![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/108903295/rectangle_large_type_2_d0b065cac110006d5758cb4cd35b5c7d.jpg?width=1200)
練習で重要な5つの要素【コーチングログ#16】
練習メニューを作る上で重要な要素が5つあります。技術、戦術、フィジカル、メンタル、ソーシャルの5つ。この5つの要素を高いレベルで練習に組み込むことは意外に難しく、どれか1つの要素が抜けてしまうこともよくあるのが現場レベルでの正直なところだと思います。
今回はそんな5つの要素が上手く組み込めた練習を紹介したいと思います。まだまだ、指導者として課題も多く出た練習でしたが、振り返りも兼ねてまとめていきます。
練習内容
ネガティブトランジションありの1vs1
![](https://assets.st-note.com/img/1687162870899-dkiaJS0yLX.jpg?width=1200)
・DFがアタッカーにパスを出して1vs1スタート
・DFがボールを奪うorアタッカーがシュート
・1vs1が終わった瞬間にDFとアタッカーは両脇のピッチへ移動し1vs1スタート
・サイドの1vs1ではアタッカーはミニゴールへシュート
キーファクター
・緩急
・進路の変更
・間合い
・シュートの技術(精度、タイミング、スピード)
・半身で対応
2vs2
![](https://assets.st-note.com/img/1687162884238-4apjqBpTgy.jpg?width=1200)
・4チーム
・2つの2vs2を同時平行で行う
・縦ピッチではGKあり、横ピッチではミニゴールへシュート
・ゴールを決める、もしくはボールがピッチの外に出たらリセット
・コーチの笛で次の2vs2スタート
キーファクター
・ワンツー
・1vs1スキル
・トランジション
・数的優位
・状況判断
ゲーム
![](https://assets.st-note.com/img/1687162896272-SxOAkZ6W9a.jpg?width=1200)
・2チーム(7vs7)
・7vs7
・20分×2本
キーファクター
・1vs1
・コンビネーションプレイ
・状況判断
良かったところ
今回の練習は1vs1からゲームまで一貫性のある練習を行うことができました。普段は指導しない学年だったためどのようなテーマにしようかなと考えた時に、個人戦術やユニット戦術にフォーカスした練習がいいと思い、今回は『Beat a man(DFの攻略)』にテーマを設定。最初に1vs1でドリブルでDFを攻略する方法を落とし込み、2vs2で1vs1のスキルも使いながらDFの攻略することを取り組みました。2vs2ではオフェンスが2人いるので、新たにパスでDFを攻略するという選択肢が出てきます。ドリブルを使ってDFを攻略するだけでなく、ワンツーや裏抜けでDFを攻略することを落とし込むことができました。最後のゲームでは何度かワンツーを使ってDFを攻略する場面も生まれ、ドリブルとコンビネーションの使い分けを意識させることで非常に充実した内容のゲームになりました。
各選手のボールローリングタイム(ボールを触っている時間)も非常に多くの時間を確保できる練習メニューで良かったと思います。特に学年が低ければ低いほど、ボールに触る時間を多くしてあげた方が良いと思うので、練習の中で70〜80%はボールを触っている時間を確保することができました。また、練習の移り変わりもスムーズで最初の1vs1からゲームまで簡単に移行できる練習のオーガナイズにすることができました。そうすることでプレイ時間を最大限確保することができました。
そして今回の練習の裏テーマとして練習1つひとつのフィジカルアウトプット(肉体的強度)が高い練習をすること考えていました。そのため1vs1でトランジションがある練習をすることでスプリントをする局面であったり、2vs2でピッチの大きさを広げることで高強度の練習にすることができました。特に2vs2では各チーム4人(2人一組×2ペア)だったので、レストとプレイ時間をしっかり確保するとともに反復の多い練習にすることができました。技術的にも戦術的にも身体的にも良いアプローチができた練習になりました。
課題
1番の課題としては選手1人ひとりに具体的なコーチングをすることができませんでした。普段は指導しない学年だったため、選手のキャラクターを掴むところからスタートし、練習を回すところに比重がかかってしまったので1人ひとりに直接指導することができませんでした。チーム全体には意識してほしいことや狙っている現象を起こすためにコーチングを行うことができたと思いますが、もう少しより個人にフォーカスしたコーチングができればより実りの多い練習になったと思います。練習が終わった時に選手に「今日の練習で何を学んだ?」と聞いた時に正確に答えられている必要はありませんが、選手から今回の練習のテーマに沿った回答があるのが理想的だと思います。選手1人ひとりに印象に残る練習を行うことができればより濃いコーチングになっている証拠だと思います。
ピッチの大きさは1つ考える必要がある要素だと思います。特に2vs2ではGKありのピッチは全面を使ったので、少しピッチが大き過ぎた可能性があります。身体的負荷を高めるために意図的に大きめのピッチにしましたが、試合のパフォーマンスから逆算したニーズに応じたものにしなければいけません。今回はカウンター時を意識してスプリントしてプレスバックするようなイメージを持ってピッチサイズを決定しましたが、では「どのくらい反復した方が良いのか」、「どのくらいの長さ(時間)の練習にするべきなのか」など本来はもっと突き詰めなければいけません。
総括
今回の練習は冒頭でお話した5つの要素がそれなりのレベルで組み込めた練習だったと思います。技術で言うと1vs1や2vs2の状況でのドリブルやパスの部分にフォーカスすることができました。戦術で言うとネガティブトランジションやユニットで相手を攻略するというコンセプトがありました。フィジカルでは高強度かつスプリントが入るような練習のオーガナイズに。メンタルでは1vs1で仕掛ける自信や積極性に働きかける内容に。ソーシャルでは2vs2でペアを組ませることで味方とのコミュニケーションを意識させたり、最後のゲームでは2チームに分けて『勝負』を意識させることで"チームのために"というような意識付けができたと思います。まだまだ、コーチングのディテールや量は物足りない部分がありますが、全体のオーガナイズは非常に良かったのではないかと思いました。
もし宜しければサポートをよろしくお願いします! サポートしていただいたお金はサッカーの知識の向上及び、今後の指導者活動を行うために使わせていただきます。