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「プロダクトのことなら中川」と誰もが思う随一の知識は、顧客のために磨きぬいた提案力から

 カスタマーサクセスグループに所属する中川 佳は、新卒からずっと物流業界で仕事をしてきました。「多重下請け構造をなくす」。インタビュー中に何度かこの思いを口にする姿からは、強い意志が感じられます。「義理人情の世界の住人なので」と屈託のない笑顔でたちまち人の心を開く中川ですが、お客様の側に寄り添った姿勢はプロフェッショナルそのものです。そんな中川をつくった軌跡を聞いてきました。

パートナー物流DX事業部 カスタマーサクセスグループ
中川 佳 Kei Nakagawa
新卒で総合物流企業のトランコム株式会社に入社し配車業務に従事。業界課題である多重下請け構造について自身の問題意識として認識し、その解決策をサービス提供しているハコベル株式会社へ2019年に転身。一般配車サポート業務を経て現職。

「もっとお客様のためになりたい」。多重下請け構造をなくすことに着目して転職へ

—— 前職でも配車業務に従事していましたが、ハコベルに入社したのはどういう背景でしたか。

 前職ではちょうどハコベルの運送手配チームが行っているような、荷物を運んでほしい荷主様と、あとは空車のトラックを抱えている運送会社様を仲介させる配車業務を行ってました。また、その荷物の情報と空きトラックの情報という、どちらの情報の収集も電話で行っていたので、いまの物流DXの観点からするとユーザーさんに近い立場の業務を持っていました。

 仕事をするなかで私なりにわかってきたこととして、物流業界には特有のアナログさがあるということ。それと「義理と人情」のような感覚を重んじる世界観があるということでした。私も根本が体育会系気質の人間なので、「もっとお客様のためになりたい」という思いから始まって、その思いはだんだんと「この多重下請け構造が問題なんだな」という問題意識へと変わっていきました。

 このことを突き詰めていくと、「この工程のなかに自分がいない方がお客様のためになるんじゃないか」という思いにとらわれるようになり…。そうしたときに、配車業務だけではなくもっと広く、新しい経験を積みたい、積む必要性があるな、と思って就職活動をしました。物流は絶対に必要なものだなという漠然とした思いがあり、それを動かせる、自分の力で変えていくことができたら、なにか社会貢献になるんじゃないかな、と考えるようになったのです。


—— 中川さんが考える「もっとお客様のためになりたい」を突き詰めた結果なのですね。

 そうなんです。いろんな考え方の企業活動がありますが、「多重下請け構造」についてのスタンスが各社で違います。たとえばハコベルは多重下請け構造をなくしていくためのサービス構造ですが、他社は多重下請け構造を取り計らうことで顧客満足とする、みたいな違いを感じました。私は先ほどのとおり、仕事をしているうちに自分の役割、存在がない方がお客様のメリットになると思ってしまったので、やっぱりそこは「前職でお世話になった方々に還元したい」という強い思いが中心なんですよね。

 日々の仕事上での関わりは電話になるのでお顔は見えないけれど、やっぱりそのお声を毎日聞いているので、「この間助けてもらったから今度は私が助けよう」となったりとか、その逆もあったりして、それを絶対に裏切らない人たちが多い気がしています。私自身も新卒で前職に入ってお客様に育てていただいたという思いがとてもあるので、そういう方々に還元できたらいいな、と日々思いながら仕事をしています。

 そういう意味ではハコベルで現在、カスタマーサクセスの担当にしてもらって「すごいきっかけをもらえた」という気持ちですね。

—— 配車サポートを約1年、その後CSへ異動になりました。ここではどういった仕事内容になりますか。

 配車の枠を飛び出して、なにかいろんなことをやってみたいという思いを持っていましたので、お世話になった方々への還元もそうですし、かつお客様との距離も近くしたい、自分の領域をもっと拡げたい、などからもともとは営業へ異動の希望を出していました。結果としてSaaSのCSとしてSaaSチームの運用にあたることになったのですが、CSって半分は営業的要素がある仕事なので、いまはCSがすごく自分に合っているなと思っています。

 実際にお客様先へ訪問することもあるんですよ。ハコベルの配車管理という仕組みを導入していただくために、営業担当者と一緒に同行して「こういうふうにお使いになってはいかがでしょう?」という提案の部分から入らせてもらっています。

 こういう機能があります、というご紹介をはじめ、こういうデモ形式で使っていただくと多分便利になりますよ、というようなご紹介をする。あとは、導入が決まったお客様に対して操作説明や、アカウントのセットアップなどのオンボードと言われる部分を担当し、導入のサポート支援もしています。さらに、導入後もヘルスチェック的にしっかり問題なく稼働しているのか、リスクなどはないか、といったところをチェックすることをしていますので、導入前から導入後まですべて関わっているお仕事です。

営業要素を持ってバランスに配慮したコミュニケーションを大切にする


—— これまでお客様の力になりたいと願ってきた中川さん、実際に導入前後を丁寧に寄り添うことができているのですね。

 そうですね。あと、私自身が前職で配車業務をやっていた経験から、カタカナ用語やIT用語がわからなかったりシステムへの苦手意識というリアリティーがありますので、そこはとても配慮しています。「デジタル化」という言葉は絶対使わないようにしていたり、小難しく言わないように「簡単ですよね」という感じを大切にしています。シンプルに説明することをものすごく心掛けている。

 「こういうところにご苦労されていますよね」という思いで接しながら、馴染んだところの良さを残しながら、「こういうところを変えてみませんか?」という伝え方をするようにしていて、不慣れで戸惑っている方々にイチから変更するのか、という負担を感じさせない物の言い方に心を配っています。

 これらは提案力というものになるのかもしれません。ハコベルでは完全に「カスタマーサポートではなくカスタマーサクセス」ですから、営業要素もありお客様の業務の理解をしっかりとして、それに対して受身だけでなく自分から提案をする要素が強いのだと認識していますね。

—— お客様の要望にとても近い場所にいらっしゃることで、プロダクトとの関わりはどういう様子なのでしょうか。

 私は業界の解像度という観点で強みを持っていると思っていまして、現場の感覚に近い人間として意見を臆せず言うようにしています。システムについてはトンチンカンなことを言っている可能性がいまもあると思っていますが、自分ができる範囲のことは積極的にやろう!と決めています。

 最初は配車業務しか経験がなかったので、営業知識もなければ「対お客様」とのコミュニケーションも経験値がありませんでした。プロダクトの要望機能などを社内で伝える際も、お客様から言われるがままに伝えていたら、全部開発することはできないよ、ということになりますよね。ですから、そういうバランスに配慮したコミュニケーションのとり方は最初結構苦労しましたね。

 お客様にしても、いまやっていらっしゃる業務を効率的にするためにシステムを入れていただくわけですが、現在お客様がやっていらっしゃる業務が悪いわけではありませんよね。また、皆さんそこに誇りを持って行っています。ですから、そこを決して否定するような言い方はしません。「もちろん今までやっていらしたことは素晴らしいし、それをシステムを入れることによってさらに良くなるんですよ」という思いを感じ取っていただけることがとても大切です。こうしたことを1社ごとに意識してお伝えするようにしています。

—— お客様からしてみたらものすごく頼りになりますし、否定されないことで新しいものへのトライも円滑に進みそうです。

 あと、自分の扱っているプロダクトの理解は誰よりもしよう、と思って使い込んできました。それは多分配車業務時代からです。
  ちょっと自慢なんですけど(笑)、プロダクトはいったん開発が終わると、その後どういうふうに使われているかを追えなくなっていたりします。それを「実はこういうふうに使っていますよ」であるとか、「どういう機能開発がされたか」とか、「いまこういう機能あるんですよ」など、逆に私が教えることもあるぐらい、多分知識すごくあるんです!

 お客様へ使い方のご提案をするなかで、やっぱり事例がどんどん自分のなかに増えていきます。「こういう使い方があるな」、「こういうふうにこの前は使ったけど、こういう使い方もあるぞ」と、どんどんアップデートしていく。あとは新機能が開発された際には、「どういう機能なのかな?」と絶対確認するのも必須。当たり前ですけど、これはお客様にどう説明しようかな、とか考えていると知識がどんどん蓄積されていくんですよ。

ベンチャーゆえのスピード感に悩んだ日々。いまはそれすら楽しめる5年間の成長の軌跡


—— 中川さんのビジョンや勉強熱心な姿勢から、入社以来5年間はとても順調だったのでしょうね。

 いや!そんなことはないんです(笑)!やはり、すべてにおいてベンチャーゆえのスピード感には、ついていくのが必死でした。特に最初のころは。
 そのスピード感ゆえに、なにか方針や目標のような大きなテーマが変わるときには、最初はそのスピードについていけてなくて、心折れそうになっていました。けれどいつしか、そのスピード感を楽しめるようになっている自分に気がついて、慣れてきたっていうんですかね。楽しめるようになったときに、自分の成長スピードも上がっているな、というのを実感できましたけど。

 立ち上げから見ることができていたので、プロダククトって本当にお客様にとって良いのかな、と迷いながら仕事をしていた時期もあったのですが、現場担当のお客様がハコベルのファンになってくださったタイミングがあったのです。その方が「導入する前からもう使う。私としてはハコベルを入れたいし、使いたいんだよね」と言ってくださって、そのうえ「だから(社内での決済に向けた)最終提案、がんばろう!」と言葉をかけてくださったことがありました。

 最終提案をデモで進めながら、導入の意思決定に携わる方々から、その場で「いいね」とか「機能を網羅してるね」といったお言葉を言われたときにはガッツポーズ!という感じなのですが、そこで称賛されたことよりも、やっぱりその担当者の方がファンとなってくださったことによって、「自分の提供しているプロダクトはやっぱり価値があるんだ」と思うことができました。

 そうしたファンとなってくださるお客様の存在と共に、「お客様へそれを還元していきたい」という気持ちが芽生えたことは、良い仕組みにしていこうという信念として、自分の軸になっている気がします。

 いま、業界の解像度もそうですけれど、社内で「プロダクトのことは中川に聞けばわかる」と、誰もが思ってくれている。そういうブランディングはできていると思いますので、「システムのことはなんでも私に聞いてください」というのは多分浸透していると思うんです。私はオーナーシップを持って自分事として取り組むことを、とても意識して日々の業務に臨んでいます。





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