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トライ&エラー【アナリシスログ#2】

分析官としてチームに加わってから2週間が経ちました。ようやくチームの流れや仕事内容が明確になってきたのでスムーズに働けるようになってきました。今回のアナリシスログはマッチデイの流れを紹介したいと思います。

1.荷物運び、ロッカールームの準備

まずは荷物運びから始めます。選手の集合時間の45分前にスタッフ(監督、コーチの方々、分析官)は集合して選手たちを迎える準備をします。この日はアウェイゲームだったので1人のコーチが荷物を積んで現地まで持ってきてくれたので、車からロッカールームまで荷物を移動させます。

・ボール
・練習道具(コーン、ビブス、チューブバンドなど)
・作戦盤
・ボトル
・練習着
・ユニフォーム
・ダウンジャケット
・水、食料

私は一番下っ端なのでなるべく一番荷物を運ぶように心掛けています。

荷物運び終えるとロッカールームの準備に取り掛かります。選手の座る場所をわかりやすくするために背番号が1から順番に椅子に掛けていきます。各選手の椅子にはユニフォーム、練習着、水を置いておきます。そして壁に試合のスタメン表とセットプレイでの配置図を貼り選手が確認できるようにセッティングします。中央には栄養補給のためのお菓子やバナナなどを置いていつでも選手たちが食べれるように用意します。

ロッカールームに置かれるお菓子

こうしてロッカールームの準備は完了です。しばらくすると選手たちがやってくるのでスタッフは簡単に試合のプランを確認した後にウォーミングアップの準備に取り掛かります。


2.ウォーミングアップと撮影の準備

基本的に試合前のウォーミングアップは各コーチがそれぞれ役割があり、それぞれの担当するパートは自分自身でセットアップするので私はボールに空気を入れたり、ボトルに水を入れたり、チューブトレーニング用のチューブバンドを並べておきます。そしてウォーミングアップの準備がすべて終わるとようやく自分のメインの仕事である撮影の準備に移ります。

試合撮影用の高台やスタンドがあるグラウンドやスタジアムは簡単にカメラを設置することができますが、この試合ではスタンドは閉めていて入れないとのことだったので良いアングルを探す必要がありました。監督とも相談しスタンドと反対側の丘からの撮影となりました。

この日のカメラアングル
反対側のスタンドから撮影できればもっと良い画角で撮れたのですが…。

最近のウェールズはとても寒く、この日はナイターゲームということもありかなり気温が下がっていました。カメラのバッテリーは寒いとすぐに充電がなくなるので(冬場のiPhoneのように)試合開始までカメラのバッテリーは外して自分で持って温めていました。

カメラのバッテリー
満タンに充電してても寒さですぐに充電が無くなる。

ウォーミングアップの準備とカメラの設営を終えるとチームミーティングに移ります。


3.チームミーティング、ウォーミングアップ

ロッカールームに戻ると選手たちも着替えてウォーミングアップの準備万端です。監督がこの試合のスタメンを発表しゲームのポイントを説明します。この日の監督からの選手たちへの要求は以下の通りでした。

・簡単な戦術確認(選手の動き方など)
・プレイの優先順位(前>横>後ろ)
・ボール保持時のバランスとリスクマネジメント
・ボランチへの求めるプレイ(縦パスの意識)
・ラストパスの質

チームミーティングでの監督の話のメモ

そしてチームミーティングを終えるとウォーミングアップの開始です。私は基本的に仕事がないのでボール拾いをしています。でも選手たちのクオリティーが高く、なかなかミスしないのでボールが飛んでいくことがあまりありません。そしてウォーミングアップ後に監督から「今日のウオーミングアップ10点中何点だった?」と聞かれました。監督は非常に向上心が高くチームワークを大事にする人なので練習後などにも「今日の練習どうだった?」と聞いてきたりします。私は「最後の練習が少し長くて選手たちが疲れてしまっているかもしれないから8点くらいだと思います。」と生意気にも正直に答えました。すると監督は「確かにもう少し軽めにしてもいいかもしれないな」と耳を傾けてくれました。

ウォーミングアップを終えると監督、コーチ、選手たちはロッカールームに戻り最後の試合前のミーティングを行います。私はウォーミングアップで使ったボールや練習用具を片付けてからミーティングに合流。基本的に試合前の最後のミーティングでは監督からのモチベーションを高めるための鼓舞する言葉が多く、戦術的なことは話しません。そしてミーティングが終わると試合です。私は急いでカメラの場所まで移動して撮影の最終確認をします(バッテリー、SDカード、カメラアングルなどの確認)。


4.試合

いよいよ試合のキックオフです。この試合では私はただ試合を撮影するのではなく、試合のスタッツも記録しようと試みました。正直に言って試合の撮影は誰でもできる仕事なので、そこにプラスαで何かチームのためにできないかなと考えていました。そこで今回は監督が欲しそうなスタッツを取ってみることにしました。

ハンドノーテーションでスタッツを取りました。

本当はポゼッション率も計りたかったのですが撮影しながらの記録は思ったよりもハードで断念しました。もう1人一緒に作業する人がいればやれることはもっと増えると思うのですが、1人なので出来る限りのスタッツを取りました。

前半の20分くらいで恐れていたカメラのバッテリー切れが起こり、慌ててもう1つのバッテリーと交換。バッテリー交換中にシュートを打たれた場面を取り逃してしまいました。カメラのバッテリー部分に手袋を装着することで2つ目のバッテリーは試合の最後まで持ちました。これからは始めから手袋を付けて撮影しようと思います。

バッテリーの部分に手袋を付けて寒さ対策しました。

そしてハーフタイムに監督の携帯に前半のスタッツを送信しひと段落。ハーフタイムのミーティングは時間が無いので私は自分の持ち場で待機し後半戦に備えました。ですので、ハーフタイムに監督がどんな話をしたのか、私の送ったスタッツを見たかはわかりません(多分ですが監督もハーフタイムは時間との戦いなのでスタッツを見ていた余裕はない気がします)。ですが、「試合後にスタッツ送ってくれてありがとう」と言われました。

ハーフタイムの間は極寒の中で持参したホットコーヒーを飲みながら暖を取っていたらあっという間に選手たちがピッチに登場しました。後半もスタッツを取りながら撮影を行いました。試合は3-0で勝利し新体制で初勝利となりました。

5.試合後のミーティング、片付け

試合が終わると急いでカメラと三脚を片付けてロッカールームへ移動。監督が選手たちに向かってチームトークをします。この日の監督からの選手たちへのコメントは以下の通りでした。

・勝点3は大きな成果
・しかし、改善点は多い
・後半はもっと試合を支配しなければいけなかった
・ラストパス、シュートの質を上げよう
・縦パスを多く入れることができた
・ボールを放すタイミングの判断を高めよう

試合後のミーティングのメモ

前半を終えて2-0で折り返して迎えた後半に相手の選手が1人退場したこともあり、さらに優位な状況になりましたが、客観的にみても監督の言った通りもう少しボールを握りチャンスを増やせても良かったのかなというのが個人的な感想です。今後の練習で監督が上げたポイントについては取り組んでいくと思います。

ミーティングが終わるとロッカールームの片付けに入ります。選手たちと協力しながら荷物をまとめコーチの車に荷物を運び入れます。準備よりも片付けの方が選手たちの協力もあるのですぐに終わります。こっちの人はあまり気にならないみたいですが、日本人の国民性なのかゴミが落ちているのをみると気になるのでゴミを全部捨てて綺麗な状態でロッカールームを後にします。試合後はスタッフミーティングは無く、グループチャットや後日の練習前のミーティングで試合の振り返りがあるので、試合の日の解散は早いです。

こうしてマッチデイでの分析官として仕事は終わります。試合から帰ってから試合の映像をアップロードしたり、コーディング、分析映像の作成などが待っています。どちらかというとピッチ外での作業の方が分析官は忙しいです。この辺の作業についてはまたの機会に紹介出来たらなと思います。

最後に

新体制でのチーム初勝利となり私自身もとても嬉しいです。今回の試合では試合中にスタッツを取りハーフタイムにフィードバックを送るという試みをしました。どれだけ役に立っていたかはわかりませんがこういったトライ&エラーは大切だと思います。せっかく分析官としてチームに携わる以上チームに貢献したいですし監督やコーチ陣の助けになれればという想いがあるので、出来る限りのことはやりたいなと思います。今後はハーフタイム中や試合中でのフィードバックはあった方がいいのか、もし必要ならどういったデータが欲しいのかなどを監督と相談しながら取り組んでいければいいなと思います。トライ&エラーを重ねながら自分の仕事の質を高めていければいいなと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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