けだるさにねこを求む
日差しと湿気の合体技によって絶妙な夏っぽさを感じるベランダで、ぼぉーーーっとアイスを食べながら思った。猫、飼いたい。
ひとくちめにチョコの壁を突破。
毛色はどんな子が合うかしら。
ハチワレもサバトラも涼しげで綺麗だし、ロシアンブルーのような深みのある灰色にも惹かれる。純白かと思いきやワンポイントで三毛が見えるのも、シャムのようにくっきりふんわり主張してくるのも綺麗だ。思いきってアビシニアンとか黒猫はどうだろう、その子の美しさに酔ってしまいそうだ。
ふたくちめにバニラの甘さが喉を占領する。
性格はどんな子がうちに来てくれるのかしら。
遊び好きでやんちゃっ子?それとも大人しくて人見知りしちゃう寂しがり屋さん?はたまた自分大好きで甘え上手なアイドル系とか?おっとりしてて時間を忘れるくらい過ごせる子も良いな。でーんと構えて甘えさせてくれる姉御キャラな子だとめろめろになりそう、、
さんくちめでもう一度チョコを発掘。
私の家族は猫ちゃんを受け入れるかしら。
母親は毛の生えた生き物全般苦手だし、父親は過保護になって太らせちゃいそう。妹は私以上に猫の扱いに慣れてないからギクシャクするかもしれないけど、なんだかんだで1番世話を焼きそう。私は……猫ちゃんの健康とか睡眠時間を気にしてオロオロしてそう。笑
よんくちめ、そろそろ棒が見えてきた。
飼えるタイミングはどうかしら。
今は学校やバイト、友達や恋人との時間をやりくりするので手一杯。でも5年後なら?3年後は早いかな?その時までに自分の家に猫ちゃんを飼えるくらいの余裕と、スペースと、覚悟が備わっていて欲しいな。ぬいぐるみで練習しようかな、、笑
ごくちめでほぼ食べ終える。つぎは違う味を制覇するのも良い。
猫や犬に限らず、生き物を養うって難しい。
もちろん人間もそれに当てはまるのだけれど、何かを育むにはやっぱり時間やお金、心の余裕、愛情っていうものが必要になってくる。ペットの場合は適性やアレルギーの有無も関わってくるのね……なんだか現実味を帯びてきた。
ベランダにいると干からびそうなので、一旦部屋に戻る。サメの抱き枕が目に入った。
ブラッシングして遊んでやるかーなんてテキトーな独り言を言いつつ抱きしめる。生き物を大切にするって事は、どういう事なんだ?結局。
可愛がればいい訳はなく、躾をし、主との関係性を理解させて、お互いに生きる。それって難しいなあと思うのは、自分がそんなに経験を積んでいないのもあるのだろう。
愛があればなんでも出来るのは、愛の中に細やかな気遣いや現実的な措置、物理的な支えも含まれた上のものでもあるのか。なるほど。
ステキだなと思う。
まずはぬいぐるみから始めよう。
猫にかまけて、
夏のアイスにもかまけて、
すぐ日差しにからだが包み込まれてゆく。
夏が来る。
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