AIが生成したコンテンツは、社会に受け入れられるのか?
生成AIの発展により、誰でも手軽にクオリティの高いコンテンツをつくれるようになってきており、今後さらに、社会のなかでAI生成コンテンツが使われるようになっていくと考えられます。
最近の例だと、日本コカ・コーラが、画像生成AIを活用したオリジナルのクリスマスカードを作成できるwebサイトを公開しています。
「AIが生成するアートは、アートなのか」
この観点について論じているエッセイがあるので、今回はそれについて触れてみたいと思います。
Art, Creativity, and the Potential of
Artificial Intelligence
AIアートを判別できない人間
著者が行った実験では、AICANという画像生成AIが作成したアート画像と、人間のアーティストが制作したアート作品を閲覧したところ、被験者の75%がAI生成のアート画像を人間によるアート作品であると誤解しました。これは、AIのアート画像が人間のアート作品に比べて遜色ないものであることを示唆しており、AIのアート画像が一定のレベルに達していると言えます。
AIの作品はアートではない?
人間の場合は、アーティストが自分の経験や感情、価値観をアートとして表現し、鑑賞者がそれを感じ取って自分なりに理解・洞察し、お互いにとって豊かな経験へとつながります。AIにはそのような感覚がなく、作品を制作することそのものがプロセスの全てとなりますが、だからといって「アートとして捉えられない」というわけではないと著者は述べています。むしろ、従来のアートやアーティストに対する考え方を変え、AIアートもアートの1種であると受け入れることで、アートの概念が広がります。
AIアートの優位性
エッセイでは、画像を生成するアルゴリズムに特徴のついて言及しています。人間のアーティストは、自分の道具を使ってアート作品を制作します。一方で、AIはアルゴリズムによって画像を生成しますが、このアルゴリズムをアート制作の手段と位置付けるならば、機能の異なる”筆”とも言えます。AIが使う”筆”は人間のそれとは異なる特徴を有しており、その特徴を生かしたアート作品を創り出すことができます。
パートナーシップとしてのAI
アートの重要な点として、「社会的な相互作用を生む」ことについて言及しています。AIが生成する画像も社会的な相互作用を生むと考えられるので、インスピレーションやプロセスや人間のアート作品と違えど、AIアートもアートとして成立するのではないでしょうか。また、AIと協働して作品をつくることで、新たな創造性が生み出される可能性があります。
今回は、AIが生成するアートをアートして捉えてよいのか、という問いに関するエッセイについてレビューしました。制作のインスピレーションやプロセスについて人間とAIとで異なる部分はあるが、制作した作品が社会的な相互作用を生み出すという点では共通するので、AIアートもアートのひとつであると著者は伝えていました。
引き続き、AIアートに関する情報を調べてみたいと思います。
参考文献