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NO.2の育て方 vol.59 ウチの会社には優秀な人材がいないのは本当?

ナンバー2育成の悩みの中に、「ウチの会社には優秀なのがいない」というものがありますが、本当にそうなのでしょうか?

今回は、優秀な人材がいないと感じる理由とその原因について解説していきます。

社内に優秀な人材がいないと感じる理由

社長から見て、優秀な人材がいないと感じる理由は以下のようなことが多いです。

・指示したことしかできない
・指示したことも満足にできない
・目標未達が常である
・新しいことに取り組むことに消極的である
・意見を言わない
・報連相が適切にできない
・ミスが多い
・危機感がない
・覇気がない

本当によく聞くようなことばかりですが、もちろん社員本人の問題だけではないでしょう。

このような社員が増えてしまう原因の多くはつぎのような社内環境が原因ではないでしょうか。

・評価制度が不適切で、社員の能力や成果を正しく把握できていない。

・社内の教育や研修体制が不十分で、社員のスキルや知識を向上させる機会が少ない。

・社内の風土や文化が閉鎖的で、社員の意見や提案を受け入れる余地がない。

・社内のコミュニケーションが不足しており、制度や仕組みもなく、社員のモチベーションや満足度が低い。

・競合や市場の変化に対応できるように、人材の多様性や柔軟性を重視していない。

これらの理由は、社長だけでなく、社内の人材自身も感じている可能性が高いです。したがって、社内に優秀な人材を育成し、活用するためには、これらの問題を解決する必要があります。

評価制度が不適切で、社員の能力や成果を正しく把握できていない。

中小企業では、そもそも評価制度がない、あっても形骸化していて機能していない会社が多いものです。

社員の能力を考察するのは採用面接の時だけで、入社後は個々に対する目標設定や管理もなく、成長を測る、把握する機会がほぼ皆無です。

成果も賞与支給の時期になって、あわてて半年間の働きぶりを思い出そうとしても、営業職のように数値化できる成果ならまだしもバックオフィスに所属する社員にはこれといった成果らしいものを見つけることはできないでしょう。

また、昇給や昇格も退職意向の気配を感じた時に引き留めのために行われたり、個人的な不満を社長が直談判で受けて昇給させてしまったりと場当たり的に行われることも少なくありません。

そして、昇給した社員が「社長にちょっと強く言ったら給料上げてくれた」と話すものですから、すぐに社内に知れ渡ってしまうのも特徴的です。

公平で公正な評価ではないので、能力も高くなく、特別の成果も出していない声の大きな社員だけが得をする環境であれば、我も我もと直談判の列ができるか、会社に見切りをつけて転職を考えはじめるか、現状維持でいいから適当に仕事をこなしておくかの選択をするでしょう。

その結果、社員の多くは正当な評価もされないのに一生懸命仕事するのは馬鹿らしく感じ、社長から見て物足りない人材ばかりになってしまうのは当然です。

大企業では当たり前の評価制度ですが、中小企業では制度があってもほぼ機能していないか全くないというのが常態化しています。

もちろん、大企業の評価制度であっても必ずしも満足できるものが少ないということは書き添えておきます。

社内の教育や研修体制が不十分で、社員のスキルや知識を向上させる機会が少ない。

特に新入社員の教育はすべてOJT、新人は親切に教えてくれそうな先輩社員をみつけて個々に質問をするというのが当たり前になっているかもしれません。

決してOJTが悪いということではありませんが、教わる人によって違うことを言われたり、全体の中での今自分がしている仕事の位置づけを教えてもらえなくて、手探りで点と点を繋ぎ合わせるような感覚になっているように思います。

本来、学びにはゴール設定があり、ゴールに向かってマイルストーンを置く逆算思考が必要ですが、積み上げ型の教育だと先が見えないまま漫然と日々を過ごす結果になりやすいものです。

教育や研修は場当たり的なものではなく、計画的に行われる必要があり、各人の目標も設定されないと実施側の自己満足に終わってしまいます。

新入社員に限らず、中間管理職、幹部に対しても定期的に学ぶ機会を与えないと目先の業務に追われるだけで、求められる役割を果たそうという意識も薄らいでしまいます。

社内の風土や文化が閉鎖的で、社員の意見や提案を受け入れる余地がない。

現場の仕事をしていて仕事の進め方に疑問を感じる社員もいるでしょう。ただそれを口にし、上司に相談すると、「今までそうやってきたのだからわざわざ変える必要もない」、「じゃあお前がどうにかしろ」などと言われてしまうと、立場の弱い社員はそれ以上何も言わなくなります。

・効率が悪い
・無駄な作業が多い
・もっといいやり方があるのでは?

これらは不満が出発点ではあるものの、何かを良くしようという前向きな意見でもあるので全く取り合ってもらえないと、現場の社員は「どうせ何を言っても無駄」という諦めの気持ちになります。

意見を言っても取り合ってもらえないのに、報告すべきことはしろと言われても現場の社員は釈然としないでしょう。それが人の感情というものです。

その結果、ヒヤリとする出来事やお客様からのクレームがあっても上司に報告もしないようになります。

かくして、意見は言わない、報連相もしない、新しいことに取り組む意欲もない社員が増えていく訳です。

社内のコミュニケーションが不足しており、社員のモチベーションや満足度が低い。

社員の意見に耳を傾けることがない環境だと、上司から指示が一方的に下りてくるだけで、そこにコミュニケーションは生まれません。

その指示も不明確で、期限も優先順位も目的もレベルも示されずに漫然としていれば、指示通りの成果物が上がってくることはないでしょう。

疑問があっても質問もせず、指示を受ける側も漫然と受け止めるだけですからなおさらです。

安心して意見や質問ができる環境がないとこういう状況になります。仕事上の必要最低限の会話はコミュニケーションとは言いません。

一方的な指示ばかりで、常に人間関係がギスギスしていては意欲的に仕事に取り組もうという気持ちも生まれませんし、もちろん目標も未達が多いでしょう。

競合や市場の変化に対応できるように、人材の多様性や柔軟性を重視していない。

多くの会社には成功体験や必勝パターンというものがあります。それに基づいて事業をしていれば大きな失敗はないかもしれませんが、それが永遠に上手くいく保証もないのが事実です。

採用をしていると既存の社員とは異なるキャリアやスキルを持った社員を迎えることもあるでしょう。

変化の大きい世の中で、そうした社員の知識や経験は貴重な視点かもしれません。

けれども、「ウチにはウチのやり方がある」と自社色に染め上げようとするとせっかくの貴重な視点も活かされることがありません。

新天地でさあ頑張ろうと入社してきても数か月も経つと、既存社員に同調する、危機感もなく覇気もない平均的な社員に育ってしまうでしょう。

可能性のある社員を潰してしまう悪意なき組織運営

会社員の方からすると、会社あるあるに聞こえるでしょう。一方で、経営者や幹部社員からすると死角になっていると思います。

経営側は毎月の売上作りが最重要で、案件をこなすことがほとんど全てになりがちです。

それはもちろん最重要なことなので、社内にある課題に対して目を瞑っている訳ではないことも承知しています。

理由は、とにかく余裕がないというのが本音で、悪意もなく、課題を放置して状況を悪化させている訳です。

逆に、一般の社員が会社の毎月の売上を真剣に心配することはないでしょう。

お互いに見ている景色が異なり、各々自分が置かれている立場でものを考えているということです。

ところで、優秀な人材とはどんな人材を指すのでしょうか。

簡単に言ってしまえば、会社の利益に貢献できる人というのが優秀な人材と定義されます。

さらに社長から見た優秀な人材の定義には「自分の意図を汲み取って動ける人」というのが加わります。

それでは、会社の利益に貢献するというのは具体的にどんな行動なのでしょう。

・売上を作ること
・業務を効率的に行うこと
・新しい企画を立てることや商品開発
・顧客満足度を高めること
・チームワークを高めること

会社の中にはいろんな貢献の仕方があります。

売上を作るのが得意な人、チームワークを高めるのが得意な人、それぞれが同じ共通の目的を持って、協力して仕事に関わることができたら会社全体が良くなるしかありません。

経営幹部としてあらゆることに対応できる能力を持った人は一握りしかいないかもしれませんが、個々の分野において優れた能力を持った社員は実は社内にたくさんいるものです。

ただ、社内環境が悪くて能力を発揮する機会がないだけです。

それとも無能な人間ばかりを採用しているのでしょうか?
そんなはずないです。

ナンバー2として選ばれる、期待通りに活躍してくれる人材は希少ですが、誰しもはじめからマルチな能力を持っている訳ではありません。

社内を見渡して、見落としているダイヤの原石を探すことが先ずは大事ではないでしょうか。

そして前述したような課題を少しづつ解決していくことが必要です。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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