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day 24|AIとアート (3)

前回のレビューでは、人間は、AIが制作したアートか人間が制作したアートかを判別できないという実験について触れました。


では、あらかじめ「AIが制作したアート」と「人間が制作したアート」がそれぞれ分かっている状態で作品を鑑賞した場合、人間はどのように反応するのでしょうか?

このテーマに関する論文について、簡単にレビューしたいと思います。


参考文献;Bias against AI art can enhance perceptions of human creativity


実験方法

この研究では、AIによって作成されたアート作品と人間によって作成されたアート作品がどのように異なる評価を受けるかを明らかにするために、複数の実験が行われました。

重要な技術や手法としては、実験ではAI生成アートと人間生成アートがランダムにラベル付けされ、参加者はこれらの作品をいくつかの美術的次元(例えば、技術的なスキル、感情的な訴求力、色彩の鮮やかさなど)において評価しました。さらに、これらの作品の金銭的価値に関する評価も求められました。


実験結果

6つの実験を通じて、AIによる作品は技術的なスキルや金銭的価値の面で低い評価を受ける傾向があることが示されました。特に、AIラベルが付いた作品は、芸術作品として認識される可能性が低くなることが分かりました。

しかし、興味深いことに、AIと人間によって作成された作品を直接比較した際、人間による作品は創造性や技術的な面でより高く評価されることが明らかになりました。

さらに、AIと人間の共同制作とされる作品に対する評価も検討されました。この実験では、共同制作の作品はAI単独による作品よりも高い評価を受けるものの、人間単独による作品よりも低い評価を受ける傾向がありました。


示唆

この研究から得られた3つの発見として、以下が取り上げられています。

●AI制作のアート作品の低評価:
研究結果から、AIによって制作されたとされる芸術作品は、技術的なスキルや金銭的価値において低く評価される傾向が明らかになりました。これは、AIによるアート作品の出現が、芸術市場における価値評価を変化させる可能性を示唆しています。

●人間の創造性への高い評価:
AI制作の芸術作品と比較された場合、人間の創造性はより高く評価される可能性があります。これは、AIによる創造性が人間の創造性を際立たせる効果をもたらす可能性を示しています。

●AIと人間の共同制作の認識:
AIと人間の共同制作のアート作品は、単独のAI制作よりも高く評価されるものの、単独の人間製作よりも低く評価される傾向があります。これは、共同制作がアート作品の評価においてどのような影響を与えるかについての洞察を提供しています。

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