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「芝居は『軸』だと再確認した」・・・πTOKYO 二人芝居「DUO」


友人の野良のりオさんからお誘いを受けて、πTOKYO 二人芝居「DUO」を観劇した。

赤坂のライブバーという環境で行われた二人芝居。
一枚の透明な仕切りを挟んでの二人芝居が二本続いて演じられる。

一部は鏡と鏡の向こうの世界。
森沢かなさんと野良のりオさんという対照的な二人の女性が、
「鏡(のような境界?)」を挟んで、時にリンクし、時に自由に動く。
観客はまずこの「鏡?の世界」のルールについて考察させられる。
それはある意味間違い探しのような面白みもある。

ネタバレにならない程度に少しだけ説明すると、
森沢さんの「私」の動きを、野良さんの「あたし」がゆるく追従する。

最初物語を引っ張り始めるのは「私」なのだが、やがて主軸を「あたし」に
移し始める。

今回の芝居は、それぞれの役者が持つ「軸」を
キャッチボールするようにやり取りするところが魅力となるのであろう。

ここで言う「軸」とは「台本に書かれている事」とか「演技プラン」「芝居の流れ」といったものを積み重ねて「存在感」として、舞台上に生み出しているものである。「柱」と言っても良いかもしれない。

一般に、人は「生き方」や「存在感」といったものを時と場合に応じて出し入れしている。
その誰もが持つ気持ちの攻防を描くのがこの芝居の目標、とまで読むのは考え過ぎだろうか。

ここで、野良さんの持つしっかりとした「軸」が、際立ってくる。
こういう風に自らの魅力を出せるのが野良さんの持ち味である。

ただ初日という事で、森沢さん野良さん両者の間での「軸」のやり取りが、
やや台本の形を追うことに気を取られていたような感じがしたが、
繰り返し本番を重ねることで、
舞台上に見事に展開するであろうことは容易に想像は出来た。千秋楽でどのようになっているか楽しみだが、残念ながら私は都合で行けない。


二部は、キャストを変えて、森崎りなさんと加賀谷崇史さんの二人で
受刑者(被告)と弁護士の刑務所の接見室での出来事を演じている。

以前アメリカで判事と被告が中学校の同級生だったというニュースが
話題になったことを思い出した。

この芝居では両者の隠された本心の探り合いがサスペンスとして
引っ張っていくことが狙いの一つとして出てくる。
それ以外にも色々な仕掛けがあるのだが、それは実際にご覧になって確認して頂きたい。

この芝居ではある方法で接見室の境界を踏み越えるのだが、それもお楽しみの一つである。

一部二部は、ほぼ同じセットで全く違う場面を生み出している。
さらに同日程でBsideとして、全く別の二人芝居が二本上演されるという。
どのように違いがあり、同じ部分があるのかと興味が湧いた。
現場で予告編のような告知があっても良かったのでは、と思った。


とにかく、コロナ禍の窮屈な環境と世相の中で、練習の機会も少なかったであろうと推測されるが、芝居が上演にこぎつけただけでも、今は奇跡のようである。
私の知り合いだけでも、今月は芝居が2本、映画撮影が1本、その他のイベントが2本中止または延長になっていたので実際の芝居を見るとそれだけでも感激である。


最後に贔屓にしている役者さん、野良のりオさんについて書きたい。

彼女は、舞台を中心に個性的なキャラをよく演じている。
そしてどの舞台でも彼女のいる空間と芝居が醸し出す「軸」が私は好きだ。

見終わって改めて思ったのは、野良さんは不思議な設定の芝居の中で、
ファンタジーをある種のリアルさをもって体現できる
かけがえのない役者であるということだ。

この先も楽しみである。


πTOKYOプロデュース 二人芝居「DUO」は、
A-side B-side 交互に8月22日まで公演している。
ご興味のある方は是非。詳細などは 赤坂πTOKYO にお問い合わせを。

野良ちゃん公演01


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