連載『オスカルな女たち』
《 まったくありえない 》・・・2
「すっかり師走だねぇ…」
またいつものやり取りが始まるのかと、つかさも牽制しつつ周囲の賑やかさに目を配る。
「師走も師走に、なんでこんな問題持ち込んでくるのか…我が娘ながらアッパレと言わざるを得ないわ」
頭を抱えて肘をつく玲(あきら)は、見た目以上に参っているようだった。
「珍しいね、旦那様。そんなに怒るって…あぁでも、10代の妊娠じゃそれも当然のことなのかな、娘だしね」
なんだかしょっぱなから険悪だなと思いながらも、話の内容が内容なだけに気遣いを忘れない織瀬(おりせ)。
「怒りの矛先はそこじゃ、な~いの。おかわり~」
ジョッキを振り上げ追い打ちをかける、幼馴染の真実(まこと)には織瀬やつかさの知りえないお家事情も承知の上…ということらしい。
「なに?」
まだなにかあるの…と、玲を見遣るつかさは、
「結局、相手だれだったの?」
当然の疑問を投げかけた。
「そこよ!」
急に玲がテーブルを叩き、
「っ、びっくりした…」
織瀬が弾かれた。
「相手が、問題なの?」
恐る恐る玲の顔を覗き込む。
「私もジョッキでいただこうかしら」
「お、いいねぇ…。すみませ~ん、もうひとつ~」
さらに真実はカウンターに向けジョッキをおおぶりに振って見せる。
初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
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