旅先の東北で、キセルがばれ、真冬の見知らぬ駅で降ろされる話。後編
とりあえずは車掌から逃れられた。
しかし、まだ出発したばかりだ。
福島まではまだ15駅ほどある、時間も2時間近くかかる。
絶望感に包まれた。
それからは眼をあけることもできず、
車両の連結ドアが開く気配だけを探りつづける。
山形を出発して1駅目、列車が発車し、
しばらくすると連結ドアの開く気配がする。
車掌だ、真っ直ぐにこちらに歩いてくる。
大きな荷物を持った、いかにも旅行者の若者、
絶対に切符を確認しないといけない。
当たり前だろう。
渾身の寝たふりを続ける僕。
車掌の