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アミノ酸サプリは本当にあなたに必要なのか??

はじめに

6月に入って僕のジム「Quest」でも
「夏に向けてボディメイクしたい!」
というお客様が増えてきました。

毎年そうですがこれによって「夏が近づいてきなぁ」と実感しています。

そんなお客様からよくこんなご質問をいただきます。

「BCAA(分枝鎖アミノ酸)やEAA(必須アミノ酸)といったアミノ酸サプリメントを摂った方が良いですか??」

実際にこのnoteを読んでくださっている方の中にも、同じ疑問を持っている方もいるかもしれません。

そこで今回は「トレーニングを頑張っているあなたにアミノ酸サプリメントは必要か?」というテーマでnoteを書きます。

ぜひ最後までお読みください。


まず結論です。

ほとんどのトレーニーの人にはBCAAやEAAといったアミノ酸サプリメントは必要ありません。

ただ一定の条件を満たしていれば・・・の話ですが。
ではあなたがその条件を満たしているのか?
満たしていない場合にアミノ酸サプリが有効なのか?

それについてここから詳しくご説明します。

タンパク質摂取の重要性と必要量

先ほど一定の条件を満たしていればと書いたその条件とは
「毎日の食生活でタンパク質の必要量を満たしていれば」です。

タンパク質は、筋肉の修復と成長、ホルモンの合成、酵素の生成、免疫機能の維持、皮膚・髪、爪・その他内臓組織など全身の細胞の生成といったさまざまな生理的機能に不可欠です。

簡単に言えば我々の体はタンパク質がなければ形作ることができません。

それでは必要なタンパク質の摂取量とはどれくらいなのでしょうか?

一般的な成人の推奨されるタンパク質摂取量は、体重1kgあたり0.8gですが、トレーニングを行っている人では最大で体重1kgあたり1.6g程度が推奨されるています。

BCAAとEAAの役割

BCAA(分枝鎖アミノ酸)

BCAAは、バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸で構成され、筋肉タンパク質の合成を促進し、筋肉の分解を防ぐ役割があります。

特にロイシンは、mTOR(筋肉の合成を調節するタンパク質)を活性化することで知られています。
また眠気を抑制する働きもあるのですが、その効果についてはまた別のnoteで書こうと思います。

EAA(必須アミノ酸)

EAAは、体内で合成できないため、食事から摂取する必要のある9種類のアミノ酸です。
これには、BCAAも含まれますが、それ以外にフェニルアラニン、トリプトファン、リジン、メチオニン、ヒスチジン、スレオニンが含まれます。
EAAは、筋肉の成長と修復に不可欠です。

それでもアミノ酸サプリが必要ではない科学的根拠

1. 十分なタンパク質摂取との関係

研究1
タンパク質摂取量が十分である場合、追加のBCAAやEAAの摂取は筋タンパク質の合成に対する追加効果が限定的であることが示されています。
例えば、2014年のPhillipsらの研究では、1.6g/kg以上のタンパク質を摂取している場合、BCAAの追加摂取は有意な筋タンパク質合成の増加を示しませんでした。

2. トレーニング後のリカバリーに対して

研究2
トレーニング後のリカバリーに関しても、全体的なタンパク質摂取量が十分である場合、BCAAやEAAの追加摂取はあまり効果がないことが示されています。

例えば、2018年のMortonらのメタアナリシスでは、十分な食事からのタンパク質摂取があれば、追加のアミノ酸サプリメントの効果は限定的であると結論づけられました。

https://bjsm.bmj.com/content/bjsports/52/6/376.full.pdf

3. 筋肉の分解抑制

研究
2020年のWolfeの研究などによるとBCAAが筋肉の分解を抑制する効果については、特にタンパク質が不足している状況では有益であることが示されています。

しかし、十分なタンパク質摂取が行われている場合、この効果はあまり顕著ではありません。

実際の必要性

結論として、一般的な人が健康やダイエットのためにトレーニングを行っている場合、総合的なタンパク質摂取量が十分であるならば、BCAAやEAAの追加摂取は必須ではないと言えます。
ただし、特定の状況(例: 高強度のトレーニングを行っている、食事から十分なタンパク質が摂取できないなど)においては、BCAAやEAAが役立つことがあります。

アミノ酸アプリのメリット

それでは次にBCAA(分枝鎖アミノ酸)やEAA(必須アミノ酸)のサプリメントを利用することで、食品からのタンパク質摂取を補う場合のメリットについて、科学的なエビデンスに基づいて説明します。

メリット1: 消化吸収速度

・サプリメントは消化吸収が速く、トレーニング後の迅速な回復に寄与します。
・エビデンス 研究によれば、BCAAやEAAのサプリメントは、完全なタンパク質食品に比べて消化吸収が速いため、筋タンパク質の合成が迅速に開始されるとされています。
例えば、Tang et al. (2009)の研究では、ホエイプロテインのような速吸収型のタンパク質がトレーニング後の筋タンパク質合成を促進することが示されています。

メリット2: 不足した特定のアミノ酸の迅速な供給

・特定の必須アミノ酸が不足している場合、それをサプリメントで迅速に補給できる。
・エビデンス Wolfe (2002) の研究では、EAAサプリメントが特定のアミノ酸の供給を迅速に行い、筋肉の合成を促進することが示されています。
これにより、特定のアミノ酸が不足している状況でも効率的に筋タンパク質の合成をサポートできます。

メリット3: カロリーコントロール

・BCAAやEAAのサプリメントは低カロリーであるため、カロリー制限を行っている人にとって有利。
・エビデンス サプリメントは通常、カロリーが非常に低いため、余分なカロリーを摂取せずにアミノ酸を補給できるというメリットがあります。
これは、減量が必要な時期のアスリートにとって特に有利です。

メリット4: 便利さと持ち運びやすさ

・サプリメントは持ち運びやすく、いつでもどこでも摂取できる。
・エビデンス 実用的な面でも、サプリメントは携帯性に優れ、忙しい生活の中で手軽に摂取できるため、日常生活での使用が容易です。
これは特に外出中や仕事中に便利です。

メリット5: 消化不良の回避

・一部の人々は大量のタンパク質食品を消化するのが難しい。
・エビデンス 消化器系に問題がある人や、大量のタンパク質食品を摂取することが難しい人にとって、BCAAやEAAのサプリメントは有効な代替手段です。
研究によると、これらのサプリメントは消化に負担をかけずに必要なアミノ酸を提供できます (Deutz & Wolfe, 2013)。

結論

確かに食品からのタンパク質摂取が不足している場合、BCAAやEAAのサプリメントを利用することで以下のメリットが得られます。

1. 消化吸収速度が速く、トレーニング後の迅速な回復が期待できる。
2. 特定の必須アミノ酸を迅速に補給できる。
3. 低カロリーで余分なカロリーを摂取せずにアミノ酸を補給できる。
4. 持ち運びやすく、いつでもどこでも手軽に摂取できる。
5. 一定量のタンパク質食品を消化するのが難しい人にとって有効な代替手段となる。

これらのメリットにより、BCAAやEAAのサプリメントは食品からのタンパク質摂取を補う有効な手段となり得ます。

しかしそれでも・・・

しかしそれでも僕はBCAAやEAAのサプリメントよりも、食品からタンパク質を摂取することをおすすめしたいのです。
以下に、その理由を説明します。

理由1: コストパフォーマンス=食品の方が経済的

食品からのタンパク質摂取は、一般的にサプリメントよりもコストが低いことが多いです。
例えば、鶏胸肉、卵、豆類などは、はるかにBCAAやEAAのサプリメントに比べて非常に経済的です。

理由2: 完全な栄養素の摂取=食品は多くの栄養素を提供

食品には、タンパク質だけでなく、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素も含まれています。
これにより、総合的な健康状態を維持しやすくなります。
一方、サプリメントは特定の栄養素に特化しているため、他の重要な栄養素が不足する可能性があります。

理由3: 自然な消化プロセス=食品は自然な消化プロセスをサポート

食品は、自然な消化プロセスを経て体内に吸収されるため、消化器系の健康を維持するのに役立ちます。
また、食品には消化を助ける酵素や他の成分が含まれています。

理由4: 食文化と社会的側面=食事は社会的な活動

食事は、文化的、社会的な活動であり、家族や友人と共に食事を楽しむことは、精神的な健康にも寄与します。
サプリメントではこのような体験を得ることはできません。

結論

食品からのタンパク質摂取は、コストパフォーマンス、栄養バランス、消化プロセス、環境への影響、社会的な要素など、多くの面で優れています。
BCAAやEAAのサプリメントは特定の状況やニーズに応じて役立つこともありますが、まずは食品を通じて必要なタンパク質を摂取することを心がけるべきでしょう。
ただこれはあくまでも僕の考えであり、サプリメントを摂りたい方もいるでしょう。

その人たちの考えを否定するつもりはありません。

ただ・・・

ただメーカーや宣伝するメディアはサプリメントを売って利益を得ることが目的なのを忘れないでください。

それらの「売る側」は今日noteに書いたような内容を消費者に提示した上で選択権を与えるのではなく「メリット」だけを並べて購買意欲を掻き立てています。

だからこそ消費者の側が「売る側」の偏った情報に惑わされることなく、自分の意志で選択していただけるように、こんなnoteを書きました。

このnoteがQuestのお客様だけでなく、より安全で効果的なフィットネスライフを望む全ての方の一助のなれば幸いです。

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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