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相手を意識した戦い方【UEFAチャンピオンズリーグ】レアルマドリードvsチェルシー

個々のクオリティがとても高くタレントが揃っているレアルマドリードとトゥヘル監督が就任し組織力に磨きがかかるチェルシーの対戦。

両チームともにしっかりと分析を行い対策を練って試合に臨んでいました。この一戦がいかに重要であるか物語るような両チームの周到な準備が見られ、相手を意識したゲームとなりました。

スタメン

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レアルはヴァランがコロナから復帰、怪我が心配されていたカルバハルとクロースは間に合い先発となりました。古巣との対戦となるアザールはベンチスタートとなりました。

チェルシーは直近のリーグ戦と同じメンバーで挑みました。


試合内容

前半試合を優勢に進めたのはアウェイのチェルシー。前半14分にプリシッチが裏に抜け出し冷静にクルトワをかわしたシュートが決まりチェルシーが先制。しかし、29分にレアルのCK、ショートコーナーからマルセロのクロスにミリトンが折り返し、最後はベンゼマが豪快なボレーシュートを突き刺してレアルが同点に追いつく。チェルシーはいくつか決定機を作ったが決め入れず前半終了。1-1-で折り返す。

後半は中盤での攻防が増える。両チームともに前半の課題を修正し相手に自由にプレーをさせない。75分にレアルはCKからヴァランがヘディングシュートするも枠外へ。78分にツィエクの直接FKはクルトワに止められる。お互いにフレッシュな選手を投入し点を取りに行く姿勢を見せるも、決定機は作れず試合終了。1-1で1stレグを終えた。


試合スタッツ
左がレアル、右がチェルシーです。

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試合ハイライト動画


レアルの積極守備と誤算

まずレアルの方がチェルシーをより意識した戦い方だったのかなと思います。特徴的だったのがマンツーマンディフェンスです。

チェルシー陣内でチェルシーがボール保持している時はマンツーマンでマークしていました。ホームということもあり攻撃的なディフェンスで試合を有利に進めたかったのだと思います。

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レアルの狙いはズレをなくして最終的にメンディーにロングボールを蹴らせてセカンドボールを回収することだと思います。レアルのDFは空中戦は強いのでそれも計算に入れてのプレスだと思います。

・レアルの2つの誤算
しかし、レアルが誤算だったのがチェルシーがしっかりと繋いできたことです。特にハーフスペースでボールを受けるプリシッチとマウントがボールをキープして前を向くことができたのでレアルは撤退を余儀なくされる場面が多かったです。

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9分のシーンではマウントがミリトンのマークを剥がして、ヴェルナーに決定機が来ました。マンツーマンは基本的に個の勝負となるのでチェルシーのシャドーを潰せなかったことは誤算だったと思います。

もう一つの誤算はセカンドボールを回収できなかったことです。カンテのセカンドボールの反応が素早く、ロングボールを蹴らせてヘディングで跳ね返した後にことごとくカンテがボールを拾っていました。

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マンツーマンを破られると最終ラインは同数の状況になっているので一気にピンチになります。ですのでレアルは途中からマンツーマンを諦めて5-4-1の陣形で守る作戦にシフトしました。


チェルシーの崩し

チェルシーは相手陣内まで前進すると3-1-6のような陣形に、レアルは自陣で守るときは5-4-1になります。自陣ではジョルジーニョと並びボランチの位置でプレーしていたカンテが積極的に前に出て行く場面が多かったです。

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チェルシーが相手陣内に押し込むとチェルシーの前線がレアルのDFラインと駆け引きを始めます。

特徴的だったのがチェルシーの前線が動くことでレアルのDFラインにデコボコを作る動きです。プリシッチが下りて背後にスペースを作り、ヴェルナーやカンテが背後に抜け出すような動きはよく見られました。

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前線から下りたプリシッチ対してナチョが食い付かなければ、そのままプリシッチにパス。食い付いた場合は背後を狙うなど徹底していました。

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チェルシーの1点目もヴェルナーが下りたスペースにプリシッチが背後へ斜めのランニングからゴールが生まれました。チェルシーがレアルの5バックを上手く攻略したシーンでした。


・マウント封じ
一方でチェルシーはストロングポイントであるマウントからの攻撃が有効に使えませんでした。

マウントが低い位置でパスを受けるとモドリッチがプレス。高い位置でパスを受けるとミリトンのマークにされ、マウントは思うようにプレーさせてもらえませんでした。常に1vs2の状況でマウントは機能不全にされてしまいました。

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レアルのマウント対策はとても上手くいったと思いますし、5バックの良さが出た部分だと感じました。2ndレグではこの対策に対しチェルシーもマウントを活かせるような作戦を練ってくると思います。


レアルの奇策

これまでレアルが見せたことがないようなビルドアップの仕方だったと思います。マルセロとカゼミロがハーフスペースに入りヴィニシウスがサイドに開いて幅を取るような役割でした。

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すると3-2-5のような陣形になります。状況によってはクロースがナチョとミリトンの間に下りて(クロースロール)4-1-5でビルドアップするなど柔軟さも見せていました。

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・レアルの狙い
レアルの狙いは3つあったと思います。

⑴チェルシーのマークにズレを作ること
ハーフスペースにマルセロとカゼミロが配置することでクリステンセンとリュティガーを引き出して空いたスペースにヴィニシウスやベンゼマが流れるような狙いがあったと思います。

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しかし、チェルシーはもレアルの対策を練ってきていて、レアルが想定していた守備の仕方をしなかったので上手くいきませんでした。

⑵ヴィニシウスを得意のサイドでプレーさせること
ヴィニシウスの得意なプレーはスピードを活かした裏抜けとドリブル突破です。彼の得意なプレーを引き出すために、よりスペースが出来やすくカットインしやすいサイドに配置しました。

⑶カゼミロを高い位置に置きチェルシーのカウンターを潰すこと
カゼミロがハーフスペースでプレーすることで、カゼミロのボール奪取力を活かしてボールを失ったときにすぐに奪い返せすことを期待したと思います。しかし、なかなか高い位置までボールを運べず、ネガティブトランジション(攻→守の切り替え)でカゼミロのボール奪取が発揮されるシーンがすくなかったです。


・チェルシーの想定
対するチェルシーは5-3-2(WBが高い位置を取ると3-5-2)でディフェンスしました。これはあくまで推測ですが、チェルシーはレアルが4-3-3もしくは3-5-2でビルドアップしてくることを想定して5-3-2だったのではないかと思います。

レアルが4-3-3でビルドアップするならほぼマンツーマンのような形で守備。

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レアルが3-5-2でビルドアップするとしてもチェルシーのマークはズレは起きないような守備陣形が設計されていたと思います。

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・チェルシーの混乱と修正
レアルの奇策に対して前半のチェルシーは混乱していました。
試合前からクリステンセンがヴィニシウスにマークすることを決めていたと思いますが、クリステンセンの前にはマルセロがいます。逆にアスピリクエタの前にはマークするはずのマルセロがいないので、アスピリクエタが浮いてしまい、チェルシーのディフェンスにズレが生じました。

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一時は混乱したチェルシーですが、後半はプリシッチ、カンテ、アスピリクエタがマーカーを受け渡すことで対応しズレを修正しました。内側に入ってきたらカンテが対応、大外はアスピリクエタ、プリシッチがボランチにプレスをかけていました。対人マークから役割分担でマーカーを変えたことでチェルシーの混乱は解消されました。

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一方でレアルは前半はハーフスペースでマルセロが上手く受けたりする場面がありましたが、後半はほとんどそういった場面はありませんでした。しかし、プリシッチがボランチのマークに回ったことで、最終ラインには余裕ができ前半よりもボール保持することができました。


最後に

お互いに相手を意識した作戦、対策を講じました。しかし、お互いに普段の戦い方を変化させたことで両チームともに用意してきた作戦がハマりませんでした。後半はお互いに修正を加えてお互いに快適なプレー出来ない展開となりました。両チームしっかりとこの試合に向けて準備してきたことがこの試合の重要性を表していると思いました。

前半はチェルシーが優勢に試合を進めていたと思いますが、後半はレアルの自力が徐々に発揮されたような試合でした。得点のシーンでは両チームのらしさが出ていたゴールだったと思います。個人の質が高いレアルと組織力の高いチェルシーの対戦はとても面白いと感じました。

やはり準決勝ということで、プレーのクオリティが非常に高く見応えのあるゲームだなと感じました。1stレグは1-1の同点ということで2ndレグが楽しみですし、チェルシーが奪ったアウェイゴールがどのように働くのか注目だなと思います。1stレグは締まりのある良いゲームだったと感じました。

ここまで読んでいただきありがとうございました。


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