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分野間を横断的に応用できるという強み

文化人類学者でもあり、作家でもある上橋菜穂子さんは、実は私はファンの一人だ。『守人シリーズ』は全13巻すべて読んでいるし、特にその中でも『蒼路の旅人』が最もお気に入りの作品である。児童文学でありながら、大人が読んでも面白いし、現代社会とは決して無縁でないファンタジーの作品にいつも勉強させられる作品ばかりでファンなのである。

次作が出るのが待ち遠しくて、本屋で新作を見つけたときは、飛び上がるほど嬉しく、必ずといって購入し徹夜でも読破してしまう。シリーズものについては、続きが待ち遠しくて仕方がない。上橋菜穂子さんは作家という職業以外にも文化人類学者というフィールドワークで培った学問ベースがあり、児童文学というファンタジーといっても、大人が読んでも学問的知識、文化人類学や社会の仕組みを知ることができる素晴らしい物語を紡いでいく尊敬すべき作家のひとりである。

『守人シリーズ(全13巻)』、NHKでアニメ化にもなった『獣の奏者(全4冊+番外編1冊)』、『鹿の王(全2冊)+番外編1冊』、『狐笛のかなた』『明日は、いずこの空の下』、『物語ること、生きること』『バルサの食卓』、『精霊の木』。全て持っているし読んでいる。

私は一人の作家にはまることは基本的にないのだが、上橋菜穂子さんの書籍には20代ではまった。動物園で肉体労働の飼育員をして体力的にも限界だった頃も、新刊を徹夜で読んでしまうくらいだった。

私は、もともと野生動物を専門に大学院で修士号を取り動物園の飼育員や博物館の学芸員をしていた時期があるが、ある事件をきっかけに、虐待の世界に入ることとなった。そこでよく感じることは、野生動物問題で起きている事象と、人間の社会問題で起きている事象が非常に類似している点に気が付かされることである。そして、その解決方法も、相互に応用できる場合が多いと感じている。

一つの分野を深く追求した先に、初めて見える世界が存在することは、私も大学院での研究を通じて、体感してことで、狭い分野の先に広い世界が待っていること、その世界に辿り着いたときの何とも表現し難い感動というものも体験してきている。

しかし、分野間を横断的に応用できるという強みもあることを多くの人に知ってもらいたい。上橋菜穂子さんの『文化人類学』をベースとした児童文学のファンタジーに私が魅せられるのは、虐待問題の解決にも多くの視点やヒントをもらえる作品だからだ。
虐待問題に関わる方には、是非とも、『文化人類学』の書籍や文献も参考にしてもらいたいと思う。無関係と思われがちな意外な分野が自身の分野に新たな風を吹き込んでくれることは多いものだ。

※虐待の後遺症については、以下の書籍に詳しく書いています。精神科医の和田秀樹先生の監修・対談付き。




虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!