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0415 下北沢と服のお話

打ち合わせにきた。外は雨。
全身を紺色に包んで出かける。
ネイビーの傘。ローファー。靴下。袴を履いて。
淡いブルーの襟なしシャツの上には、紺の羽織。
頭にはadidasのハット。これまたブルー。

誰かに見せたい服なのか
自分を高めるための服なのか。
服と下北沢のお話


中学生の頃は剣道部だった。
その影響か和装をして出かけようとすると、母はいい顔をしなかった。恥ずかしいからやめなさい。
確かに田舎では袴に羽織は浮くのだ。

反抗して家を出る。

しかししばらく街を歩くと
「この服装は恥ずかしいのかもしれない」
周りとズレてるのかもしれない。
自分を高める服が誰かに見られて悲しくなった。


高校生
私服登校が許されたので服装は自由になった。
学ランを着なくてもいい。個性的な服がたくさんいた。好きな服を来ても浮かない!嬉しかった。

今思えば高校生だから出来る服ばかり。
水玉のカーディガン。派手な色のサルエルとか履いて。その時々で自分がいいと思った服を着る。
アニメやゲームに影響を受けた服を着てきたので、

かなりイタイ格好だったかもしれない。
授業中にコートを脱がなかったのはイタイ。

髪はビジュアル系など聞いた事もないのに、片方だけを以上に伸ばしたり。パーマを当てて怒られたり。変わった格好をすることでしか、自分の個性を見いだせなかったんだ。

人と違う。天邪鬼は褒め言葉だと思っていた。

20歳くらいのこと。
尊敬する俳優に出会ったときに「外側が個性的なやつは意外と大したことない」とバッサリ言っていた会話を聞いた。

そんな一言にまた振り回される。
ゴチャゴチャした服を捨てた。
黒色しか気無かった時期もある。
デニムなんか米国の労働者の履くものだなんて訳の分からない持論をもって頑なに履かなかった。

人と違うを目指している限り、物差しは他人だ。
誰よりも他人の目を気にしていた。


最近の私は今も服が好きだ。
なんならデニムを去年買った。お気に入りだ。
ピース又吉や滝藤賢一の服に関するインタビューとか読んで、好きな服を着るのが一番と知る。

そして下北沢に来て。私の和装で歩く。
たくさんの個性豊かな服装の人を見て、
この人たちも何周かして行き着いたのだろう。


事務所へ行くときに社長が「毎回ファッションが違うのとても素敵ね」と褒めてくれた。自分の物差しで服を着れるようになったのかもしれない。

前田隆成


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