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ゲストハウス亀時間

行って納得「亀時間」の謎

ゲストハウス亀時間は鎌倉の海のそば、材木座にある築93年の古民家ゲストハウスだ。宮大工がつくったというその外観はお寺かなにかか?と思うほど立派。過去にはステーキレストランとして使われていたこともあるというレトロなレンガの内装もいいムードを醸し出している。

まだ「ゲストハウスプレス」をはじめる前の2012年頃、ゲストハウスに興味を持ち始めて、いろんな人にそのことを話していたら、「近くに最近できた友だちが関わってるゲストハウスがあるよ」と近所の友人が教えてくれた。わたしが住んでいた葉山や鎌倉にはトランジションタウンと言う団体があって、その仲間がやっているのだと言う。

亀時間という名前。なんだか変わったインパクト大な名前だ。亀時間ってどういう意味なんだろう?


さっそく、アポイントを取ってお話を聞きに行ってみることにした。当時の家から原付バイクでブーンと海沿いを走って20分、すぐそばだ。旅をテーマにしていた仲間とこじんまりやっていたWEBサイトのお遊び企画みたいなかたちで、突撃訪問インタビュー。気楽な気分が伝わったのか、お昼過ぎに到着すると、そのまま「ランチ食べます?」なんていって賄いのお昼ごはんをごちそうしてくれたことを覚えている。(めちゃ美味しかった!)

このタイミングで櫻井さんに会ってお話を聞いていなかったら、きっと今のこのフリーペーパーも出版プロジェクトも生まれていない。それぐらいのインパクトが彼の話にはあった。

ゲストハウス亀時間の特徴は、そのネーミングに基づいた世界観がきちんと形作られていることだと思う。

亀時間っていったい何なんだ?という疑問は、聞くと納得だった。
亀というのろのろしたイメージと時間。ゆっくり亀のようにのんびり暮らすように過ごして欲しいという意味が込められているのは想像していたが、さらにそこには由来があった。

不思議なそのネーミングは、エンデの『モモ』というおとぎ話から出てきたのだという。主人公のモモが「時間どろぼう」に取られた時間を取り戻すために奮闘するそのストーリーに亀が登場する。現代社会のあわただしいまるで盗まれたような時間を取り戻すような、そんな時間を過ごしてほしい。亀時間にはそんな意味が込められていたのだった。

マサさんこと櫻井雅之さんは、もともと鎌倉のお隣のまち逗子で生まれ育ったからこのあたりはほぼ地元。その経歴はなかなかユニークだ。特に印象的だったのは、「アフリカを旅しているときにムビラという楽器を知り、その魅力にはまってムビラの本場ジンバブエで3ヶ月位修行をした」という話。

その後、日本に帰国してサラリーマンとして仕事をしながらも「なんとかムビラで食っていけないかと、ムビラ講師をしたりライブに出たりいろいろ試行錯誤したけれど、5年位やってみて、やっぱり厳しいと思って諦めた」そうだ。

マサさんは、わりと淡々とご自身が体験した話をしてくれた。でも、それってそんなに普通のテンションで言う話?とこちらが思うほど、話の展開が結構はちゃめちゃだ。

おもしろいなぁ!ゲストハウスのオーナーさんてこんなにネタいっぱい持ってるんだ!。他にもおもしろい人がいっぱいいそうだから、そんな人の人生談をたくさん聞いてみたい!

その思いが熟成してオーナーインタビューを中心に構成する「ゲストハウスプレス」の構想が生まれたのだった。

亀時間ではゲストハウスの運営のほか、土日などを利用してカフェをしたり、不定期でワークショップやイベントも行っている。今では当たり前になったこうした宿だけじゃない使い方も、当時は斬新に感じた。

しかもゆっくり時間を過ごしてほしいと言う考え方、持続可能な社会を考えようという統一されたメッセージ性があるイベントの数々なのがいい。「インド時間」「お寺ヨガ」「手前味噌づくり」などの魅力的なイベントやワークショップがあって、わたしも何度か参加させてもらったことがある。お味噌作り楽しかったな〜!

以前は数軒しかなかった鎌倉のゲストハウスも、ここ最近のブームに乗っかったように民泊も含めたくさんの宿泊施設ができた。それぞれいろんな特色があるけれど、いつ行ってもここの雰囲気はあったかくてゆったりとした時間が流れている。さりげなく手が込んだ朝食や土日のカフェご飯があって、いつでも来る度に、亀マークを見ながら「やっぱり毎日急ぎすぎていた」と反省するのだ。

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