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フリーランス主婦、うどんを打つ。
「職人」と呼ばれる人たちにあこがれがある。自分の身につけた熟練の技術で何かを生みだしていくというのが、たまらなくかっこいいなあと思う。そんなことを考えながら、わたしは昨日うどんを打っていた。
きっかけは、先月食べに行った手打ち手切りのうどん屋さんがあまりにおいしかったこと。機械では作れない絶妙にねじれた麺に、「これが職人の仕事だ…!」と、いたく感動した。わたしもうどんを作ってみたい…!と思ったのだった。
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机を健全な白い粉まみれにしながら計量
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「生きてるパンをつくろう」を歌うのは
わたしだけではないはず
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わたしもとなりのソファで添い寝(昼寝)
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買ったおさるのジョージソックスで足踏み
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4年くらい眠っていた麺棒でうすく伸ばしていくが、
わたしの力が弱くて全然伸びてくれない
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酸いも甘いも切り分けてきたニトリの包丁で、
等間隔(のつもり)に切っていく
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うどん作り向いているかも!
ここでわたしは達成感に包まれて、ちょっとゆっくりしようと思ってnoteを書き始めた。
これがうどん素人の、完全な油断だった。失敗の原因だった。
さ~て、うどんを茹でようかしらと湯をわかし、麺を投入しようとしたとき。え!えええええええええ?麺が引っ付いてる。
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泣きそう。泣きそうになりながら格闘してみるも、やっぱり引っ付いてしまっている。離そうとすればするほど伸びていく。わたしが、noteを書いている間に…麺が引っ付いてしまった…。
もう一度やり直す気力はなく、夫を呼ぶ。泣きそうな顔で「もうわたしには無理!やってください!」と頼みながら、それでもスマホを粉まみれにして写真を撮っているわたしを見て、「もうnoteのネタにしようとしてるじゃん…」と夫は笑った。生地を伸ばす作業をやってくれた。わたしがやるより4倍速くて、これが力の差かあ…と思う。今度はすぐに茹でた。
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1.5倍くらいに太っていった
なんてかわいいの!
長年働き口を見つけられていない
わたしの母性が爆発しそう
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「ここのうどんは、生きている。」って言っているけれど
うちのうどんも、生きている!
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手が回らず、いずれも既製品を使用
おさるのジョージで踏みまくったのが功を奏したのか、麺はしっかりとコシがあり、噛むたびに小麦の豊かな香りが広がった。初心者にしては、合格点だと思う。途中投げ出したりもしたけど、やっぱり何かをいちから作りあげるのはとてもたのしく満足感がある。
わたしは職人になりたい。でもそれは、きっとうどんではないんだろうと思う。とてもたのしかったし、おいしかったけれど、これを明日もやろうとは思わなかったから。毎日こんな力を使って、同じクオリティでうどんを提供し続ける職人さんたちのすごさを思う。わたしには、気が向いたときに4人前をこねるくらいがちょうどいいみたい。
わたしが明日も続けられることってなんだろうと考えたときに、やっぱり文章を書くことかなあ、と思う。かつて、会社員として連日ものすごい量の原稿を書いていた日々も、それは苦ではなかった。出世はしたくない、わたしはいつまでも現場で原稿を書き続けたいと思っていた。文章を書くことも、極めていけば職人になれるのだろうか。わたしは職人になりたい。「職人ですね…!」と言われるような仕事をしたい。
おわり
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