定公開を含む3作品をまとめて公開した『瘤話』。
note版と『瘤話』版で『瘤談』に、一部違いがあるんです。

○note版『瘤談』
[ずうと あたまおさがらせたけども]の段にある「ここに掲載していた写真は消去しました」というような御詫び文。

●『瘤話』版『瘤談』
p.18
「[筆者註]ご冥福をお祈り申し上げます。」に変更。

●『瘤話』版『瘤談』
p.60 
「4月9日、なくなっていたときも」と、石が無くなったことが付け足されている。

・4月9日に『瘤報』が公開され、その日以降に起こった出来事を公表できるのは、SNSか5月2日に公開された『瘤話』しかないんですよね。

・では、4月9日から5月2日の間に何があったか?
おそらく、”神社から石が無くなり儀式が完了した”ことでしょう。

だから梨氏は、「男の顔写真付きの石」が貼ってあっただろうスペースに「ご冥福をお祈りします」と一言添えた。

・あと、『瘤話』のクレジット表記の後のページ。
一番最後に真っ白なページが1枚あるんですが……
ここに「もう全部手遅れです」という隠しメッセージがあります。

また、『瘤話』pdfのサブジェクトは「餌」

つまり、『瘤話』という「餌」でおびき寄せられ、復讐の儀式に加担させられたホラー愛好者である我々への梨さんからの「おつかれさま」のメッセージなのかな……って。


____

以上です!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
分からないところは分からないままですけど、嫌成分はたくさん抽出できたかと思います!😊


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