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連載『オスカルな女たち』

《 織姫と彦星 》・・・4

 静かな空間にシェーカーの音だけが響く。
 そこで初めて、今日は店内に音楽が流れていないことに気づく。
(なんだか、余計に緊張する…)
 急に落ち着かなくなる織瀬(おりせ)。
「マルガリータですが、大丈夫ですか」
「ぁ、うん。ありがとう」
 相変わらずの気遣いに皮肉のひとつも言いたくなる織瀬だが、なにを言ってもうまくかわされそうだ…と、あきらめる。。
「真田くんも、飲んで」
「そう思ったんですが…車なんで」
「タクシーで帰ればいいじゃない」
「送っていけなくなります」
「送らなくていい」
 少し憮然な態度。
 まわりが静かだと、なんだか空気も悪くなるような気がした。
「でも…」
 さすがに今日のような日にひとりで返すのは忍びない…のか。
「じゃぁ、タクシーで送ります」
「そうじゃなくて」
 胸のあたりがキュッとする。
「…あなたのアパートに行けばいいじゃない、一緒に」
 それはやっと絞り出した言葉だった。
 我ながらよく言った…と褒めてやりたい。


*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)

いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです