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【けいおん!!】音楽がおいてけぼりのギャグ漫画(17話 部室がない)

 総じて、けいおんは嫌いではありません。日常系アニメという視点で見ると良い出来ですし、登場人物たちも魅力的に見えます。しかし、音楽を扱っているアニメと言う視点で見ると、クソほど不快な気持ちになる場面が多々あってフラストレーションが高まります。

練習をしろー!!!

 けいおん!!(2期目)は、本当に音楽がおざなりになっています。練習シーンはほとんど出てきませんし。音楽をセッションしているシーンもありません。行間を読んで、音楽をしているんだろうな、と想像することはできますが、音楽を楽しむという点に主題が置かれておりません
 2期目の主題は、仲間のつながりと別れ。1期目は音楽(けいおん)で人がつながるお話だったため、音楽の力が大事でした。しかし、2期目は音楽に主眼をおかず、登場人物たちが高校生活をどのように過ごすかを描くことで人間を描こうとしているのです

 主題が音楽ではなく、人間を描くことになってしまっている以上、練習なんてしませんよねー。ミニ四駆アニメの烈&豪の二人が、ミニ四駆を走らせないようなもので、音楽に関するネタを楽しみにしていると、拍子抜けしてしまいます。

バランスが良い1期目・高校生活を描く2期目

 けいおんは3クールあります。これは、序破急に大きく分けることができ、最初の12話は、音楽を通して登場人物がつながって心を通わすお話です。そのため、音楽に関するネタと日常のバランスが良いです

 音楽を目的に視聴し始めても、その丁度良いバランスと京アニの作画のクオリティの高さに、視聴し続けることができるでしょう。人気に日がつくのもうなずけますし、けいおんを見て音楽にハマったというのも理解できます。

 比較して2クール目・3クール目は、1クール目でつながった人間たちの深堀りと、その別れに向かう様子(実際に別れるわけではないが)を描いています。

 もしここで、音楽を主題に選んでいたら、音楽を通じて、人間関係を深堀りし、音楽によって別れに向かう様子を描いていたでしょう。しかし、けいおん!!は違う選択を選びました。
 音楽をエッセンスにとどめ、人間を主題にする。音楽的描写は極力減らし、登場人物たちの高校生活にクローズアップします。

 なぜ高校生活にクローズアップしなければならなかったのか?

 それは、放課後ティータイムのメンバーのうち、一人だけ後輩がいるからです。原作でも同じ描写がなされているのかもしれませんが、後輩がいるために、高校生活にクローズアップし、卒業と言う区切りを作ったのではないでしょうか?

 音楽の話に持っていった場合、卒業ではなく実際にプロデビューするかどうかという話になります。そうでなかったとしても、これから先も放課後ティータイムを続けるか、と言う話になるはずです。しかし、けいおんでは、プロになるという選択を誰も真剣に話したことはないのです。律が進路にミュージシャンと記載して、再提出させられたことからわかるとおり、放課後ティータイムが部活の域から出ないように調整されています
(これは、元けいおん部のさわこ先生が、高校卒業とともにバンドを辞めたことからも推測できますね)

 結局の所、けいおんは1~3クールを使って、高校生活及び部活動を通じて人間関係を深める女子高生のお話をしていたのです

テーマを間違えて視聴してはいけない

 本作は、女子高生の高校生活を描いた作品で、そのモチーフが軽音なだけです。安易に、音楽に情熱を持っているのかな、と思って視聴を続けると、1話の音楽と日常のバランスの良さに惑わされて、けいおんが音楽を取り扱ったアニメだと錯覚してしまいます。

 一度錯覚してしまうと、なかなか認知を変えることは難しい。なんでけいおん部なのに、練習しない。スタジオを借りても、お茶飲んで時間が来て、練習が一切できない。これらフラストレーションが積もり積もってブチ切れるでしょう(私は途中でブチ切れました)。

 しかし、全編通しいて、描きたいものが、音楽ではないということに気づけば、非常に優れた作品だと評価することができます。主人公はむかつきますが、ギャグ漫画をアニメ化したものですから、ある程度は仕方ありませんね。

 とりあえず、テーマを間違えて視聴すると痛い目を見るということです。

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