ハチマキと砂時計②卒業写真


高校の卒業式で、撮った写真がある

卒業証書と花束を持ったふたり
佐野くんは、すごく嫌そうな顔をしてる。

1年生のとき陸上部の佐野くんに
ハチマキを作ってあげたことから
なんとなく始まったような恋は
2人で会うこともできずに何ヶ月も過ぎた

何も言ってくれない佐野くんに
痺れを切らせた私が、
佐野くんをほったらかしにして
その時好きだと言ってくれた人と
付き合った。

佐野くんは怒りもしないし、追っても来ない。
「わかった」とだけ言って、
私の前から去ってゆく。

当たり前だ。
私たちは付き合っているわけではないし、
私のことなんて何とも思っていないのだから
それほど傷ついていないだろうと思っていた

その彼とはすぐに別れた。 

そうして気づいてみたら、
佐野くんにも付き合っている人がいた。

その時に少しだけ分かった。
あなたがあの時に、
とても傷ついていたことを。

卒業式は最後だ。もう会うこともない。
彼女が目の前にいるのに
一緒に写真撮って、と言ったんだった。
あの時の私に、そんな図々しさがあったんだね

友達は「よくそんなことできるね。プライドないの?」
と、呆れた顔で私をみていた。

そんなもの、私にはなかったよ。

高校の卒業式、それが最初のお別れ。
会わない長い時間もあったけど、

私たちは縁があったんだと思う。


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