シェア
和蘭三葉
2018年11月12日 10:02
あ、もう缶コーヒーがホットなんだな。 良太がベージュのコートに手を突っ込みながら、私たちの町を半永久的に照らす自販機を見つめてそう言った。「あったか〜い」の「〜」のおかしさについて私たちは三十分近くも笑っていた。あの頃、私たちは幸せだった。二人きりのババ抜きや、コンビニの安いおでんや、ディズニーツムツムでハートを送りあっていたあの日々は、とても幸せだった。冬が始まろうとしていた。 金木犀