見出し画像

【データ分析】ECサイトのタイムセールの分析を考える

春の訪れ,山の上にある県立図書館内から窓の外を見ると庭にタイワンリスがいるのが見える.ちょっとした動物園にいるみたいな気分になるが,タイワンリスは実は害獣指定されているようだ.

ECサイトを運営している知人からメッセージが届く.
「受注額を純増させるタイムセールの実施方法を分析をしたいんだけど、アイディアないですか?」
ECサイトもタイムセールあまりなじみがなかったので,アイディアはなかった.しかし,時間だけはあったので最近名探偵ポアロに影響受けている僕は少し考えて見ることにした.(ポアロ風に)

言葉の定義

まず,初めにあまりなじみのない受注額という言葉の定義を調べた.
売上,利益と異なり,単純な受注(コンバージョン)した金額で良さそうだなと感じた.
次にタイムセールについて調べた.いくつかのECサイトを見てみると,タイムセールの開催のされ方にもいくつか種類があるように感じたので,今回は勝手には特定日時に不定期に実施され、事前告知があるものとした.

僕のオフホワイト脳細胞が少し動いた.(ポアロの影響)

ABテスト

連絡をもらった時にアイディアはなかったが,漠然とWeb上での効果検証はABテストしかないのではないかと考えていた.なのでどういう軸が受注額に影響を与えているかABテストを行えばよいのかと考え,思いつく軸・指標をざっくり羅列した.
・時間軸
 時間帯,月内の実施日,実施月
・PR軸
 告知媒体
・商品軸
 ブランド,カテゴリー
・UI/UX軸
 タイムセール商品の表示方法,表示順 など

図1:受注額をKPIとしたツリーイメージ

問題点の発覚

ここで改めてお題に関して考えていた時に受注額を純増という言葉気になった.ABテストを行ってタイムセールの受注額を上げる要因を見つけることはできるがそれは受注額の純増につながるのか?

オフホワイトの脳細胞が動き始めた.

答えはつながらない.タイムセールの受注額は増えても,全体の受注額の純増にはつながらない.なぜならば,タイムセールを利用することで,本来の金額(定価)よりも安く購入して終わってしまった場合,受注額は減っているからである.

再構築

ここで,タイムセール時の受注額に注目するのではなく,全体の受注額を考えないといけないことが分かった.また,純増・純減の考え方として,あるユーザーがタイムセールを利用することで本来使用する金額(予算)よりも多くなれば純増、減れば純減である.
また、その予算はシーズンごとに設定されていると仮定した.
(オシャレな方はシーズンごとに服を買い替えるのかなと)

そこで今回のお題(事件)は,
タイムセールによってクロスセルまたはセルアップを促し,予算(想定受注額)よりも多く使用させるにはどうしたらいいか
この場合,予算はユーザーごとの予算の総和になると考えられるが,これを事前に予測するのは難しいと考えられる.したがって以下の様に定義しなおす.
タイムセールによって,全体の受注額を多く使用させるにはどうしたらいいか

タイムセール評価指標の設定

評価指標として,全体の受注額を対象としてタイムセールを評価しないといけないことが分かった.そこで以下の様に定義する.
タイムセールの成果は評価対象のタイムセールが行われた前後期間を含んだ受注額の合計を集計期間の日数で割った指標で判断する。
(計算式)
あるタイムセールの成果 
 = 集計期間の受注額の合計 / 集計期間の日数 = 日の受注額
(集計期間の考え方)
ある年の春春シーズンにはタイムセールが複数回行われたとする

図2:あるシーズンのタイムセールの実施状況と集計期間

上記の場合、①、②/2、③/2、4のうち一番日数が短い期間をタイムセールの前後期間の日数とする。
例)①が10日で一番短い日数だった場合、各タイムセールから前後10日間を集計期間とする
 → 前後20日間+1日(対象日)の受注額の合計 / 日数(21) = 評価指標

多変量解析 数量化Ⅰ類

複数の(タイムセールに関する)要素が評価指標にどう影響を与えているかを調べる必要があるため,多変量解析を用いる.
目的変数:タイムセールの評価指標
説明変数:上記,図1の各指標など
また,目的変数が量的データ,説明変数が質的データであるため数量化Ⅰ類を用いる.作成するデータイメージ,アウトプットイメージは以下となる.

図3:数量化Ⅰ類データイメージ
図4:数量化Ⅰ類アウトプットイメージ

終わりに

ここまでの考えをパワーポイントにまとめ,知人に送る.
青空だった空が曇って灰色になっている.

知人から返信が来た.
「ありがとう!なんとなく流れはわかったけど、これだと売り上げは上がらないよね??」

君はただ眼で見るだけで、観察ということをしない。見るのと観察するのでは大違いなんだ。

アーサー・コナン・ドイル「ボヘミアの醜聞」

僕はシャーロックホームズも好き.

PCとスマホ,wifiだけを持って全国をのんびり旅したい.