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ぐん税ニュースレター vol.30 page01 -ご挨拶-

 皆さまいかがお過ごしでしょうか?

 せわしなく過ぎた年末年始も過ぎ、巡航速度となる2月になりました。昨年にやり残した仕事を年越しで片付けて、ほっと一息もつかぬ間に、新年を迎えてしまいました。1月に59歳になり、還暦まであと1年の大事な年なのにスタートダッシュに出遅れた感があります。ヘルニアも完治しましたが、しばらく安静にしていたせいで筋力が衰えたようで、少し運動を頑張っています。以前と同じような動きをすると再発するため、運動機能を回復させるようにトレーニングをしています。
 さて、BBCのニュースジャパンで2023年1月23日に面白い記事が掲載されていました。

 「日本は未来だった、しかし今では過去にとらわれている BBC特派員が振り返る」という記事ですが、日本の低迷の原因を分析しています。

1980年代後半に、日本国民はアメリカ国民よりも裕福だった。しかし今では、その収入はイギリス国民より少ない。
日本はもう何十年も、経済の低迷に苦しんできた。変化に対する根強い抵抗と、過去へのかたくなな執着が、経済の前進を阻んできた。そして今や、人口の少子高齢化が進んでいる。
日本は、行き詰まっている。

BBC NEWS JAPAN

 アメリカ人なら、僕の知らないことを話して(Tell me something I don’t know.)とチャチャを入れたくなりますが、この記事の分析は興味深いです。

この国の官僚主義は時に恐ろしいほどだし、巨額の公金が意義の疑わしい活動に注ぎ込まれている。
日本アルプスのふもとにある小さい町で使われる、見事なマンホール蓋(ふた)の裏話に巡り合った。町の近くの湖で1924年に、氷河時代のナウマンゾウの化石が発見されて以来、ゾウはこの町のシンボルになった。そして数年前に、この有名なゾウの姿をあしらったマンホール蓋を、町のすべてのマンホールに使おうと、誰かが決めた。
同じようなことは日本各地で行われている。「日本マンホール蓋学会」によると、全国のマンホール蓋のデザインは、6000種類に及ぶ。マンホール蓋が大好きだという人が大勢いるのは理解できる。芸術品だと思う。けれども、1枚につき最大900ドル(約12万円)するのだ。日本がどうして世界最大の公的債務国になったか、理解するヒントになる。そして、高齢化の進む人口は膨れ上がる巨額債務の軽減につながらないし、医療費や年金の圧迫で高齢者は仕事をやめることができないのだ。」

私が日本で自動車運転免許を更新したとき、とことん丁寧なスタッフは私を視力検査から写真撮影ブース、料金支払いまで案内してくれて、さらには「第28講習室」へ行くよう指示した。この「安全」講習は、過去5年間で何かしらの交通違反をした全員に義務付けられている。
部屋に入ると、同じように罰を受けるのを待つ人たち、心もとなさそうに座っていた。パリッとした身なりの男性が入ってきて、「講習」は10分後に始まると説明した。しかも、2時間かかると。
「あれはいったい何が目的なの? あれは、罰なんだよね?」 
オフィスに戻り、日本人の同僚にこう尋ねると、
「そうじゃないよ」と彼女は笑った。
「あれは、定年退職した交通警官の働き口を作るためなの」

実質賃金はもう30年間、上がっていない。韓国や台湾の人たちの収入はすでに日本に追いつき、追い越している。
それでも、日本は変わりそうにない。原因の一部は、権力のレバーを誰が握るのか決める、硬直化した仕組みにある。

日本は単独政党国家だろうと、冗談で言う人もいる。それは違う。しかし、特権的なエリートが支配する政党、アメリカに押し付けられた平和主義を廃止したいと切望する政党、それなのにもう30年も生活水準を向上させられずにいる政党に、なぜ日本の有権者は繰り返し投票し続けるのか、そこを不思議に思うのは、当然のことだ。

BBC NEWS JAPAN

 つまり自民党の長期政権が続き、それを有権者が支持し続けるのがわからないというのが筆者の疑問です。ただ、自民党は既得権益と複雑に結びついていて有権者が何らかの恩恵を受けているので変えられないという状況にあるようです。
 しかし、これは単に政治だけにとどまりません。私は職業団体として公認会計士協会と税理士会に加入していますが、高い会費を徴収する割には、例会や理事会のやっていることの無意味さにはあきれるほどです。会長になりたくて雑用に一生懸命な会員を見て、それより本来の仕事をしっかりやって事務所を大きくする方が先じゃないのって思ったりします。また、自分の事務所には奥さんとアルバイトしかいないのに経営相談だとか、融資相談に乗りますとか、税理士会で商工会議所やらの経営相談や納税相談に派遣するとなると出たがる人がいたり(数万円の日当が欲しいのかもしれませんが)、もうエゴ丸出しですね。役員は役員同士の阿吽の呼吸で自薦で決まってしまうので、暇で押しの強い人が役員になります。これで地域社会に奉仕するなんて無理ですから。「税理士会は税理士の義務の遵守及び税理士業務の改善進歩に資する」ことを目的としていますが、互助会組織となってしまっています。会長も役員も決して能力が高いから選ばれているわけではないのです。公認会計士協会も同様です。弁護士会も変な会長がよくいますよね。
 実力を反映させて事務所の売上順、または社会貢献というのであれば納税額順に役員を決めればいいと僕は思いますが、変でしょうか?また税理士や公認会計士の能力を一定に保つために毎年試験を課して、篩にかけるようなことも必要だと思います。

 最近、トヨタ自動車の豊田章男社長が退任して会長になるというニュースがありました。

 豊田章男という人は一部から大きな誤解を受けているが、決して権力欲の強い人ではない。社長の椅子にだって特別しがみつきたいとは思っていないし、一部でしつこく蒸し返される経団連会長への執着も、実態としては全く逆である。むしろ本人の美意識としては、世俗的な名誉職である経団連会長など、ごめん被りたいと強く思っているのだ。
 だからこそ豊田章男社長時代のトヨタは、可能な限り政治と距離を置いてきたし、本当に必要になるまで、経団連に自動車関連の部会を設けようとはしなかった。実は経団連側は、長年にわたりトヨタの積極的参加をずっと熱望してラブコールを送り続けてきたが、むしろトヨタはそれから逃げ回ってきた。
 それはそうだろう。経団連にしてみれば日本最大の企業であるトヨタは味方にしたいに決まっている。ところが当のトヨタは、政治を当てにしていない。むしろ放っておいてほしい。相互不干渉こそが理想だったのだ。その姿勢を変えて、2022年にモビリティ委員会を設置したのは、急激に状況が変わったからである。
 菅政権の発足によって、カーボンニュートラルが最優先政策として定められ、理想主義に特化して実現がほぼ不可能と思われるルールがどんどん策定されようとした。隙あらば「内燃機関の完全撤廃」を掲げようとする勢力が暗躍し始めた。結果的にはハイブリッドを除外するという形で落着しているが、これをさらに押し込もうとする勢力が今も実在している。
 突如として政治が自動車産業に干渉を始めたのである。その力学的変化の結果、政治と対話をする産業側のカウンターパートがどうしても必要になった。それには既存の、業界内調整団体である日本自動車工業会では格が合わない。あるいは機能が合わない。政治に面と向かって、「NO!」と言える組織を作らずにいたら何がどう決まっていくか分からないからである。

池田直渡「週刊モータージャーナル」

 このトヨタ自動車も菅政権と小泉環境大臣の下でカーボンニュートラルが最優先政策として、内燃機関の完全撤廃を政治課題としてきている日本政府にはもう付き合いきれないとばかりに、本社拠点を日本からタイに移転させる計画です。豊田章男氏をもってしても経団連を始めとする財界、政界、マスメディアの鉄の三角形には勝てずに、日本から出ていこうとしています。Co2削減のために太陽光発電を推進して、原発再稼働を反対して、世界一高い電力で工場を動かさなければならない、さらにはSGDsなどと言ってガソリンエンジンを撤廃などというバカなマスコミは本当に売国奴です。センセーショナルなことを言って国民を煽っているつもりなのでしょうが、騙された高齢者があちこちで政治活動を行って、国益を損なっています。
なんか、年初から日本経済の展望が暗いものになってしまいました。
僕も日本脱出を検討したいと思います。

ぐんま税理士法人
代表社員 小林浩一


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