![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116320459/rectangle_large_type_2_47f5800cde9b40e37e8b834415b34e56.jpeg?width=800)
梨さんのnote記事『瘤談』の感想
梨さんの作品で有名なこれ↓の感想を書いていきます。
ネタバレしてますので、未読の方は是非、先に作品を読んできてください。
イヤ〜な気分になれるよ😉
⇩
◆おおまかな流れ
梨氏が、知り合いのライターである「四津さん」から、ある相談を受ける。
福岡県のとある町で、変な貼り紙を見てから、ずっと毎日同じ夢を見続けているというのだ。
要約すると……
四津さんは、見知らぬ真っ暗な部屋で椅子に座っている。
そして目の前にも椅子があり、その上には長ズボンを履いた誰かが立っている。
暗くて顔は見えないが、舌っ足らずな若い女性の声で誰かを責め立てている声がする。
という内容。
↓
四津さんの心を軽くするために、貼り紙を見たという現地に行ってみることにした梨氏。
↓
話にあった公民館まで行ってみるものの、例の貼り紙は無くなっていた。
しかし、掲示板の下にテープをベタベタ貼られた平たくて丸い大きな石を発見。
その石には、「無表情の成人男性」が白黒印刷された小さな紙がテープで執拗に貼り付けられていた。
これが、四津さんが見た貼り紙の不自然な空白部分に貼られていたのではないかと推測。
↓
近所の人から、「不審な若い女性が掲示板の前に立っていたことがある」という情報を聞き、帰途につく。
↓
帰りの道中、拾った丸石の撮影をしているときに、写真の男の顔が笑って、喋りだすという怪奇現象に見舞われる。
四津さんに、直接会って報告がしたいと電話をし、その日にアポイントを取る。
↓
喫茶店で、梨氏の一連の報告を聞いた四津さんからも2つ話があった。
・1つ目は、夢の中の女性の詳細が分かってきたということ。
その女性は、梨氏が拾ってきた石の男の顔と同じ写真を拡大コピーしたものを、お面代わりに顔に貼り付けていたという。
・2つ目は、梨氏が先程電話をかけてきた時、「男の人にしては甲高くて、鼻にかかった声」が笑ってるのが電話口で聞こえていたということ。
梨氏が怪奇現象に見舞われたときの男の声と特徴が一致。
また、電話していたときは梨氏のそばに誰も居なかった。
↓
石は四津さんが引き取り、お祓いなり何なりに持っていくことになった。
↓
そこから暫く、四津さんには電話もメールも繋がらなくなったが、梨氏は独自に調べ物を続けた。
・1つ目は、「写真の男性は誰なのか?」
→あの地域周辺に住む知り合いにメールやLINEで聞いてみた。
すると、29名中24名の人から「知っているような気がするんだけど、何で知っているのかが思い出せない」という解答を得た。
・2つ目は、「あの石にはどんな意味があるのか?」
→民間呪術に詳しい知人に聞いてみたが、”顔写真を石に貼り付ける”というものは聞いたことがないという。
しかし、願掛けやおまじないに石を使うという事例は数多くあるらしい。
↓
その話つながりで、福岡県に”命と石にまつわる伝説”が残る地蔵尊があるという話を聞くことができた。
梨氏が、その地蔵尊に行ってみると、数週間前に「丸石を積み上げた奇妙なお供えがされていた」という話を聞く。
↓
12月の下旬に、四津さんからメールが届く。
内容は……
風邪をひいて休養していたため、梨氏からの連絡に返信ができなかったことへの詫び。
また、石のことを高名な寺に相談したところ、梨氏も一緒に祈祷を受けたほうが良いので、予定の空いている日時を教えて欲しい旨が書かれていた。
梨氏は、メール文面から何か違和感を感じ取り、一緒には行けなさそうだから「相談したという高名な寺」の場所を教えて欲しいと、うまく聞き出す。
すると、教えられた場所は、先日見に行ったあの小さな地蔵尊の住所であった……
↓
何か問題があったら、その時に対応するからと、祈祷の申し出を断り、それからは「貼り紙についてのあれこれ」を調べることもやめた梨氏。
積極的な関わりを持たないようにしていたが……
四津さん(と夢の中の女性)の希望により、今回『瘤談』として記事にして発表した。
◆感想
・今回も、情景が脳内にしっかりと細かく再生されるような、巧みな描写でしたね。
作中の人物の追体験をしてる気分になる。
・四津さんのメールのあたりから、怒涛の展開でウワァ〜って言いっぱなし(笑)
四津さん、すっかり「夢の中の女」さんに協力的になってるし、「声がくぐもってて聞きにくい」のは、女と同じくお面(仮)つけてるからなんでしょ……😭
この一言で想像出来ちゃうってすごいよね。
・怪奇現象の理由がはっきり明示されないまま、四津さんの様子がおかしくなり、最終的に梨氏まで巻き込まれたことが示唆されて、ウワ〜って気分になりました。
◆ゾワッとしたポイント
本格的な考察は、すでに先人がやってらっしゃるので……
ここでは、個人的にゾワッとしたところを述べようと思います。
◯公開日について
2020.11 四津さんから相談を受ける
2020.12 四津さんの様子がおかしくなり、調べることをやめる。
2021.1.17 梨氏『瘤談』をnoteで公開
これ、事が起こって公開まで、2ヶ月ちょっとの間の出来事なんですよね……
当時、出来立てホヤホヤで公開されてたと考えると薄ら寒くなる😣
◯異様な目次ページ
目次ページを最初見た時、平仮名で書かれた何かの文章みたいに感じましたよね。
たぶん、それで合ってるんですよね。
12月になって、「夢の中の女」さんに肩入れしまくりの四津さんからのメールでお願いされてたことがコレなんでしょう……
「別にどういう媒体でやってもらっても良いんだけど、何個か前に送った文章に関しては、もし載せるなら最初のほうに載せてくれないかな。」
これ以上ない「最初のほう」だわ。
たぶん、四津さんが見た貼り紙や、夢の中で聞いたのはコレなんだろうなぁ……
・「※この記事内に登場する人名などは、一部を除き仮名にしています。」
そういえば、冒頭にこう書いてあったけど、人名らしい人名は「四津」「梨」「加藤」だけだったよね。
「加藤」さんは歴史上の人物だし、「梨」さんは語り手だし……
仮名なのは「四津」さんかぁ〜
12月のメールで抜けてる部分が「4通目」で、おそらく一番広めたい文章だったから、それを強調しての名前なのかな。
◯拾った石のサイズ
石を貼った台紙側の貼り紙の特徴↓
「横置きの葉書一枚ぐらいなら入るかなってぐらいは、空白があった。元々何か、それこそ葉書サイズのものが貼ってあったのか、意図的に開けてた空白なのかは、分かんないんだけど」
梨氏が拾った石の特徴↓
丸くて平たい形状の、つまりは円盤や硬貨のようなかたちです。大人が片手で、ぎりぎり握り込めないくらいの大きさだったと思います。
この、大人がギリギリ握り込めないサイズの平たくて重い物……
つまりは、読者がこれを読んでる「スマートフォン」を「拾った丸石」に見立てさせてるんじゃないかという考察を見てヒョエっとなった……😖
呪いが、こちらにも、振り撒かれている!
しかも石について、「神様に何かをお願いするときの捧げものの代替」とか「石を生命、いわゆる贄に置き換えて、それを奉納する」とかいう記述あるんですけど……?
「スマホ=石」で「贄」とはつまり……😇
◯女が探している男の正体は?
・地蔵尊の伝説もモチーフとして使われていて、”女が探している男は、父親なのではないか?”という説もあるようですね。
・梨氏が近隣住民から聞いた不審な女性=「夢の中の女」だとして。
・二十代ぐらいの女
・手入れをしてない茶色の短髪
・「そんなんじゃ貼られてるものも見えないでしょってぐらいに顔近づけて」掲示板前に長時間立っていた。
・やけに大きな、黒いボストンバッグを所持。傍目に見ても重たそうな感じで膨らんでいた。
「掲示板のガラスに顔を近づけてる」
→自分の顔から、父親の面影を探そうとしてる?
「重そうに膨らむボストンバッグ」
→地蔵尊に供える丸石を沢山持参?
・地蔵尊の伝説はざっくり説明すると、自分が生まれる前に出家してしまった父親を探す息子の物語。
父親は、自分の息子だと知りながらも、生涯打ち明けることはなかったとか……
ここから転じて、「父親を探す娘」の物語となった?
◯男の顔写真
記事中の、博多の地蔵尊の写真の1枚目に「女が探してる男」らしき顔が見切れて写ってます……
写真の右上。
駐車場に停まってる白い車の上の方。
男の右耳あたりが写ってます。
白黒なので初見では分からなかったけど、見つけたときは心臓に悪かったですね😅
○注意書きの意味
・本文の最後に書かれている注意書きの文章です。
※記事内の表現や表記については、一部意図的に変更を加えています。
※メールの添付画像に関しては、顔部分を筆者により改変しています。
(使用画像: wikimedia commons)
こちらの方が似ていると判断したためです。
※当記事はCC BY-SA 3.0ライセンスにて公開します。
・クリエイティブ・コモンズ・ライセンスには詳しくないので検索しましたが……
作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使っていいよ」という意思表示をするためのツールだそうです。
そして注意書きにあった『CC BY-SA 3.0ライセンス』は、
【表示 - 継承(CC BY-SA)】
→BY(表示)にSA(継承)が加わったライセンス。
原作者のクレジット表示と、元の作品と同じCCライセンス(このライセンス)で公開することを主な条件に、改変や営利目的での二次利用も許可される。
また、作品を加工・編集など"改変"した場合、改変したという事を表示しなければならない。
→「夢の中の女」さんが「原作者」で、梨氏はこれを「改変」して記事を作成したから、「改変」部分を最後に明記しているということだよね。
「夢の中の女」さんはCCとか詳しくなさそうだけど……梨氏がライセンス表記してあげたのかな。
今後、もっと良い感じに似てる顔写真を見つけた誰かが「改変」しやすいように……
・あと調べてる中で、見つけた記述。
共有 — どのようなメディアやフォーマットでも資料を複製したり、再配布できます。
→これは、BOOTHで『瘤話』として、今作『瘤談』も一緒に頒布されてるのを思い出した。
”公開するメディアを変えて”、「複製、再配布」してもオッケーなルールだからですね。
◯最後にどデカい呪い?
・四津さんがおかしくなったあと、結局最後は梨氏も同様になってしまいましたよね?
これ
「みないことえ それわだめだあよ」
つまり
「見て見ぬ振り」はダメだと最初に言ってるんですよね。
四津さんのセリフでも、こんなニュアンスで認識してるし。↓
「あれを見ようとしないあなたにも原因はあるんです、ずっと知らない振りでいられると思わないでください、みたいな」
梨氏もこう言っている。↓
あまり深入りをしようとせずに、半ば「見て見ぬふり」をしてしまった部分は否定できません。
そして、この作品を読んで「結局どういうこと?わからん!」で考えをポイした読者も、同様に呪われるという仕組み。
読んだ時点で終わってますね〜
凶悪😇
⚪⚪⚪⚪⚪
さて、『瘤話』も読み直してくるか〜😌
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?