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「にやうりんがる」・・・不思議な話。この翻訳機を信じるか?

「にやうりんがる」


昔、大ヒットした玩具に「バウリンガル」というものがあった。

その玩具に犬の鳴き声を聞かせると、
人間の言葉に翻訳して液晶に表示してくれるというものだ。

「バウリンガル」は大ヒットし、「人々を笑わせ考えさせた研究」に与えられる
イグノーベル賞まで受賞した。

その猫版で「にやうりんがる」というものがあった。

使っているという人に聞くと、結構楽しめるというが、
我が家では、あまり評判が良くなかった。
我が家の猫たちとは相性が悪いのか、
明らかにお腹が空いて泣いているのに、「好きだよ」と翻訳されたり、
翻訳内容もデモではいろいろあるのに、実際に使うと3種類くらいしか表示されず、
あっという間に、使わなくなってしまった。

「安くないのに無駄遣いね。そもそもあなたって人はね・・・」

たまたま虫の居所が悪かったのか、妻がいつも以上になじってきた。
なぜそこまで、貶されなければいけないのか、
しかも怒っている内容が、玩具から日常生活に変わってくる。
こうなると最早なぜ怒っているのかも分からなくなってしまう。


その後「にゃうりんがる」は、しばらく応接のテーブルの上に置かれていたが、
妻が見つけるたびに小言を言うので、ちょっとしたストレスの元になった。
仕方なく私は、すぐに押し入れに放り込んで忘れてしまった。

ところが、最近、スマホのアプリに「猫語翻訳」というジャンルがあり、
いくつかの翻訳アプリが無料でリリーズされているのを見つけた。

「にゃうりんがる」の事があるからな、と散々悩んだが、結局ダウンロードした。


翌朝、目が覚めた、と気づかれるとすぐに恒例の「飯よこせコール」が始まった。
私はスマホを取り出し、「猫語翻訳アプリ」を起動した。
「ニャウニャウ」という声を聴かせると、一瞬考えてから、翻訳が開始。

答えは・・・

「お腹空いた」

であった。
やった! こいつは本物だ。

飛び上がるように、喜び、もう一度鳴き声を聞かせた。

「ニャウニャウ」

翻訳は・・・

「好きだよ」

あれ? 変だな。

と思ったが、もう一度やろうとしたときに、
部屋の押し入れが目に入った。

その中には、例の「にゃうりんがる」が入っている。

私の頭の中で、正反対の考え方が巡っていた。

もし、もう一度やって翻訳が合えば良いが、間違っていたら・・・
二度と猫たちとコミュニケーションをとろうと考えなくなるかもしれない。

それに、もう二度と、あんなふうに妻になじられたくない。
私は、それ以来、そのアプリを使っていない。

そう言えば、犬用の「バウリンガル」の発明者がイグノーベル賞の授賞式に招かれたとき、
受賞のスピーチで、

「犬の言葉を翻訳する機械は出来たから、
今度は『ワイフ』の言葉を翻訳する機械を発明したい」

と言ったそうである。


おわり




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