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連載『オスカルな女たち』
《 大切な・・・・ 》・・・5
「すぐ、織瀬(おりせ)が来る。あたしより、織瀬の方がいいだろ」
ゆっくりと布団をかけてやりながら、枕もとの携帯電話に目を落とした。
(なにか、見たのか…)
この部屋のテレビはあらかじめ撤去されている。
入院時、長期になることを想定して確認した際「俗世を離れたい」と弥生子(やえこ)の方から拒んだためだった。ついで「情報は携帯があれば得られる」とも言っていたことを思い出す。
「なんか飲む?」
「えぇ…ありがとう。大丈夫よ」
「黙って出掛けるようなことするなよ。ここまで頑張ってきたんだ。自分で自分の人生、棒に振る気か」
「解ってるわ」
解かってる…弥生子はもう一度そう言って、両の腕で顔を覆った。
「行ってくれたら手伝いに行ったのに…」
電話連絡からほどなくして織瀬が医院に駆け付けてきた。
「家具付きのところにしたから、自分の身の回りの物だけだったし」
引っ越しを終え、ちょうどマンションに鍵を返しに戻る途中だった…という織瀬は、思いのほか早い到着だった。
「玲(あきら)はいい仕事したのか…?」
「うん。ペットOKの女性専用マンション、ここからだと少し遠いけど」
申し訳なさそうに語る。
(酒飲んで一緒に帰ることももうなくなる、か…)
*初めから読み返したい方はこちらからどうぞ( *´艸`)
いつもお読みいただきありがとうございます とにかく今は、やり遂げることを目標にしています ご意見、ご感想などいただけましたら幸いです