マガジンのカバー画像

VERBE〜動詞的な日常

200
「動詞としての文化」とは何かの考察
運営しているクリエイター

2020年3月の記事一覧

「強い言葉」が吹き荒れる中で

「強い言葉」が吹き荒れる中で

SDJF(日本フランス語教育学会)の会費をあり得ないほど滞納し、本日ついに全額を収めた。妻に「かなりの額でごめん」と言ったら、「きちんと払わないと信用に関わるでしょ」と言われた。偉そうに生きているが、自分はこの程度の人間である。つねに謙虚であろう。

自分は相変わらずしょうもない。他方で「強い言葉」が気になって仕方ない。「〜べきだ」「〜しろ」という語尾とともに発せられる言葉、有無を言わせぬ批判、追

もっとみる
心象が巨大化する時代に

心象が巨大化する時代に

国際文化学への人文学的アプローチとして「個人の内面」に着目する研究を続けている。いわば内面の心象風景を考察対象とするわけだが、ここで意識しているのは「心象の発生条件」だ。

僕らはそれぞれ思想・良心・宗教感情を兼ね備えている。その思想的枠組みは「眼鏡」のように僕らの感覚を規定する。言い換えると「先入観により認識が歪められる」のである。

誰もがSNSで「心象」を発信する時代だ。「だるい」「うざい」

もっとみる

季節を動詞化する

昨年の9月に俳句を始め、一日一句を詠んでいるため、これまで200句ほど作句した。数にすると改めて新人っぷりがわかる。

息子が2歳の頃、子供用の図鑑のヒトデを指さして「きらきらひかる」と歌い出した。息子にはヒトデが星に見え、当時歌っていた「きらきら星」を思い出したのだろう。プレバトを見始めた頃だったので、この「かわいらしいエピソード」を俳句にしようと思い、いろいろ工夫するも、まったくうまくいかなか

もっとみる
日常を物語化する

日常を物語化する

研究会運営、ラウンドテーブル企画、個人発表、国外出張などがすべて中止となったので、膨大な暇ができた。次々と迫る仕事を順番にこなし、家事・育児や運動を維持することがちょっとした自慢だったのだが、超人アピールもウイルスには勝てない。健康なる二次被害である。

そのような自己アピールは、所詮Facebookのフィードを彩る「ドヤリ」に過ぎない。なかば自覚的にそのようなキャラクターを演じ、様々なものを巻き

もっとみる
俳句:モノとコトの関係を結び直す

俳句:モノとコトの関係を結び直す

昨年、唐突に俳句を始め、一日一句のペースで詠んでいます。作品はInstagramに挙げており、うち何点かを句会に投句しています。

モノとコトに関する議論が様々なところで展開されています。宇野常寛氏の『遅いインターネット』では、20世紀のモノベース(豪華なもので自分を飾り、生活を彩る)からコトベース(体験をFacebookやInstagramにアップする)へと移行していることが指摘されています。ス

もっとみる
スポーツから普遍性を考える

スポーツから普遍性を考える

自分にはいくつか「幸運」があると思っていますが、その一つが近畿大学法学部のスポーツ推薦生を対象とした基礎ゼミを担当していることです。フランス語、文学、文化論を担当している人は数多いですが、「スポーツ基礎ゼミ」にはあまり縁がないでしょう。僕には「前任者がたまたまスポーツ基礎ゼミの担当だった」という幸運がありました。「運」です。

スポーツ基礎ゼミの担当は、純然たる「運」であり、自分がスポーツをしてい

もっとみる