「芸の道は奥深きかな」・・・長唄、落語、和楽器。
「江戸吉原の文化」・・・両国シアターX(カイ)ロビー寄席にて
長唄と落語で廓で流行った文化の片鱗に触れた。
長唄は本当に意識しないと聞く機会が無い。私の親の世代では普通に
町中に長唄教室があり、時折垣根越しに聞こえてくることがあったらしいが
今ではそんな町の音に出会うことも稀である。
そこで今回の公演は面白かった。
長唄は望月太佐衛さん。落語は桂南なんさん。
長唄「吉原雀」の含蓄の深い色っぽさ。
同じく「俄獅子」の賑やかなお囃子。
それに続けて、落語「お見立て」で、
遊女たちの心理が表現されて、裏も表も堪能する贅沢な時間だった。
特に興味を持ったのは、長唄での三味線や鼓と謡の掛け合い。
今では「合の手」というと、歌と歌の間に入る言葉のつなぎ(「あそーれ」とか言うアレです)を思い出すのだが、元は
長唄や地唄で用いられていた短い旋律のこと。
歌と歌の間に入れるつなぎの楽曲で間奏とは違います。
「合の手」は、非常に短くて、
「合方(あいかた)」と呼ばれるものは少し長くて、旋律がしっかり聞き取れる。それらは、何となくイメージや雰囲気で入れるものではなく、
「新内の合方」「きりんの合方」「雪の合方」などときっちり名前が付いている。
映像の世界で言う、ジングルとか、ME(ミュージックエフェクト)とか
呼ばれるもの、ドラマなどで短い感情を表す音楽や場面転換のテンポアップに使う短い曲に近いように思った。
それらの「合方」が歌の隙間を繋ぐように入り、それが歌のリズムや
勢いを作り上げ、長唄に心地よさが生まれる。
そんな構造の面白さを知ることが出来て、非常に面白かった。
もう一つは三味線が実は太鼓と同じ構造をしていて、糸を引くと言うより、糸を叩くと言う演奏方法であることを改めて知り、そういえば確かに右手に持っている道具は「バチ」と呼んでいるなと思った。
ベテランの含蓄を、「群れつつキツツキ 格子先」という
吉原雀の一節そのままに、食い入って話を聞いた。
両国シアターX(カイ)にて不定期に開催されている「ろびぃ寄席」。
次回も楽しみである。
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