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カレーうまい

 ごはんを皿にのせるという底辺な目標に日々トライしているわけだが、このところカレーばかり食べている。なぜなら、成城石井でミニナン五個入りを買ってしまったから。ナンを消費するためにカレーを食べている。まあ、カレーは好きだから全然苦じゃない。
 苦じゃないんですけど、チンするために皿に移してるときに思った。もっとカレーっぽい皿で食べた方が楽しくない?
 人は見た目が九割。カレーも見た目が九割。知らんけど。私は見た目にこだわる人間なので、カレー皿を探しました。インドカレー屋さんで出てくるようなステンレスのやつ。というか、ステンレスだとカレーの匂いとか色移りが防ぎやすいんですね。やっぱ古くからそうあるものは、そうである理由があるんだな。理にかなっている。
 とにかく、あれにカレーを盛りたいし、ナンを置きたい。ついでにサラダとかデザートも付けたらめっちゃハッピ~。生活の中にハッピ~を作っていこう。ということで、私はカレー皿を探すハッピ~な旅に出たのです。

 見つからない。全然ハッピ~じゃない。ふざけてんのか。
 まず、探す場所が間違ってたね。渋谷とか新宿を歩き回ったわけだが、想像していたステンレスの皿が無かった。なんかおしゃれな皿しか無い。今になって考えてみれば、合羽橋の方が絶対すぐに見つかったよなという感じ。合羽橋は自分のテリトリー外だから行くのちょっと躊躇ってしまった。
 ダイソーでキャンプ用のステンレス食器が売っていると聞いて行ってみたけど、ちょっとサイズが小さい。キャンプ用だからな。あと、キャンプ用のステンレスの平皿は売ってたけど、カレー用の器が無い。小さくて、やや深めの容器みたいなの。平皿の上にのせるやつ。
 結局、通販で買いました。やっぱ通販が最強。しかもかわいい食器が他にも売ってたから、カレー皿以外も買っちゃった。インドや東南アジア系のテイスト大好き。
 そして、頼んだ食器が届いたので、早速カレーを食べました。

 囚人感あるけどなんかハッピ~だ! 見た目にこだわるが盛りつけは上手じゃない。口だけ人間。オモロだな。
 成城石井のナンと、無印良品のエビとココナッツのカレーと、なんか適当に作った常備菜と、ライチのシロップ漬け。ライチまじでうまい。夏になるとコンビニで売ってるのほんと好き。世界、ありがとう。でも欲を言えば一年中売ってほしい。まあこれは缶詰のライチなんだけど。
 家でごはん食べるの楽しくなってきた。楽しくなってきたので、映画も観てやった。カレーだから観たことないインド映画でも観ようかなと思ったけど、前に映画館で観てもう一回観たかった映画があったので、オンラインレンタルで観ました。
 観たのは「ノーザン・ソウル」。DVDかブルーレイが欲しいのに、日本版が出ていないという衝撃の事実。後生だから出してください。

 平凡な主人公・ジョンが青年・マットと出会って変わっていく、青春のワンシーンを切り取ったような、とても好きな映画。この映画の柱になっているのは、イギリスでのノーザン・ソウル。文化の興隆が好きだからこういうムーブメントを描いた作品すごく刺さる。
 主人公含むイギリスの若者たちが、アメリカのモータウン系のソウルミュージックからイケてるものを見つけ出してきて、レコードを回しておクスリを打ちながらみんなで踊り狂うんだけど、面白い文化だな~。そういう音楽を自分たちで作っていくんじゃなくて、発掘してオラッ聞けっ! っていう感じが。いかにすばらしいものを見つけられるかっていう。あとレビューに「ドラッグのシーンは誇張しすぎ」っていう海外からのコメントが多くてちょっとウケた。
 Tobi Legendの歌詞がこの映画の重要なパーツになるんだけど、その歌詞を未知の中から見つけたときのジョンの必死な感じ、すごく分かる。未知からすばらしいものを見つけたときの感動ってやばい。こうして映画感想文を書いているように。
 で、ジョンがマットに誘われるようにノーザン・ソウルっていうムーブメントにハマっていくんだけど、そこもこう、のめり込んでいく感じが熱くて良い。青春の行動力。そういうものを捨てずに生きていきたい。
 あとこの映画、ラストシーンが特に好きなんですよね。五億回観れる。オタク、すぐ誇張表現しがち。でもこの映画ほどラストが気持ち良い青春映画はなかなか無いよ。五億回観たいから本当に本当に日本版DVDお願いします。それか爆音映画祭で上映してほしい。というか上映されたことあるのかな。自分の行ける地域しか確認しない人間。
 途中で仲違い、紆余曲折があって、そして迎えるラストがな……言いたいけど言えない。観てください。こういう青春ものっていつか終わりが来るし、それを良い雰囲気に綺麗にまとめがちなんだけど、あのときの思い出を忘れずに生きていくぜ的な。そういうラストじゃないのが良い。
 最初のジョンはちょっと冴えない感じなんだけど、ラストのジョンはかっこ良く成長してて、それももうなんか言葉にならない。すばらしい青春映画だから、青春を通り過ぎた人に観てほしい。心動かすものを持っていた人には刺さるのではないかと思います。Tobi LegendのTime Will Pass You Byがめちゃくちゃ効く。

 一回限りの人生なので、今年前半は自分の好みを第一優先にして、住む場所も職場もガラッと変えたんだけど、自分の感覚で選び抜いたものに囲まれてるから毎日楽しくてやばい。正直金銭面的には前よりも若干不安なんだけど、まあどうにかなるかという明るい気持ち。
 ノーザン・ソウルのラストシーンをずっと繋げてるような感覚。続いてるんじゃなくて、繋げてる。何にしても勝手に続いていくものなんてないから、自分で繋げていかなきゃな。ごはんを器に盛るのも続けていかなきゃな……。

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