<土>と<根っこ>を見たらーその樹の生い立ちと生きる意志を感じた話
こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。
ちょっと油断していたら、すっかり間が空いていました。
その間に一つ、樹木の移植作業があったのですが、その時の話がとても面白かったので今日はそのお話です。
根っこが寝ている間にお引越し
この寒い時期の移植は、落葉樹には最も適した時期です。
なぜなら、根っこ(そもそも樹自体ってこと?)が休眠状態だから。
想像してみてください。
あなたが寝て、起きたら別の場所に移されていたら。。。
びっくりするでしょうが、その場所が寝ていた場所と同じような気温で、しかもよりふかふかのベットに変わっていたら、ちょっと幸せなんじゃないかしら。
冬季の移植のたびにそんなことを思っています。
地表面スレスレに伸ばした根っこ
根っこの部分は、掘ってみるまでその土の中の環境を目で見ることはできません。
それでも、移植のために掘り進めて土の状態、根っこの状態を観察していると、本当にさまざまなことがわかってしまうのです。
写真を見ると、幹から3メートル以上離れた場所(写真手前側にあるのが、ユリノキの根っこ)まで、根っこが伸びているのがわかりますよね。
この樹の根っこは、このように四方八方に地表面スレスレの場所に根を張り巡らせていいました。
ユリノキの植わっていた場所は、誰でも利用できる公園です。
樹のすぐ近くにはバスケットゴールもあります。
地表面に近い場所ということは、人が踏みつけてしまうかもしれない場所。
そんなところにわざわざ根っこを伸ばしていた理由は、土を掘り進めていけば分かってきます。
下へは根っこは伸ばせない
この樹の根っこの太い部分は、全て地表面側についていて、下の方はほとんど根っこを出していませんでした。
その理由は簡単。
根っこを伸ばせるような条件の良い土ではなかったのです。
根っこのすぐ近くにはパイプも通っていて、土には細かいシラスのような砂のようなものに、砕石が混じっています。
太い根っこの切り口が見える上の部分の茶色い土の下は、栄養分もないこんな土でした。
そこでこのユリノキは、考えました。
この場所で生きていくために、地下の方へ根っこを伸ばすことは不可能だと。
それなら地表面スレスレの土壌の条件の良い場所へと根を伸ばすことに決めたのです。
そして、深く根を張れない分は、自分が倒れないように太い根を四方八方に伸ばすことも忘れませんでした。
当時植え付けた職人さんも考えた
掘り上げた際に分かったのですが、ユリノキの根っこの周りだけ、特に土の条件が良かったんです。
これにも理由があります。
公園の整備の後一番最後に行われるのが植樹です。
当時このユリノキを植樹された造園屋さんは、ユリノキを植える際に、根っこの周りの部分の土をより樹木の生育に適した土にわざわざ入れ替えて植え付けたのでしょう。
おかげで、この樹は元気にスクスクと成長しました。
この樹の生まれ故郷
この樹がこの公園へやって来る前、どこにいたのでしょうか。
そのヒントも隠されていました。
根っこの底の方の土は、真っ黒でした。
この土の黒さは現場近くの農場の土とは性質が異なります。
もしかしたら、黒土で植木の産地、例えば愛知県の稲沢とか、関東の川越とか、そういった九州ではないところの畑で育てられたものかもしれません。
そうそう、この「ユリノキ」は、鹿児島県内ではあまり公園などでも植えられているところは見かけません。
もしかしたら、この公園の設計の方がそもそも関東方面の方だったのかしら?
そんなことを、あれこれ想像しながら職人さんたちと答え合わせをしながらの作業。とっても楽しいでしょ。
まとめー新たな場所で生きる意志
さて、このユリノキの新たな場所はもう決まっています。
その新たな場所を好きになって、生きるという意志を持って、根を出し、枝を広げ、新たな葉を出し、花を咲かせ、実をつけて欲しいと思います。
そう、私はこの樹を見ていて本当に、生きていくんだぞ!という強い意志を感じてとても好きになってしまいました。
この出会いから、今後この樹とは長い付き合いになりそうなんです。
楽しみが一つ増えました。
さて、今日はここまで。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
↓因みにユリノキと一緒に銀杏の木もお引越ししました↓
追伸:舞台へのお誘い
2月11日(日)12日(祝)大阪の関目高殿駅近くで私も協賛している舞台イベントがあります。
石野竜三 語り芝居公演「大工調べ」
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