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世に出るマンガの全てはある意味学習マンガなのでは?と本気で思っている私がおすすめしたいマンガ3選

目次
・世に出るマンガの全てがある意味学習マンガなのでは?と本気で思うワケ
・学習マンガに位置づけたいマンガ3選

世に出るマンガの全てはある意味学習マンガなのでは?と本気で思うワケ

タイトルのことを思うきっかけとして、高校生の頃の体験がある。

「『英』この漢字を読める人いますか?」
古典の先生から生徒に問われた内容に私はすぐに答えることができた。
「『はなぶさ』です。」
「よく分りましたね。これは漢検1級に出る問題ですよ。」

なぜ読めたかというと、当時ハマって読んでいた『ヴァンパイヤ騎士(樋野まつり/白泉社)』の登場人物に「藍堂英(あいどうはなぶさ)」というキャラクターがいたからである。
(ちなみにその時、先生からなぜ知っていたのかと問われたけれど、ハマってるマンガの登場人物の名前で…とは恥ずかしくて言えず、たまたま何かで見かけただけですと誤魔化した思い出付きである。)

この時非常に強く思ったのが、「マンガって実は学習に適しているのでは?」というものである。登場人物の漢字や読みも難しいものを平気で使っているわりに、固有名詞の一部だからすんなり定着する(認識する)し、感情表現や状況把握でも、絵があるから文章だけより圧倒的に理解しやすい(文章表現から想像するのももちろん好きですが)。

現在はさほどマンガに対する風当たりは厳しくなくなった(ように思う)けど、ご年配の方はやっぱりまだ抵抗ある方が多いし、何より扱う題材によっては誤解を受けやすいのも事実である。だけど、読まないより読んだ方が世界は広がるし、マンガ自体が内包する可能性はとっても大きいと思う。そしてそれは、最近よく取り上げられるいわゆる学習マンガじゃなくても、全てのマンガにおいて何かしら学べる素材は備わっているように思う(反対意見もあるだろうけどとりあえず言い切ってみる)。要は視点の問題である。

学習マンガに位置づけたいマンガ3選

というわけで、ここからは個人的に「これは学習マンガだ!」と思う作品を3つ紹介していきたい(すでに位置付けられてるものもあるが、あえて念押し)。

1、『鬼灯の冷徹(江口夏実/講談社)

天国と地獄の日常?をコミカルに描いた作品。現代のサラリーマンよろしく、鬼たちがあくせくしながら働く様子に親近感を覚える。

この作品の学習ポイントは、なんと言っても地獄をはじめとする「あの世」の概念である。小さい頃によく親から言われた、「嘘をつくと閻魔様に舌を切られる」でお馴染みの閻魔様がいる世界…なのだけれど、私たちが「あの世」と聞いて思い描くあの世って実際どんなものなのか?を非常に分りやすくストーリーに組み込んでいる。

例えば、仏教では亡者になっても(あの世に行った後でも)その人生にはまだ続きがある。一般的に葬儀後行われる初七日や四十九日などがそれに当たるが、その間に亡者が何をやっているのか知る機会は少ない(仏教に詳しい人は別だと思いますが)。鬼灯の冷徹では、こういった仏教に紐づくあの世の世界観を、裁く側の鬼(もしくは王)たちの目線で展開されている。積極的に知る機会はさほどないが、知れば非常に奥が深い。個人的には、世界のあの世とも繋がっているという設定にも、想像の幅が広がって面白さを感じる。

2、『放課後カルテ(日生マユ/講談社)』

小学校を舞台に、子供たちの日常に潜む病とそれを扱う謎の保険医・牧野の交流を描いたお話。周囲が見落としてしまう子供や保護者たちのSOSは、世の中にこんなにも溢れているんだと少し切なくなるが、自分の周りを振り返り、あの子はこういうことだったのかなと想像することができる作品だ。

この作品の学習ポイントは、子どもにまつわる様々な病や症状の具体例とその対処法である。どんな症状で、どんな時に起こりやすくて、どんな対応が必要なのかを、一人ひとりの子どもたちのケースとしてストーリーに仕立てている。

取り上げられている題材の一つに「場面緘黙症状(ばめんかんもくしょう)」というのがあった。

場面緘黙症
家庭などでは話すことが出来るのに、社会不安(社会的状況における不安)のために、ある特定の場面・状況では話すことができなくなる疾患である。 幼児期に発症するケースが多い。(Wikipedia引用)

私はこれと似た様子のある子に幼少期と学生時代にそれぞれ出会ったことがある。当時は症状の内容も名称ももちろん知る由はなく、なんで喋らないんだろうなとか、あの子の前では話してるのになんで自分とは話してくれないのとか思っていたけど、今思うとあれはそういうことだったのか、と想像ができる(確定できるものではないので想像の域を出ないが)。

大人が現代社会の波に揉まれ病に侵されるのと同様に、子どもたちも(保護者も)その波に揉まれ、いつでも名も知らぬ病と隣合わせにあることを痛感させられる。学校現場に携わる方にはぜひご一読いただきたい作品。

3、『不思議の国のバード(佐々大河/KADOKAWA)』

時は明治。文明開化から間もない頃、実在したイギリス人女性冒険家の著書を元にフィクションを交えて描かれた旅伝記。あえて冒険家未踏地を選び、日本人通訳士とともに険しい道を行く様子が描かれている。

この作品の学習ポイントは、文明開化の影に隠されてしまった、地方の現実である。きらびやかな世界ではなく、日本が近代化のために捨て去った(もしくは風前の灯火となった)風習や生活様式が多く描かれており、長かった江戸時代の在り方が残る地方の様子を、いいところも悪いところも含め本当に垣間みるかのようなリアリティーがある。
フィクションを織り交ぜているとは言え、当の女性冒険家が残した『日本奥地紀行』という著書がベースとなっているため、話の奥行きと表現が魅力的で、旅が難しい今だからこそ過去の日本を旅して、未来の日本に想いを馳せて欲しい、そう感じられる作品である。

どれも書きながら読み返したくなるほど好きで、ぜひみなさんの今後のマンガ読書の参考になれば幸いである。

#マンガ感想文

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