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クラファン成功の裏で考えたこと、そして本当にありがとうございました

コロナの影響で大打撃を受けている宿泊業・飲食業の未来のためになればと、その支援策のひとつの柱になりうる「クラウドファンディング」について、私たちが過去にありふれた凡人でありながら目標比147%を達成するまでに考え尽くしたノウハウを全て公開します。

※全10740字ととても長いので、目次をつけています。

わたしたちの想い

こんにちは。「暮らしを紡ぐ宿えのん」というゲストハウス&バーを運営している、中村龍太郎・千穂と申します。

わたしたちは3月30日時点より、個人で運営している上記のゲストハウス&バーをすべて休業し、売り上げがゼロになっています。

そんな中で先日妻が急な入院となりましたが、その際に書いた記事に対してたくさんの方の心優しいサポートをいただきました。ありがとうございました。
本当に本当にありがたく、何かしらの形で恩送りができないかとずっと考えていました。

そしてふと思います。

「コロナの影響で大打撃を受けた宿泊業・飲食業のために何かできないかな?」

こんな状況ですが、自分たちの売上をつくることより、収束後の業界の未来に向けたアクションを起こしたいなと。
いつ終わるともわからない騒動に振り回され、このまま業界の未来が見えないのもとても悔しいですし。

とはいえ、オープンしてまだ半年程度のわたしたちから、業界に対して貢献できることなど限られています。

であれば、逆に開業間もない視点での苦労や経験談を語ることで、アフターコロナに新規開業などを目指す勇気ある方に、ひとつの希望を与えることならばできるのではないかと考えました。

幸いにもわたしたちには、「クラウドファンディング」の成功によって開業にこぎつけたという揺るぎない経験があります。

クラウドファンディング成功の裏側全部見せます

わたしたちが宿を立ち上げるにあたっては、「クラウドファンディング」というシステムを活用し、開業に必要な資金の一部を調達しました。

実際のプロジェクトページも貼り付けておきます。(直接手渡しの支援もあったため、正確には147%まで金額や達成率が上がっています)

・期間:2019年6月15日〜7月31日(45日間)
・目標額:¥800,000
・支援額:¥1,178,555(クラウドファンディング¥1,068,555、直接¥110,000)
・達成率:147%
・支援者数:129人(クラウドファンディング119人、直接10人)

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コロナの影響で資金繰りなども苦しい中、直接店に行かずとも支援ができるクラウドファンディングと言う形は、今後の宿泊業・飲食業を維持するためには選択肢のひとつとして大きく持ち上がってくると思います。

ソーシャルディスタンスを保った、コロナ時代の支援の形。

ということで以下かなり長文となりますが、個人として実際に目標金額比147%を達成した経験から、クラウドファンディング成功のために考え・実行したことを余すことなく公開します。

ちなみにクラウドファンディングの基本的な流れやポイントなどは、各クラウドファンディングプラットフォームが実施者向けに提供している説明書などがあると思うので、今回は省略します。

むしろここではクラウドファンディング成功において大切で効果的だと思う、かつそうした公式な説明書にはあまり書かれていない視点も含めた、より実践的な施策のみを記載しました。

個人事業主が開業にあたって目標額80万を集めるという、比較的小規模なクラウドファンディングの経験についてではありますが、ある程度の汎用性はあると思います。

いつか宿泊業・飲食業にて開業を目指す人、クラウドファンディングを検討している方たちの参考に少しでもなれば幸いです。

もちろんこれは宿泊業・飲食業の未来に向けた「恩送り」なので、全文無料で公開します。

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▼0章|クラウドファンディングをやる目的

日本一クラファン調達金額の多いキングコング西野亮廣さんによると、クラウドファンディングとは「信用の換金装置」であると言います。

「換金」と言ってしまうとなんだか人をお金として見ているようで何となく嫌ですが、要は普段のその人の行動や立ち振る舞いが積み重ねた信用の大きさが、集まる金額に比例すると言うのです。

しかし西野さんのような有名人でもない限り、人は会ったこともない人にお金をホイと渡すことは少ないと思います。

わたちたちの経験的に、小規模のクラウドファンディングの支援者は約95%が友人・知人でした。

すると必然的にクラウドファンディングの目的はお金を調達することよりもむしろ、これまでのご縁に対する感謝を伝え、自分たちの想いに共感し続けてくれる良好な関係性を築くことであるべきだと思います。

大切なお金を、自分たちを応援するために使ってくれる大切な友人たちに、何を返していけるか真剣に考えること。この人と友人で良かったと誇らしい気持ちになってもらうこと。

素敵なご縁が増えれば、たとえ目標額に達しなくともプロジェクトは成功と言えると思うし、むしろ金額だけ集まってもファンとして根付いてくれなかったらある意味失敗です。

「お金をもらう」というインプットではなく、「ご縁をつくる」というアウトプットの最大化を目指す姿勢が大切となります。

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▼1章|公開前の準備編

ここからは3つの章+おまけ1章に分けて書いていきます。まずはプロジェクト公開前の準備について。ここが何よりの肝となるので、忙しい方はこの章だけ読んでも構わないです。

あらゆることを同時並行でこなす必要があるので、プロジェクト期間中はおそろしいほど目が回りますが、最初の準備がしっかりできていれば慌てることはありません。

1-1)ストーリー(本文)について

本文には人生をかけるべきです。いや、命をかけるべきです。

わたしたちも約2週間にわたって、妻と一緒に自分たちの内側を深く深く掘り下げて言葉を吐き出していきました。嘘偽りなく、着飾りすぎず、人生において大切にしたい価値観を紡ぎ出す作業は時に痛みを伴います。

どんなプロジェクトであるかももちろん大事ですが、あなたがどんな人で、どんな想いを持っているかを真剣に伝える必要があります。

見る人は、その人間味に惹かれて支援するかどうかを決めます。
良好な関係性を築けるかどうかが言葉の端々に表れます。

「面白そうなプロジェクトだな」では人は支援しません。
「あなただから支援したい」と思ってもらわなければいけないのです。

自分の大切な人に向けて手紙を書くつもりで、これまではうちに秘めていた想いなども含め、何があなたをここまで奮い立たせるのかそのすべてをさらけ出します。

長文になってしまったとしても、見る人は最後まで見てくれるし、そのほうが確実に想いは伝わります。

内容についてはそれぞれによってまったく異なるはずなので触れませんが、個人的なストーリーであればあるほど共感は大きくなると思います。

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そしてもうひとつ重要なことがあります。
それは、第三者に公開前の原稿を見てもらいフィードバックしてもらうことです。チームを作って取り組むのもよいかもしれません。

支援してくれるのはほぼ自分の友人・知人であるとはいえ、あまりに熱くなったり長文すぎたりすると軸や想いが見えにくくなります。

何より、伝わる文章になっているかどうか、じーんと胸に響くものがあるかどうかを客観的に見てもらうと、自分たちでは当たり前すぎて気づかない部分に思い当たります。

第三者に共感してもらえる文章が出来上がった暁には、友人・知人にはもっと深く伝わるものとなっているはずです。

公開前の状態を見せるのは少々恥ずかしいですが、どうせこのあとインターネット上に公開するのだから、恥は先にかいておいた方が良いです。

ちなみにわたしたちの場合は、ゲストハウス情報マガジンFootPrints前田 有佳利さんとMotionGallery梅本 智子さんが行なっている「クラウドファンディング・サポート|MotionGallery×FootPrints」の企画にお願いし、公開前から終了後まで多面的に本当に色々サポートいただいきました。改めて、ありがとうございました!

また本文については、下記 1-1)〜 1-6)の項までの内容を踏まえて常に行きつ戻りつしながら徐々にその完成度を高めていくこととなります。

1-2)SNSとの連携について

クラウドファンディングの宣伝のために各種SNSが有用であることは言うまでもありません。

わたしたちもプロジェクト公開の半年ほど前からSNSでビジネスアカウントを作成し、個人とは別に運用を始めました。

開業に向けての進捗状況報告やDIYイベント宣伝のために活用し、何か動き始めていることを少しずつ周知してき、そこにクラウドファンディングの宣伝を交えて盛り上がりを演出しました。

プロジェクト公開前に限らず、公開後も常にSNSと連携して情報を拡散し、また実際に起きている出来事を絡めて状況を更新していくなど、リアルとSNSの連携も積極的にしていきます。

わたしたちの場合は日々DIYで進んでいく現場の進捗状況やリターンの完成報告も発信し、SNS⇄リアル⇄クラウドファンディングのそれぞれを同時並行的に展開していきました。

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また友人にインフルエンサーがいれば、SNS上で拡散を依頼して広めてもらうことも有効だと思いますし、新聞やテレビなどメディア関係に知り合いがいればツテを頼る方法もあると思います。

ただ個人的には、思わずシェアしたくなるような、魅力ある文章を作成することにより力を入れた方が良いと思います。

自発的なシェアや拡散は、シェアした人の熱量もあいまってより広く深く伝播していくものです。

1-3)ターゲット設定について

SNS連携の重要性については前項で述べたが、それはターゲット設定においても効力を発揮します。

「ターゲット」という言い方も好きではないので言い換えると、要は「ご縁をつくるべき人がどこにいるか」ということです。

ここではSNSのビジネスアカウントを利用します。Facebookページやinstagramのビジネスアカウントでは、無料でインサイトの分析ができます。

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そのインサイトを分析すると、投稿を見てくれているのはどんな年代で、男女はどちらが多いか、どの地域の方かなどの「関心を持ってくれている最もリーチしたい層」の特性がわかります。

すでにいいねやスキなどをしてくれている、支援者になる可能性が非常に高い人たちです。

その方々に合わせて文章の内容を修正したり、リターンの内容を吟味したりとブラッシュアップをかけることができます。

そしてどの曜日のどの時間帯に見てくれているかを分析することで、プロジェクトの公開日、およびアップデートの更新日などをどのタイミングにするべきかを検討します。

見てくれる人が多いほど、想いが届きやすいのは当然です。

わたしたちはここから、25-35歳の男性が多いこと、東京に住む友人たちのエンゲージメントが最も高いこと、土曜日の18時に最も投稿が見られていることなどを知り、内容に反映させていきました。(上の図は最近のスクショなので当時とは異なります)

それに基づき公開日と決めた土曜日18時が友人の結婚式2次会最中だったので、少し抜け出してトイレの中で、あらかじめ用意しておいた内容で公開ボタンと拡散依頼のSNS投稿を行ったのを覚えています。

1-4)リターン設定について

インサイトから導き出された「関心を持ってくれている最もリーチしたい層」に合わせて設定するのが効果的です。例えば、

<遠方の方向け>
直接足を運ばずとも楽しめるステッカーやTシャツ、タオルなどのオリジナルグッズが最もスタンダードです。地域の特産品などもよいです。宿泊業であれば宿泊チケットの用意も「いつかの約束」ができたようでお互いに嬉しいものです。
<近くの友人向け>
飲食業であればフード・ドリンクチケットやオープニングパーティ参加券などが気軽で使いやすいです。

などなど、ターゲットに喜んでもらえるリターンを検討します。

理想を言えば遠方の友人、近くの友人、ご近所の方など想定できる層ごとにリターンを用意してもよいかもしれませんが、すべてをやりきろうとするのは時間的にも労力的にもしんどいです。

インサイトをもとに、どのターゲットをメインとして力を入れていくか優先順位をつけることが重要です。

わたしたちの場合は遠方の友人が喜んでくれそうなTシャツや宿泊券をメインとし、そこに原価率のバランスを考慮してドリンクチケットやステッカーを組み合わせていくことに決めました。

価格帯としては、3000円〜10000円が最も支援しやすい金額帯となります。

またオリジナルグッズ作成などの検討にあたっては、知り合いでお願いできそうな方がいたら積極的にお願いするとよいと思います。

一生の付き合いができるし、大事なプロジェクトの大事な部分をお願いできることほど幸せなことはありません。大切なご縁は支援者との間だけでなく、あらゆる方面でつくっていきたいものです。

今回は、東京にいた頃に大変お世話になったハンドメイドブランド「HI-CONDITION」さんにお願いしてオリジナルTシャツづくりを1から行なわせていただきました。長田さん、いつもいつも本当にお世話になります!

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そして1-1)ストーリー(本文)についての項でも書きましたが、実際に第三者の目で見てもらった時に本当に支援したいと思えるリターンになっているか、金額は妥当か、などを検証してもらうことが効果的です。

※注)特産品のひとつとして地元の美味しい日本酒をリターンに設定しようと考えましたが、お酒の送付は「通信販売酒類小売業免許」にあたるため、免許がないと設定できないなどの法規的な制限もあります。

1-5)目標金額設定について

1-3)リターンの設定についての項で述べたリターンの設定が重要なのは、それがそのまま目標金額にも関連してくるからです。

普通に考えて単純に開業に足りない金額ギリギリを目標額としてしまうと、リターンにかかる原価・送料、およびクラウドファンディングプラットフォームへの支払い手数料、消費税などを差し引くとマイナスとなってしまいます。

わたしたちが利用させていただいたMotiongalleryはプラットフォーム手数料が10%(プロジェクト成否によらず一律)、またちょうど消費税が8%→10%になる頃だったため、消費増税前にはプロジェクトが終了するよう終了日を設定しました。

またそれぞれのリターンが現実的に何人に支援してもらえて、どの程度の金額になるかを精緻に検証していきます。

足りなければリターンのバリエーションを増やしたり、金額を再検討したり、原価を削ったりという調整をします。

きっちりとそれらのコストを積み上げた上で、かつ実際に達成可能と思われる目標額の設定が重要となります。

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意外とバカにならないのがリターンの送料で、数が増えると送付方法によって結構差が出ます。封筒、定形外、ゆうパック、段ボール、レターパックなどどのように送るかはあらかじめリターンのサイズから計算しておいた方が良いでしょう。

ちなみにわたしたちは、日本郵便がやっている「クリックポスト」という仕組みが手頃かつある程度の大きさまで送れることを調べ、大部分をこちらで送り、小さいものは封筒で送付しました。

1-6)スケジュールについて

まずは開業のタイミングや工事進捗との兼ね合いから公開日と終了日を決めます。

それが決まったら、その期間中にやること、起こる出来事をリストアップし、毎日の達成目標とともにスケジュール表に落としていきます。

そして1-2)SNSとの連携についての項で見たように、プロジェクト公開中に起こるリアルでの出来事やリターンの準備進捗などを逐一アップデート更新します。

見ている人も次第に進んでいく状況を遠くからでも体験することができるので、少々しんどいですが開業準備とクラウドファンディングは同時並行で進めた方が効果が高いです。

スケジュール表はプロジェクト公開前に一度作り上げ、プロジェクト進捗に合わせて随時修正しながらその時々の立ち位置を確認する大切なガイドラインとなります。

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スケジュールについては続く2章でより詳しく見ていきます。

▼2章|公開中の動き方編

準備ができたらいよいよ公開です。クラウドファンディングは公開直後と終了直前が最も盛り上がり、中盤の中だるみ期間が非常に長いです。

それぞれの期間における動き方次第で、達成度が80%になるか100%になるか、はたまた150%を超えるかが変わってきます。

ちなみにMotiongalleryの場合は、これまでの成功プロジェクトのデータをもとにした日毎の達成目標率をグラフで表してくれていて、これを目安に今自分のプロジェクトがうまくいっているのかどうかを測ることができました。

おおよその目安としては、公開から1/4の期間で約30%、終了の1週間前までに約70%というのが成功の方程式のようです。

2-1)公開直後1週間について

まずはインサイトから分析した公開日時に合わせてきっちり公開し、と同時にSNSで告知を行い、各アカウントのプロフィールにもプロジェクトページへ飛べるようURLを記載します。

公開直後の盛り上がりの演出はけっこう肝心なようで、うまくいくと見ている人も盛り上がっていると感じて支援しようという意識が芽生えやすくなります。

わたしたちはありがたいことに公開初日で25%を達成し、「人気急上昇中のプロジェクト」のコーナーに掲載していただくことができました。

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これを見て支援してくれる方がいたかは不明ですが、少なくとも自分たちのモチベーションアップには寄与するし、スタートダッシュがうまくいくとその後の進め方に余裕が生まれます。

もちろん、支援してくれた方全員へのお礼を述べていくことはプロジェクト終了まで常に忘れてはなりません。

2-2)中盤の中だるみ期間について

問題は、普通に過ごしてしまうと動きが起こりにくい中盤です。支援する側からすると「まだ期間があるからあとで見ればいいや」という心理が働き、支援数は極端に鈍ります。

しかしここで起爆剤となるアクションをいくつか起こすことで、意図的に盛り上がりをつくることが可能となります。

わたしたちの場合はまず、公開後早々にリターンが売り切れてしまった一番人気の限定オリジナルTシャツを、HI-CONDITIONさんに無理を言ってこの中だるみ期間に限定追加していただきました。

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まただいたい5日に1度と決めてスケジュールに盛り込んだアップデート更新を欠かさず行い、リターンのデザインを公開し、達成率報告などを逐一行っていきました。

お世話になっている方やリターン作成にご協力いただいている方の紹介、本文中では触れられなかった補足情報など、プロジェクトの裏側を公開するような投稿も見る人にとっては楽しいと思います。

さらにわたしたちはご縁に恵まれましたが、わたしたちの想いをコンセプト動画にまとめてくださるという稀有な申し出をいただき、プロジェクト途中に公開させていただいきました。保村さん、その節は本当にありがとうございました!!

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もし可能であればリアルなイベントの場で告知をしたり、チラシを作って色々なところに置かせていただいたりという作戦もあります。すべては、どんなターゲット層とご縁をつくりたいかで考えれば良いでしょう。

ここでは、少しずつでも色々な方との接点をつくり続けることが肝要となります。

2-3)終了間際1週間について

この期間が最もプロジェクトで盛り上がりを見せます。

最後の1週間でいきなり数百万集めたりする事例もあるそうで、この時点で目安とされている70%に到達していなくともまだまだ挽回は可能です。

ダメ出しの自分たちの想いをすべて載せ、小刻みなカウントダウン投稿などでまだ支援していない人にも届ける可能性を少しでも上げていきます。

このフェーズはなりふり構わず、見る人には少しうっとおしいくらい投稿の頻度が上がるが仕方ないと思います。最後の最後まで悪あがきしていきます。

最終日

わたしたちの場合も、ありがたいことに開始1ヶ月の時点で目標金額には到達することができていましたが、それでも最後の2日間で一気に+25%も伸ばすことができました。

▼3章|終了後の対応編

無事にプロジェクトが大成功に終わったあとでも、やることはまだまだ山のようにあります。リターンの送付は骨が折れるし、何よりも開業までの道のりはまだまだ半ばです。

だけどこの対応までをきちんと丁寧にやりきっていくことで、より良好な関係を作れるかどうかが決まると言っても過言ではないと思います。

3-1)プロジェクト結果の報告について

ここまで支援してくださった方に対してのお礼を込めて、結果を包み隠さず報告します。またプロジェクト実施にあたってご協力いただいた方などに、もれなくお礼をしていきます。

ここがゴールではなくスタートという気持ちで、すべてのご縁が繋がった方をまずは安心させたいところ。お礼を述べたからには、もうあとには引けないという気持ちの区切りにもなります。

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3-2)リターンの作成と送付について

信じられないことに、プロジェクトが成功したにも関わらず、リターンの送付を実際には行わずにお金だけ持ち逃げするようなケースもあると聞いたことがあります。

もちろん、リターンの送付までがプロジェクトの成功であることは言うまでもりません。正直最も手間がかかり、かつ面倒な作業が多いですが、ここはきちっとやりきりたいところです。

支援者のリストを作成し、それぞれのリターンを確認し、抜け漏れがないように封筒や段ボールなどにつめ、大量の郵送の手続きを行います。

ようやくお礼ができる、プロジェクトの最も大切な時間だと感じました。

ひとりひとりのサンクスレターをわたしたちはすべて手書きで内容も変えて書いたし、傷や汚れがないか確認しながらすべて丁寧に梱包・発送しました。

ここまで誠意をもってやりきることで、ファンになってもらえるような「深いご縁」が築けると信じています。

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3-3)継続的な繋がりについて

リターンの送付に際して、支援者のリストが出来上がっているはずです。それをもとに、その後も継続的に連絡をとることができれば理想だと思います。

わたしたちも本当は支援してくださった方全員に年賀状を送ろうと考えていましたが、支援者全員へ宛てたサンクスレターも封入したリターンの送付時期がほぼ年末に近かったため、今回は断念しました。

ですが、実際に宿泊チケットや飲食チケットを利用しに来てくれた方に対してはできる限りのおもてなしをしています。

わたしたちは新規で来てくださる方ももちろん大切にしますが、何よりもまずすでに繋がりができた方とのご縁を大切にすることを第一に考えています。

▼4章|プロジェクトの分析編

この章は直接プロジェクト実施に関わるわけではないですが、おまけとして実際にプロジェクト終了後のインサイトがどうなっていたかを公開して分析して終わりたいと思います。

4-1)達成率推移について

グレー線が一般的な成功プロジェクトの傾向、青線が自分のプロジェクトの達成率推移です。

通常であれば中だるみする中だるみ期間がとても長いですが、7/3前後のTシャツ追加、7/18の目標達成直前あたりのアップデート投稿が功を奏し、常に少しずつ上昇させることができています。

また最終3日前からのカウントダウン投稿の効果で、飛躍的にグラフの傾きが上昇していることが見て取れれます。

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4-2)支援者属性について

事前のSNSインサイト分析より、25-35歳の男性が多いこと、東京に住む友人たちのエンゲージメントが最も多いこと、土曜日の18時に最も投稿が見られていることという3つを軸にターゲットを設定して進めてきました。

プロジェクト終了後の支援者インサイトを見ると、その仮説が訪問者傾向とも一致していたことから概ね正しかったことがわかります。

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プロジェクトの閲覧曜日・時間についてはMotiongalleryのインサイトでは不明でしたが、代わりに「日別訪問者数推移」というグラフをつけてくれています。

これを見ると訪問者は公開直後がずば抜けて多く、その後は最後まであまり上昇していないようです。

ただし、約5日に1回投稿していたアップデート更新の度に山ができており、その意味は間違いなくあったことは安心しました。

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4-3)流入経路について

訪問者が実際どのようにこのプロジェクトを見つけてくれたかというインサイトも見ることができます。

遠方の友人をメインターゲット層としていたためSNSによる宣伝をメインとしていましたが、それは五角形グラフでも現れています。

また右図で訪問者数に対する支援者数(コレクター数)を見ても、検索で来た知らない方よりも、知っている友人が支援してくれる比率の方が高いことがわかりました。

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またSNSごとの違いについても、リンクを貼れないinstagramよりは、直接ページに飛べるFacebookの方が相性が良いのは当然でしょうか。

twitterアカウントは開設していないので検証できませんでしたが、その点については是非どなたかに分析をお願いしたいところです。

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4-4)リターン選択傾向について

1-4)リターンについての項で、「価格帯としては3000円〜10000円が最も支援しやすい金額帯」と書きました。実際に支援いただいたリターンも概ねその傾向と相違ないようでした。(右円グラフ黄色部分)

ただ左図を見ると、成功プロジェクトのベンチマーク平均値は約12,000円あたりにあることから、もう少し高額帯にリターンバリエーションがあってもよかったかな、と思いました。

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▼終わりに|ありがとうを届ける旅

ここまでの長文にお付き合いくださりありがとうございました。
そして改めて、わたしたちのクラウドファンディング実施に際してはたくさんのご協力とご支援をいただいたことにもお礼を言わせていただきます。

書き始めてから何度か挫けそうになりましたが、なんとかみなさんとのやり取りや笑顔を思い浮かべながら、いったんの区切りをつけることができました。

わたしたちの少ない経験の中から、少しでもお役に立つことがあれば幸いです。

実際プロジェクトの実施にあたっては精神的にもとても疲労しますが、得るものも本当に多いです。わたしたちも終わった時にはとても満たされた気持ちになりました。

プロジェクト成功はもちろんですが、たくさんの方とのご縁を実感でき、返しきれないほどの恩に包まれたことがなんだかとても嬉しかったのです。

返すべき恩がたくさんあって嬉しいとは変な表現ですが、このために生きてるという人生の意味がそこにあるような気がしたのかもしれません。

ありがとうを届ける、人生という名の旅。

これからもひとつでも多くのご縁が繋がり、恩が循環していくような生き方ができれば、これ以上の喜びはありません。

※もしよろしければ、下記「サポートをする」ボタンを押してサポートいただけると嬉しいです。今回いただいたサポートは、新規開業を目指す友人の支援、または休業中の友人の支援などに当てさせていただきます。


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