大首領はなにを食べるのか
ワシが子供ん頃の話や。
当時のワシは母子家庭で、母親が帰ってくるのも夜おっそいおっそいやったから、まだ一人でご飯も食べれへん頃は近所の山下のジジイの家に預けられててんな。
山下のジジイは、口も臭いし、飲んだくれやし、ホンマに嫌いやったんやけど、唯一そのウチにいるのが楽しみなことがあってん。
楽しみやった理由。
それが『テレビ』やってんな。
ウチは貧乏やから、自宅にテレビもなくてな。ジジイのウチに行くまで、テレビの存在すらほぼ知らんかった。せやから余計に、一度知ってしまった喜びは、心ん中に大きく刻まれんねん。今でもよく覚えてるわ。
まぁそんなことはどーでもよくて、こっからが本題やねんけど。
そこでワシは、初めて何かにハマるって体験をしたんや。
金曜日の夜7時。
その日だけは、いつも反りが合わへんジジイの息子のよっちゃんと喧嘩もせずに、2人でテレビに釘付けや。
なにせあの、『スカイライダー』が始まるんやから(知らん人は勝手に調べてな)。いわゆる仮面ライダーの種類の1つやってんけど、ワシはそれにメッチャハマってんな。
主人公の筑波洋がバッシバシとネオショッカーの怪人を倒してく様がホンマに格好良くて、子供ながらに「将来こんな格好良いヒーローになりたい!」と思ったもんやで。
まぁそんなふうに何かにハマると、人はもっとそのヒーローに詳しくなりたいと思うもんや。
洋の使ってるハンググライダーがどこ製だとか、みどりの雑な扱いは役としてドラマとしてどうなんやとか、今太みたいにはなりたないなとか、よっちゃんと、たびたび議論になったな。
ただよっちゃんもワシと一緒で、別にライダーに詳しいわけやあらへん。せやから結局疑問だけが残るんやけど、まぁそれは子供なりに納得でける結論を勝手に出して終わらせててん。
でもそんなある日、
ワシらはどうしても解決でけへん疑問を持ってしまったんや。
いっつも出てくるネオショッカー大首領と、その仲間の怪人たち。
「あの怪人たちは、毎日何食べてんねんやろか?」って。
戦闘員は見るからに元が人間やから、人と同じもん食うてるんやろなって、よっちゃんも納得したんやけど、なんか人っぽくない強い怪人もおるやん?
アレも同じなんやろかって疑問に対する答えだけが、一向に出ぇへんかってん。
今にして思えば、そいつらも『怪人』で、元は人やから、「人と同じようなもん食うてるんちゃうか?」で納得でけたと思うんや。でも当時のワシらはそれではあかんかってんな。なにせ、もし怪人の食料が人やったら、自分らが食われてしまうかもしれへん!て思ってたから。
そんでな。
やっぱそんな時は、『叡智』に頼るしかないねん。最後に子供が頼るのは、大人しかあらへんのや。
ワシとよっちゃんは、ある日、意を決して山下のジジイに聞いてん。
「ネオショッカーの怪物は、毎日何を食べてるの?」って。
そしたらな、ジジイはこう答えたんや。
「さきイカと焼酎やろ。知らん知らん」て。
ワシ、そん時な、
将来こんな大人にだけはなったらあかんて思ってん。そんなことを深く心に刻んで、ワシは大人になったんや。
……でもな、
先日、ふとワシのTwitterの呟きをツラ―っと見返しててん。
そしたらな、こんな呟きを見つけてん。
お母ちゃーん!
多分、多分やけど、
ワシ、もう手遅れやと思うわ!
なりたくなかった大人に
もうなってしまってるわ!
ワシはコバエや。
ウ○コの周りを飛んでる
コバエみたいなもんや!
バイクだけに、ブンブン!
お後がよろしいようで……
そこのお兄さん、ワシのnote、オススメやで。えへへへ。 ほれ、さっさとサポートしてんか。ほれ、ほれ!