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馳せた想いが、ブランドになる

令和婚して、28歳になって、早1ヶ月。
新しい相棒ができました。

左手薬指の、銀色に光る輪っかです。

婚約指輪はもらっていない(数年後にくれるみたい)ので、人生で初めて左手薬指にはめた輪っかがそれでした。

どきどきしながら手を洗ったり、髪の毛のワックスを伸ばしたり、お風呂に入ったり。夫と手を繋いだときに私の指に触れる彼の指輪に違和感を覚えたり。
そんな毎日がとても愛おしいです。

さて、この子はどこで見つけたかというと、つくりました。自分たちで。

結婚指輪を手作りしたら夫のことがもっと好きになった、そんな話をしたいと思います。

「きっと手作りでしょ、っぽいもんね」

だれかの思想、だれかの作る世界観を表現する仕事を長年やってきているからか、わたし(たち)の意志、世界観そのものをつくる結婚とそれ関連するモノコトには日頃から熱心に向き合って=妄想しまくっていました。

友人の結婚式に行っては「dream」と名付けた将来自分の結婚式で流すプレイリストをせっせと更新し、ピンタレストで理想のドレスイメージを収集。今はドレスや和装に似合うショートヘアのアレンジを探すことに夢中です。

そんな私ですが、一向にイメージが湧かなかったのが結婚指輪。

「どこの(ブランド)がいいの?」

夫に聞かれぱっと浮かぶ有名ブランドたちのサイトを訪れると、あまりの神々しさに恐れ入ってしまいました。

「どれも、らしくないんだよなあ」
「わかる」

なんて会話を繰り返していたある日のこと。

結婚祝いを兼ねてごはん行こうよ、と誘ってくれた友人が放った何気ない一言。

「ところで指輪どこで作ることにしたの?きっと手作りでしょ、っぽいもんね」

「ん、結婚指輪って作れるの?」

これがきっかけで、鎌倉彫金工房さんで手作りするに至りました。
人と被りたくないわたしの性分が見抜かれていました。

夫もわたしも想いだけは立派にクリエイティブなので、6月1日は意気揚々と6時起きで鎌倉へ向かいました。

夫を想って夫の指輪をコツコツ作る3時間半

サイズを測り、素材と目指す形を決めて、いざ指輪作りがスタート。

わたしたちはお互いの指輪をつくりっこすることに。

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わたしのは「つちめ」という金槌で叩いて模様を入れるデザインにしたので、夫は模様づくりの工程から始まりました。

カンカン金槌を鳴らす夫の横で、一足先にプラチナの棒を輪っかにしたり、トントンとハンマーで小さな輪っかを夫の指のサイズまで広げたりするわたし。

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6.5号と15.5号という大きさの差もあり、わたしの方がつくる工程は少ないくせにあっという間に追いつかれてしまいました。

でも、なんだかそれがいつもの私たちらしくって可笑しかった。

「いただきます」をしてすぐ食べ始める私と、私が作った料理を写真に収めてから食べる夫。
先に眠りにつこうとする私と、気づいたら私より先に熟睡してる夫。

そうやって、カンカンコンコンしている間に、なんでもない毎日が頭に浮かんで、長いはずの3時間は、あっという間に過ぎ去っていきました。

いよいよ最後の30分、磨きタイム。
骨折の後遺症で右手首と指先が思うように動かない私にとってはちょっぴりしんどい時間でした。

やすりで真っ黒くろすけになった手を見つめては「もう少し、もう少し。磨けば磨くほど綺麗な指輪が出来ますからね」とスタッフさんに背中を押され、お客さんと対峙している仕事中の夫を思い浮かべて=妄想して、黙々と磨き上げました。夫は何を妄想していたのだろう。

最後に指輪の内側に刻印してもらって、出来上がり。行きに食べた「えびかつサンド」を完成に消化しきるほど頑張りました。

ブランド品でも、そうじゃなくても

出来立ての指輪をお互いの薬指にはめたとき、思いました。

手づくりして良かったな、ということと、
どこの指輪でも良かったのかもしれないな、と。

自分たちの手で作った指輪には大大大満足です。よーく見たらうっすら磨き残しがあるかもしれないけど、それがまた良い。

でもきっと、大切な人のことを想い、選んだものであれば本来のブランド以上の価値がある。

「ブランド」が商品を識別するための概念なら、その想いこそが何よりのブランドになる。

手づくりした結婚指輪は、立派なブランド指輪でした。

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