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【レジュメ】Small, Mario Luis, 2009, " 'How Many Cases Do I Need?'"


2019年4月に行われた質的社会調査法の自主勉強会で、下記論文のレジュメを担当した。

Small, Mario Luis, 2009, " 'How Many Cases Do I Need?': On Science and The Logic of Case Selection in Field-based Research," Ethnography, 10(1): 5-38.


アメリカに留学している先輩2名(主に量的調査)が、別々の大学なのにコースワークで読んでいて、それぞれいたく感動していたので読むことになった。

要するに、KKV(『社会科学のリサーチ・デザイン―定性的研究における科学的推論』)的な質的社会調査法は、統計的調査法を表面的に真似たものにすぎず、社会科学のケーススタディは、他の事例への一般化可能性を主張するために量的調査とは別の論理を用いるべきである、と述べている。

個人的な感想だが、「『質的調査は仮説生成的な研究なのです』という主張は、仮説の良し悪しの判断基準を設定しない限り、単なる言い訳に過ぎない」と主張しているあたりに、とりわけ独自性があると思う。


せっかく時間をかけて作ったレジュメであるし、非常に勉強になる論文でぜひ紹介したいと思ったので公開する。下記リンクよりダウンロード可能。


余談だけれども、レジュメ作成には、アウトライナーのWorkFlowyを使用した。読書ノートだけでなく、論文や記事のアウトラインを考えたり、To Doリストを作ったりするだけでも本当に便利。これ無しの生活はもはや考えられない。こちらもおすすめ。


なお、この論文を読んだ次の回は、同じテーマを別の角度から論じている、

Flyvbjerg, Bent, 2006, "Five Misunderstandings About Case-Study Research," Qualitative Inquiry, 12(2): 219-45.

を読んだ。このレジュメは、篠宮紗和子さんが公開している。


研究経費(書籍、文房具、機材、映像資料など)のために使わせていただきます。