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親孝行って何かを母と息子に教えて貰った③(それは 突然やってきた。)

ドリルです。


遂に③まで やってきました。

これで 完結です。

3部作に名作って多いですよね。

『ロード・オブ・ザ・ リング』や『マトリックス』『スターウォーズ』に『ダイ・ハード』『羊たちの沈黙』『マッドマックス』『ゴッドファーザー』『インディ・ジョーンズ』……

他にも色々あるでしょうが 上記で上げた映画に共通する事は 僕が一つもまともに観た事がないという事です。

僕が まともにやった事のある3部作は 『ドラゴンクエスト』のⅠ〜Ⅲのロトの伝説シリーズ位です。


話が それました。


なので まだ、②をご覧になってない方は 先に②を見ていただければ幸いです。


こちらです。



①、②、③と見て頂いた方が 話が わかりやすいと思います。



それでは、ソロソロ 本文が 始まります。

親孝行とは 何か……その答えを息子に教えてもらった。

あなたの親孝行って何でしょうか?


少し考えながら 読み進めてみて下さい……。







…………

…………………

……………………………

……………………………………

「ヒデさん!仙台ってホンマですか?」



「そうやねん 東日本の地震で復旧工事する為に 俺らの班も行かなあかんようなったんや。後 タケダのオッサンとタッちゃんとマコトや マトモなんが いてないから頼むわ………。」




「確かにきついですね……でも、もうすぐ 僕んとこ赤ちゃん産まれるんで そばに居てあげたいんですけど…一回 妻と相談しても良いですか?」



「う〜ん…そやな……まぁ、奥さんと相談してできれば早く返事くれ。もう 来週 頭には 出発やから!」


「わかりました。帰って相談して すぐ返事します!」




…………………

………………………

……………………………

「………って わけで地震の復興作業にいかなかんようなってんけど どうかな?」


「まぁ、1人になるのは 確かに不安やけど、震災で 困ってる人いて なんか役に立てるんやったら行ってきたら?ドリル君は 行きたいんやろ?」



「そやねん…僕みたいなもんでも 何か役に立てるんやったら行って協力したいし、しかも あのメンバーで行ったら 逆に被害が拡大しそうな雰囲気すら醸し出してるから怖いねん。でも、初めての赤ちゃんやし……もうすぐ 子供 産まれる妻を残して復興作業行くって これが戦場に行くとかやったら 完全にフラグ立ってるな。」



「ふふっ、そやな。でも、人助けしに行くだけやから死には せんやろ(笑)行ってきたら?」



「うん、ありがとう。ほな、そうするわ!」




そうして、次の週の月曜日 まだ日が登らない早朝

ちらほら雪の舞う中 僕達は 会社で集合し そこから大阪から仙台まで 向かった。

道が凍っていたりするせいもあり 中々スピードも出せず およそ14時間程かけて ダンプで宮城県まで 辿り着いた。


広い空き地のような所に 皆 一度ダンプを置いてそこから旅館までバスで送ってもらえるようだ。


「ヒデさん………めちゃくちゃしんどかったですね。


「そやな……なんか新潟がめちゃくちゃ長かってんけど…半分くらい新潟やった気がするわ。」


「まぁ、確かに長く感じましたけど 半分は言い過ぎでしょ!それより 気付きました?


「おう……何にもないやん。地震の被害 凄まじいな。家とか跡形もないやんか。」



「こんだけ 何もないと初めから何もないように見えますね。街の明かりが無いから 星も凄い綺麗ですけど。」


「まぁ、今日は 旅館いってゆっくりしよう。また、明日の朝から忙しいと思うで。」


「はい。」


そうして、次の日の朝………


僕達は バスに乗せてもらい昨日の夜 ダンプを停めた空き地に向かっていた。


「ヒデさん!気付きました?


「おう………失礼な事言うてしまったな……昨日は 暗くて見えへんかったけど朝 見たら ホンマに何もなかったんやな。」


「はい。ホンマに初めから何も無かったです。地震の影響とか関係 無かったです。ヒデさん 謝って下さい。」



「いやいやいや!お前も言うとったやんか!えっ?なに?俺だけ悪もん?えっ?そういう人なん?えっ?」



「わかりました。2人で謝りましょう。」


「ごめんなさい。」

「ごめんなさい。」


そうして 約1ヶ月 仙台でも タッちゃんやタケダさん マコトくんが予想通り 色々やらかしてくれましたが、それを書いていたら3部作で終わらないので また 機会があれば 仙台編として書ければな…と思います。



『プププ……プププ………トゥルルル……トゥルルル…』


『カチャッ』


「もしもし?」


「あっ!ゆみちゃん?明日 大阪 帰れそうやわ!」


「うん、昨日聞いたよ。また、帰ってきたら色々 話聞かせて。」


「うん、タケダさんとかタッちゃんが また色々やらかしてたから 話するわ!相変わらずマコト君は 仕事せんかったし。」


「あぁ、マコト君も一緒やったん?あの仕事せん過ぎて 近所からクレームの電話がきたって人やろ?」


「そやねん、わざとダンプで道迷ってくるねん。何回も行ってるはずやなに面倒臭い仕事ってわかったら不思議と迷うねん。そんな事ある?そんなんだけ 鼻が効くみたい。」



「まぁ、無事終わってよかったやん。」



「そやな、そっちは 変わりない?」



「それが………」



「えっ?なに?なんかあったん?」



「うん、なんか今日の朝 血が出てきて………」



「え?なに?めっちゃ怖いねんけど…大丈夫なん?」


「うん、私も怖いから病院行ったら これくらいやったら まだ 大丈夫やけど安静にしといて下さいって。ほんでもし 血の塊みたいなんが出てきたら それが 赤ちゃんかも知らん、って言われてん。」



「うそやん!こわっ!どうしたら良いの?何が原因とかあるの?何か僕出来ることあるかな?なんかある?」



「原因は、わからんけど 事故みたいなもんやからお父さんやお母さんに原因がある訳じゃないっていうてくれてたよ。まぁ とにかく安静にしておいてってさ。」


「そうなんや、とにかく今すぐ帰るわ!」



「いやいや、今すぐ帰ってきても何も出来へんから!取り敢えず 明日 無事に帰ってきて。帰り事故ったとかいうて フラグ回収してる場合じゃないねんから。」


「そやな……それの方が良いか。安全運転で帰るわ。絶対に安静にしといてや!」


「うん、気を付けて帰ってきて。」







次の日 1ヶ月ぶりに帰ってきた 僕は 思い切り妻を抱き締めたかったが ギュッするのが怖くて 無事で良かった……と手だけをしっかり握りしめた。


そんな事があった為 僕は 毎日祈るようになった。

別に神様なんか信じていないのに 勝手なもので、

「どうか 子供が無事に産まれてきますように……。」


と 毎日毎日 何かに祈り続けました。


『祈ったからといって何か変わるのか?』

と いつも 思いましたが 祈る事しかできない自分の無力さと そうやって何かにすがることで 自分の気持ちを抑えることができていたんだと思います。

自分が あの時 復興に行かず側にいてあげれたら そんな事にもならなかったんだろうかとも思ったりしました。


…………そして、数ヶ月後 日曜日のお昼前 その日は 突然やってきた。


「ドリル君…なんか 産まれそうやわ。」


「えっ?そんな 突然くるもんなん!?

  タクシー呼ぼうか?」


「いや、大丈夫。歩いて行く。」


「いやいやいや!タクシー使おうよ!歩いたら結構あるよ?何のこだわり?タクシー呼ぼう!」


「いや。大丈夫。歩く。」


「なんで、そんな 心優しき巨人みたいな喋り方なってんの?何か分からんけど どうしてもって言うんやったら歩いて一緒に行くけど 大丈夫?」



「ありがとう。大丈夫。」


そして、20分ほど歩いて いつもの産婦人科へ着き 先生に診察してもらう。


「あぁ、まだ 産まれるまで もう少しかかるし お父さんは 一回 帰ってもらって また、産まれそうなったら電話しますよ。」

「…やって。ドリル君 家から荷物とか持って来て欲しいし お昼 ご飯も食べなあかんやろうから一回帰って電話あるまで 待っといたら?どうせ 何もできへんやろうしさ。」



「まぁ、確かに何もできへんな。無力やわ。でも 辛辣や。辛辣 過ぎるわ。」


そうして、家に帰り お昼ご飯を食べようとした時。


『ブーン………ブーン………』


マナーモードだった携帯が鳴り出す。


「もしもし、ドリルさんの携帯でしょうか?」


「はい。」


「産婦人科ですけど。急いで病院の方まで 来て頂いて宜しいでしょうか。」


「えっ?今帰ってきた ばっかりなんですけど!まぁ、わかりました!とにかく急ぎます!」

(どういうこと?さっき『帰れ』っていうたよね?まぁ、良いねんけど、これやったら帰らんでよかったやん……とにかく いるのんだけ持って行こう。)


そうして自転車の前カゴに荷物を詰め込み 急いで病院に向かう。


「ドリルさん!すみません。奥さん産まれそうなので もう少ししたら分娩室の方 お入り下さい!」


そう言われて ソワソワして待っている。


僕のことじゃ ないのにドキドキする。


別に 子供は好きじゃない。


嫌いでもないが 苦手だ。


だから 姪っ子とか友達の子供と遊ぶ時も手加減をしないので いつも『おっちゃんと遊ぶとおもんない。』と言われる。

大人の力を見せ付ける。別に 子供に好かれようとも思わない。


多分 自分の子にも 同じように接するだろう。


父親のいない自分に うまくやれるんだろうか。


不安で仕方がない。




「ドリルさん!中にお入り下さい!」


看護士さんが声をかけてくれる。


中に入ると カーテンで下半身と上半身が仕切られていて頭の方に案内される。


ゆみちゃんが見た事のない苦しそうな顔をしている。

僕は ただ手を握って声をかけるだけ、それしか できない。

苦しいことも楽しいことも 分かち合うと確か誓ったはずなのに何もできない……。


また、僕は 祈るだけ。


「どうか、無事に産まれてきて下さい。」


そう何かに 願うだけ。


そして……………


「ウォンギャァ!ウォンギャァ!ウォンギャァ!」


声が聞こえる!


「おめでとうございます。元気な男の子ですよ。」


そんな定型分のようなセリフを聞いて 僕は 涙を流してるのに気付いた。


気持ち悪い程泣いていた。


嬉しいからなのか感動してなのか何故か分からないけど ただただ 頬を涙が濡らす。


「えっ?ドリル君なんで泣いてんの?」



「わがらん、わがらんけど、ありがとう。ゆみちゃん ありがとう。この子も ありがとう。」



「なんで、そんな 泣いてんのよ。なんか 私が泣くタイミング逃すわ(笑)」



無事に産まれてきてくれて良かった。


そして、この子が幸せに生きてくれるように心から思えた。


そう思った時 

母がいつも僕に聞いていた、

「ドリル………。あんた、幸せか?」


この言葉の意味が わかりました。


母は 自分の幸せより僕や姉の幸せを1番に考えてくれてたんです。


だから、身体が 半分動かなくなっても まだ働こうとしていましたし、ちゃんと育ててもらったのに何もしてあげてないと言っていました。

それは、僕が 幸せという事に鈍感になって当たり前にあった幸せを何とも思っていなかったからです。


母が何度も聞いていた


「あんた、幸せか?」


の意味が 全く分かっていませんでした。


僕は 母に一度も


「幸せやで。」

と、伝えることができませんでした


そして、


息子が産まれてきてくれて やっと母と同じ立場になり 気付かせてもらいました。




本当の親孝行は、







『僕自身が幸せになる事』




なんだと。


なので、まだまだ親孝行できそうです。


そして、僕も息子と娘に伝えようと思います。




「幸せになってな。」



……………と。

この話の本当度100%





………終わり。


サポートとは?・・・データマイニングの際の、相関分析の指標のひとつで、ある関連購買における支持率を表す。たとえば砂糖について卵の関連購買でサポートが20%の場合、砂糖と卵を一緒に購入する顧客が顧客全体の20%という意味である。 要するに心から嬉しいということでです!