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行動力のあるバカが無駄に動き回ってカメラマンを目指す話 その2

前回のその1では、
「ふと」とか「なんとなく」とか、「軽率にも」か「無思慮に」
カメラマンを目指すことになった「バカ」だが、今回は斬新な発想で事態をより一層悪化させる。
今回も挿入されている写真は当時のものだ。
身もだえしてしまうほど、おぞましい写真ばかりだが、
自戒の意味もこめて、ここに公開しておく。

4.経験値も稼いでいないのに、謎のレベルアップ

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それからの「バカ」の思いつきの件だが、
なんと、あり得ない展開として、カメラマンの仕事を探し始める。

本当に凄い発想だ。
それまでに撮った写真は全て残してある。
失笑ものでしかない。
センス云々よりも、写真に入門すらできていなかった。
その技量で、お金を稼ごうとしている。
詐欺とか泥棒といった方が適切だ。

考えがたい愚かさだ。
その選択を行った、自分自身に驚く。
誰よりも写真のことを軽く考え、なめていた。

写真撮影のアルバイトを、適当に選び、ぞんざいに応募する。
どの会社も、相手にはしてくれない。
戦力として考えると、大学中退で未経験のフリーターは不要だろう。
履歴書の出来や、電話口での応対もひどいものだった。
門前払いは当然すぎる。
どうせ採用するなら、もっと見込みのある人間にする。

だからこんなバカに興味を示すのは、今でいうブラック会社しかない。

5.バカの一念、岩をも通す。写真でお金をもらう

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無謀にも採用したのは、スポーツ専門の撮影会社だった。
望遠レンズを持っていたからかもしれない。
ただそれよりも、誰でも良かった、としか考えられない。
その理由はすぐにわかる。

何の研修もなしに、いきなり本番の撮影に行かされる。
下手すぎる自分では、何ともならない内容だった。
誰もフォローはしてくれない。
ぼんやりした事前説明を受けたのみだ。
一体、何を考えて一人で撮影させたのか、
正気とは思えない。

スポーツ撮影は危険だ。
技術も必要であるし、その競技に詳しくないといけない。
何よりも、撮影に失敗すると取り返しがつかない。
そのシーンは2度とないのだから。

その撮影は少年野球だった。
試合会場は遠く、
1日3試合の撮影。
そして真夏。

7000円ぐらいのギャラだった。
交通費に3000円ほどかかり、飲み物と食事で1000円以上。
1試合1000円で撮影させられた計算になる。

こんな待遇では、まともなカメラマンなら受けない。
当時の自分のような、最底辺のカメラマンだけが集まる仕事場。

そして、そんな最底辺の仕事ですら、まともにこなせなかった。
未経験で初めての撮影内容だった。
それを差し引いても、なかなかの壊滅具合だった。
即クビになるレベル。

6.残酷な現実、事態を悪化させるバカの浅はかさ

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そもそも、まともに写っていない。
構図、ピント、シャッタータイミング。
写真の三大要素、全て論外だった。

何より許しがたいのが、
思いつきで、レンズにフードをつけた。
余計な光をカットするためのものだ。
バカのくせに、どこかでそんな知識を得た。
詳しく調べて、事前に試すような知恵はない。
案の定、使い方を間違える。
写真のほとんどにそのフードが写り込んでしまう。
そのために、トリミングという余計な作業が、
ほぼ全ての写真に必要になる。

残念なことに、それだけの手間をかけたとしても、
もとの出来がひどすぎるので、どうにもならない。

それはこっぴどく叱られた。
そして、それで済んだ。
その後も戦力として数えられ、以降も撮影に駆り出される。

「新人なので最初は失敗するのは仕方ない」とは思わない。
少なくともあの失敗については。
長い間カメラマンとして撮影してきた経験をふまえて、
「あれは無い」と断言できる。
いくら未経験の、ド素人だとしても、
あのレベルで失敗してくるとは想像できない。
とにかく超絶的な下手さだった。

7.トライ、アンド、100%エラーの先に

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そしてそんなクズを使い続ける会社もあり得ない。

引き寄せの法則とかになるのだろうか。
バカとバカが出会って、
お互いになんだか噛み合ってしまう。

日々、どんどん場数を踏むことになる。
バカはバカなりに、段取りや手順を覚える。
何か写真の技術を、身につけたわけではない。
その撮影は、技術を必要としていなかった。
そんな仕事であった。

バカなので、やってみないとわからない。
必ず失敗するが、ひどく痛い目に合うので学習効果が高い。
普通はそうそう失敗を犯せない。
最底辺の職場では、ミスがあふれている。
どれだけ失敗しても、大きな問題にはならなかった。
隠蔽工作とか、クレーム処理はどうしていたのだろうか。

トライ、アンド、100%のエラー。
この繰り返しで、着実に経験値を稼ぐ。
まわりには、凄まじく迷惑をかけたはずだ。
まともなカメラマンが集まらない、
ブラックな会社に潜り込んだ。
それが結果的には、正解だった。

だからこの会社でもう少し働いて、もっと経験を深める。
バカなので、順当な選択などできないのだった。

また軽率で無思慮な行動力を発揮することになる。


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