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追悼藤子不二雄A(正確には〇にA)先生。

「まんが道」「忍者ハットリくん」などで知られる藤子不二雄A(正確には〇にA)先生が亡くなった。

「藤子不二雄」の中に、ダークな画風がある事に気が付いたのは、
ある単行本を見た時だった。

当時、少年だった私は少年漫画の出版社じゃないな、
と思いながら、その本を手に取った。

実業之日本社刊「黒ィせぇるすまん」。

「大人」というものに、まだまだ距離を感じる年齢。
背伸びをしたい気持ちはまだ持っていなかった。

それでも作品の中に描かれている大人の世界は、
恐ろしくリアルに感じられたのだ。

それは、子供心にいけない物を見ているような気分になった。
だが、その作者名が藤子不二雄(当時)である事で、
とりあえず安心した事を覚えている。

あと、吹き出しの文字が違う事に気付いたのも黒ィせぇるすまんが最初だった。

今、一般的なものは漢字が角ゴシック風、平仮名が明朝体風で構成される
新コミック体というものであるが、

当時の大人向け雑誌の書体は全て明朝体だった。
作品によっては、明朝体の線が細く、とても読み辛かったが
黒ィせぇるすまんは、もう少し太く読みやすかったような気がする。

長くマイナー扱いだったが、発表より20年を経て「笑ゥせぇるすまん」としてアニメ化され、
大人気となった時、「フン。俺は前から知ってるよ」と自慢したことが懐かしい。

個人的には、
芦田伸介のような渋みのある顔に生まれたため、人に弱みを見せられない男が主人公の
「頼もしい顔」が初見の時から印象的であった。

この「人に弱みを見せられない男が母性にとりこまれていく」という設定は、

藤子・F・不二雄先生の短編「やすらぎの館」にも登場する。
こちらは、F先生らしいSF的解釈とリアリティをもって物語が展開する。

(元)コンビで同じテーマでありながら全く違うテイストの作品を描いていることが面白い。
是非両方を読み比べて頂きたい。

            おわり



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