見出し画像

褒めて育てる - イギリスの子育て

私は幼少時に褒めて育ったという記憶はありません。そして「褒めてほしかった」という想いもなく生きてきました。「褒められるには褒められるに値する事を成し遂げるべき。」と思っていましたし、自分が特別に親に褒めて貰えるようなことをしたという記憶もありません。ということで、「褒められる」という言葉に特別な想いも執着もなく人生を過ごしてきました。

私の住むイギリスでは、子供を褒めて育てます。子供に限らず大人同士も褒め合います。

私の友達が「イギリスってさ、買い物してレジで会計する時に、お札をあげてレジの人がお釣りをくれただけで、お客がレジの人に「Perfect」とか「Excellent」とか言って褒めてあげないといけないのっておかしいよね。」と話していたことをいつも思い出します。この様に、特別な機会に褒めるというのではなく、日常的に褒めるという行為が行われています。

もし自分が褒められなくて残念だったとか悔しかったとかいう強い想いをもっているのだったら、自分が親になった時に「私は自分の子供には同じ想いをさせたくない!」と褒める親になれる可能性はあると思いますが、私のように褒められることに飢えてもいなかった人間にとっては、なんて事のない小さな事に対し我が子を褒めるということは、ある意味演技に近い努力が必要でした。子供が「なんで私のママは褒めてくれないのかな?」と思ってしまうでしょうから、所謂「褒めるに値する」行動をしたわけでなくても、褒め言葉を見つけて我が子に投げかけてあげなければならないという感じです。幸い、イギリス人のママ友との付き合いが多かったので、ママ友を見てまねして子育てしていました。

イギリス(アメリカのケースはよくわかりません)の褒め言葉をGoogle Translateで訳してみました。結果は以下のとおり。この他にもたくさんの褒めるバージョンがあります。)

Very good     とても良い

Great       すごい

Wow       すごい

Wonderful     素晴らしい

Fantastic    素晴らしい

Amazing      素晴らしい

Incredible      素晴らしい

Marvelous     素晴らしい

Excellent      素晴らしい 優秀な

Super        素晴らしい

Superb       素晴らしい 見事

Fabulous      素晴らしい

Lovely       素敵な

Good job      よくやった

Great job      よくやった

Well done      よくやった

翻訳すると英語の16の褒め言葉の訳は「良い」、「素晴らしい」、「すごい」、「よくやった」の日本語の訳にまとまってしまいました。中でも、実際に日本の子育ての現場でよく使われているのは、「すごい」「よくやった」「上手=良い」でしょうか。そもそも、日本語の褒めるという言葉のバラエティーが少ないですね。

イギリスの子育てを外国人(日本人)の目から観察した結果ですが、やっぱり褒め言葉は効果はあります。

娘の学校の英語の先生が去年から変わりました。彼女の前の先生は特段悪いわけでもなかったのです。違いは、新しい先生が生徒の事をとにかく褒めるらしいです。とても優秀という子ではなくとも、その生徒が書いた文章そのものが褒めるに値するものではなくとも、以前の文章と比べて少しでも改善がみられたらそれを躊躇なく褒めたたえるようです。その先生の素晴らしいところは、何でもかんでも大げさに褒めたたえるというものではなく、ポイントをうまくつかんで日々褒めるというところです。何かとてつもなく素晴らしい事を大げさに褒めたたえる先生もいますが、生徒の日々の成長、改善に注目し、それがいかに素晴らしいことかということを生徒に伝えるということをされているようです。その結果、娘の英語がみるみる上達し、テストの点数もかなり伸びました。

褒めるという行為は未だに気恥ずかしいものがあります。でも褒めるということよりも、子供たちは「気づいてもらっている」ということに喜びを感じているように思います。「褒められるに値する」ことをしないといけないと思わず、自分がさりげなくしたこと、前より少しでも上手にできたことを誰かに認めてもらいたいと望んでいるのではないでしょうか。

とわかっていながら、未だに娘の事を他のイギリス人ママたちのようには褒められませんが、娘を観察し、何か小さくてもよくなったなと思うことがあれば、その都度それについて「ワオ 素晴らしい」というよりは地味に「よくなったね」とか声を掛けるようにしています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?