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「美はベッドで作られる!」ダイエットと睡眠の関係を解説します

はじめに

東京も梅雨入りし、これから夏にかけて寝苦しい夜が続く季節ですね。
ただアスリートやフィットネス愛好家だけでなく、ダイエットしたい人にとっても睡眠はとても重要です。

ある意味「運動」よりも大切かも。

例えば24時間ジムの普及もあり「今日の目標消費カロリーを何とかして達成したい!」と夜寝る前に運動するなんて人もいるかもしれません。
でもトレーナーとしてはこれはオススメできません。
「それで睡眠時間が短くなるなら、早く寝ましょう!」
僕のジムのクライアントにもそうアドバイスしています。

それほどダイエットに関しても睡眠は重要だからです。
今回はエビデンスを踏まえて「なぜ睡眠がダイエットに重要なのか?」についてわかりやすく解説します。

ぜひ最後までお読みください。
(研究結果は飛ばしてもOKです!!)


1. ホルモンバランスの影響

睡眠と食欲ホルモン

1.グレリン
睡眠不足になると、食欲を刺激するホルモンであるグレリンのレベルが上昇します。これにより、食欲が増進し、過食につながる可能性が高まります。

グレリンの上昇 研究例1:

  • 研究内容: 2004年に発表された研究では、10名の健康な若者が対象となり、睡眠不足(1日4時間睡眠)と十分な睡眠(1日10時間睡眠)の影響を比較しました。

  • 結果: 睡眠不足の状態では、グレリンのレベルが28%上昇し、レプチンのレベルが18%低下したことが確認されました。また、被験者は睡眠不足時に炭水化物や甘い食べ物に対する食欲が増加しました。

  • 参考: Spiegel, K., Tasali, E., Penev, P., & Van Cauter, E. (2004). Brief Communication: Sleep Curtailment in Healthy Young Men Is Associated with Decreased Leptin Levels, Elevated Ghrelin Levels, and Increased Hunger and Appetite. Annals of Internal Medicine, 141(11), 846-850.

2.レプチン
反対に、満腹感を伝えるホルモンであるレプチンのレベルが低下します。これにより、満腹感を感じにくくなり、食べ過ぎを助長することになります。

レプチンの低下 研究例

  • 研究内容: 2008年に行われた大規模な観察研究では、1024名の成人を対象に睡眠パターンとホルモンレベルの関係を調査しました。

  • 結果: 1日の睡眠時間が5時間未満のグループでは、7-8時間のグループに比べて、レプチンのレベルが著しく低下しており、グレリンのレベルが高くなっていました。これにより、食欲が増進し、体重増加のリスクが高まることが示されました。

  • 参考: Taheri, S., Lin, L., Austin, D., Young, T., & Mignot, E. (2004). Short Sleep Duration Is Associated with Reduced Leptin, Elevated Ghrelin, and Increased Body Mass Index. PLoS Medicine, 1(3), e62.

2. インスリン感受性の影響

インスリンと血糖値の管理

  • インスリン抵抗性の増加:睡眠不足はインスリン感受性を低下させるため、血糖値の管理が難しくなり、体脂肪の蓄積が促進されます。

  • 体重増加のリスク:これにより、糖尿病や肥満のリスクが高まります。

    インスリンと血糖値の管理 研究例1

  • 研究内容: 2010年に行われた研究では、健康な若年成人男性を対象に、睡眠不足(1日4時間睡眠)と十分な睡眠(1日8時間睡眠)のインスリン感受性への影響を調査しました。

  • 結果: 睡眠不足の状態では、インスリン感受性が約30%低下し、血糖値が上昇することが確認されました。
    これは、体内の糖の取り込み効率が低下することを意味し、体脂肪の蓄積が促進される可能性があります。

  • 参考: Donga, E., van Dijk, M., van Dijk, J. G., Biermasz, N. R., Lammers, G.-J., van Kralingen, K. W., ... & Romijn, J. A. (2010). A single night of partial sleep deprivation induces insulin resistance in multiple metabolic pathways in healthy subjects. Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 95(6), 2963-2968.

3. ストレスホルモンの影響

コルチゾールの役割

  • コルチゾールの上昇:睡眠不足はストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを上昇させます。
    高レベルのコルチゾールは脂肪の蓄積を促進し、特に腹部脂肪が増えやすくなります。

    コルチゾールの影響 研究例

  • 研究内容: 2007年に発表された研究では、健康な若年成人を対象に、睡眠不足(1日5時間睡眠)と十分な睡眠(1日8時間睡眠)のコルチゾールレベルへの影響を調査しました。

  • 結果: 睡眠不足の状態では、コルチゾールのレベルが著しく上昇しました。
    高レベルのコルチゾールは、脂肪の蓄積を促進し、特に腹部脂肪が増えることが分かりました。

  • 参考: Leproult, R., Copinschi, G., Buxton, O., & Van Cauter, E. (1997). Sleep loss results in an elevation of cortisol levels the next evening. Sleep, 20(10), 865-870.

4. エネルギー消費と運動パフォーマンスの影響
睡眠と運動能力

  • 運動能力の低下:十分な睡眠が取れないと、疲労感が増し、運動能力が低下します。
    これにより、運動の頻度や強度が減少し、エネルギー消費が少なくなります。

  • 筋肉の回復:また、睡眠は筋肉の回復に重要な役割を果たしており、十分な睡眠が取れないと筋肉の修復と成長が妨げられます。

    運動パフォーマンスと睡眠の関係 研究例

  • 研究内容: 2013年の研究では、運動を行う前日に十分な睡眠(8時間)を取ったグループと、睡眠不足(4時間)で過ごしたグループの運動パフォーマンスとエネルギー消費を比較しました。

  • 結果: 睡眠不足のグループでは、運動中のエネルギー消費が顕著に低下し、運動パフォーマンスも著しく低下しました。
    また、疲労感が増加し、運動の持続時間も短くなりました。

  • 参考: Fullagar, H. H., Skorski, S., Duffield, R., Hammes, D., Coutts, A. J., & Meyer, T. (2015). Sleep and athletic performance: the effects of sleep loss on exercise performance, and physiological and cognitive responses to exercise. Sports Medicine, 45(2), 161-186.

5. メンタルヘルスの影響

睡眠と精神状態

  • モチベーションの低下
    睡眠不足は精神的なストレスや不安を増加させるため、ダイエットや運動に対するモチベーションが低下します。
    睡眠不足とモチベーション 研究例

    • 研究内容: 2011年の研究では、睡眠不足がモチベーションやパフォーマンスに与える影響を調査しました。
      被験者は一週間にわたり、十分な睡眠と睡眠不足の両方の条件で生活し、日々のモチベーションとパフォーマンスを記録しました。

    • 結果: 睡眠不足の状態では、仕事や運動へのモチベーションが大幅に低下し、パフォーマンスが低下しました。
      被験者は、目標達成に対する意欲が減少し、活動に対する興味も失われました。

    • 参考: Walker, M. P. (2011). The role of sleep in cognition and emotion. Annals of the New York Academy of Sciences, 1156, 168-197.

  • 意思決定能力の低下
    また、睡眠不足は意思決定能力を低下させ、不健康な食事選択をしやすくなります。
    睡眠不足と意思決定能力 研究例

  • 研究内容: 2007年に発表された研究では、健康な若年成人を対象に、睡眠不足が意思決定や問題解決能力に与える影響を調査しました。

  • 結果: 睡眠不足の状態では、意思決定の質が低下し、リスクの高い選択肢を選びやすくなることが分かりました。
    また、集中力や判断力が著しく低下し、複雑な問題の解決能力が減少しました。

  • 参考: Killgore, W. D. S. (2007). Effects of sleep deprivation on cognition. Progress in Brain Research, 185, 105-129.

まとめ

十分な睡眠を取ることは、ホルモンバランスを保ち、インスリン感受性を高め、ストレスホルモンのレベルを抑え、運動能力とメンタルヘルスを維持するために重要です。
これらの要因が相互に作用し、ダイエットの成功に大きく寄与します。
睡眠を優先することで、より効果的な体重管理と健康的な生活を送ることができるのです。

しかしこれからの季節、なかなか眠れない方も多いはず。
そこで次回のnoteでは快眠につながる方法について詳しく書きたいと思います。

ぜひフォローしてお待ちください!

今日も最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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