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「仮名手本忠臣蔵 五段目」・・・カッコ良すぎる悪役!


くう~。なんて粋でかっこいいんだ、この悪役。

五十両の入った縞の財布を奪って刺し殺すという嫌な役なのに
目が離せない。

「仮名手本忠臣蔵」五段目の定九郎を見たくて観劇した。

今回見た「仮名手本忠臣蔵」では、斧定九郎を中村獅童さんが演じていた。
苦々しい悪役がピッタリ!という印象である。
黒羽二重が鮮やかで、破れ傘が実に似合っていた。

実は人生初の歌舞伎鑑賞が「仮名手本忠臣蔵」だった。
その時もお目当ては定九郎。

なぜこの定九郎に拘るのかと言うと、
子供の頃、落語の「中村仲蔵」を聞いてから、
実際に舞台の姿を見てみたいと思っていたからだ。

ところが、何度かそれを失敗している。

前述の人生初の歌舞伎鑑賞における「仮名手本忠臣蔵」は、
学生で貧乏だった頃、それでも色々な芸術を見ておかなければと、
なけなしのお金をはたいて購入したチケットだった。

ところが、その日に限って、朝から用事が入り、
歌舞伎座に着いた時には既に六段目に入ってしまっていた。

その後も何度か通し狂言や一幕上演で「仮名手本忠臣蔵」の公演はあったが
なんだかんだと都合がつかなかった。

そして、ようやく観ることが出来たのである。

現在歌舞伎で演じられる「斧定九郎」は、
落語にもなっている初代中村仲蔵が明和3年(1766)に考案した形。
黒羽二重に献上博多帯。白塗りで月代を伸ばし、朱鞘の大小を差して破れ傘、といういで立ち(その前は赤塗りの山賊姿だった)。
この定九郎が評判になって、中村仲蔵は後世に残る名優になった。

落語では、上方の露乃五郎師匠が得意としていた。
当時子供だった私は、見たことも無い歌舞伎の世界が
頭の中に湧き上がってきたのを覚えている。

10~12月に、
国立劇場開場50周年記念歌舞伎公演として
『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』が予定されている。
さて、完全版で、大序から討ち入りの十一段目までをやるらしい。
これは見逃せない。

           おわり



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