見出し画像

【横断レビュー】「人生100年時代の生き方」系の本、結局まとめるとこういうこと

はじめに

 そもそも本を読むのってなんででしょう?小説などのフィクションはさておき、ビジネス書を読む理由の大半って、乱暴に言えば「何かを知りたい」「知識を増やしたい」ってことだと思います。
 今、Flyerなど一つ一つの書籍に関する書評やレビューは溢れていて、簡単に読める時代になりました。
 しかし、結局私たちが知りたいのって、その本の感想じゃなくて、あるテーマついての結論、なのではないでしょうか。
 というわけで、この「横断レビュー」シリーズは、いわゆるメタアナリシス的なアプローチでお送りしたいと思っています。つまり、同一テーマに関する複数の書籍を横断して、結局何が言いたいの?ってところにフォーカスを当てていきます

 記念すべき第一回のテーマは「人生100年時代の生き方」です。

人生100年時代ってなんぞや

 まず、こういった類の本に最初に書かれているのは「人生100年時代って何か」というお話です。すごくシンプルにいうと、医療技術などの発展に伴ってみんな長生きする時代になるよ!ってことです。ここは正直そんなに深く理解する必要はない、というかここの前提共感できない方はここ以降読むと時間の無駄になると思います。「人生100年時代」系の本では、ここは大前提です。これを前提とした上で、結局のところ「人口が減って、長く長く働く時代」が来るよ、そういう社会でどういう働き方をするべきなの?というのが本旨となります。

人生100年時代、よりよく生きるために何したらいいの?

 さて、早速本論です。結論から言うと、「自分の人生を生きよ」ということです。長く長く働く時代、そして急速に変化が起きる時代、他人依存や会社依存ではもたないよ、ということです。
 では、「自分の人生を生きる」ために何をしたらいいのでしょうか?

1. 自分の価値観を持つこと
 これは、これまで言われていたいわゆる「長期的なキャリアプラン」とは似て非なるものです。むしろ「人生100年時代」系の著者はこういったキャリアプランを否定します。時代の変化が凄まじく、今日ある会社・仕事が明日あると限らない世の中で5年先のプランを立てることに意味がない、という立場に立っています。
 また、いわゆる「自己診断テスト」的な物とも一線を画します。こういったテストは、予測力が無いことが明らかになっており、占いみたいな物だと断言されています。ペーパーテストではなく、行動してみて自分がどう感じるか、ということでしか自分の価値観は形成されないのです。
 つまり、彼らがいうところの価値観、とは「これまでの行動によって得られた経験から自分について理解すること」と言えるかと思います。「自分を理解する」というと難しい気がしますが、「自分が無条件で大切にしているものは何か」「自分が他の人と比べて比較的得意なことは何か」と言った質問に日頃から向き合い、また更新していくことだといえるでしょう。

2. 幅広いネットワークを持つこと
 これは、あくまで1で価値観を持った上で行います。1で「自分が他人と比べて比較的得意なこと」を認識したら、その得意なことをアウトプットすることをお勧めします。そうすることで、自然とコミュニティのハブになることができ、どんどんと人脈を広げていくことができます。

3. 積極的に新しい経験をし、複数のスキルを獲得し続けること
 過去の経験やスキルに縛られるな、これも「人生100年系」に共通して現れる主張です。長く長く、かつ急速な変化が起こるという環境要因を考えると当然の帰結と言えます。「電卓での計算が誰よりも速い」「チケットもぎりやらせたら日本一」「レジ打ちなら任せてください」そういった特化型のスキルの価値は、ある技術の進歩によって一瞬でゼロになってしまう可能性があります。今有り難がられているスキルだって、一瞬先はどうなるかわかりません。そんな一つのスキルにしがみつくのは、著者の言葉を借りるとバカラでバンカーに全財産オールインするようなものです。スキルのポートフォリオを組んで、かつそれを更新し続けていくのが人生100年時代のキャリア形成です。

4. 自分の気持ちに正直に決める
 これも自分の価値観を知っている、ということが前提となりますが、最終的な決断は自分の心で決める、ということです。この人生100年時代は、正解の無い世界でもあります。どうせ分からないのであれば、自分の気持ちに正直になって、自分が正しいとおもう選択をすることが最良の意思決定になる、と述べられています。

まとめ

 人生が100年かどうかという議論はさておいて、長くなるというのは疑いようの無い事実でしょう。その中で、「自分をよく知り」「人脈・スキル両面で世界を広げ」最終的には「自分の心で決める」ことで、自分の人生を生きることができるのではないでしょうか。

参考文献

南章行「好きなことしか本気になれない」, 株式会社ディスカバー・トゥエンティワン, 2019年
リンダ グラットン (著), アンドリュー スコット (著), 池村 千秋 (翻訳)「LIFE SHIFT」東洋経済新報社, 2016年
鈴木祐「科学的な適職」クロスメディア・パブリッシング,2019年


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?