2000年〜「芸術家たちの大聖年」で目にした教皇ヨハネ・パウロ2世

画像1 (紀元)2000年という、カトリック教にとっては”大聖年”であった節目の年にローマの修復学校で学んでいた縁で、芸術に携わる人たちに対し当時の教皇ヨハネ・パウロ2世が祝福を与えてくださるという一大イベントに学校を挙げて参加することになった。当日はクラスの皆と一緒に列に並び、イタリア人とは思えぬほど整然とした流れがサン・ピエトロ大聖堂内部へと吸い込まれていった。スタンバイ後、まず現れたのはスイス衛兵。自分が知る限りでは見たことのない人数だった。ルネサンス風のコスチュームがさらに華やかに見えた(写真は退場時)。
画像2 堂内に期待が高まり、ざわめきと歓声が入り口のほうから次々と湧き上がる。私たちの目の前にも、1920年生まれの教皇が滑るように現れた。信者ではない私だったがそんなことは関係なく、その輝くオーラは衝撃的としかいえないものだった。純白の衣服を超えた何か、とでもいうのか。
2000papagiovannipaolo横 銃撃事件で重症を負ったこともあり、晩年は後遺症とパーキンソン病に悩まされていた教皇だが、精力的に世界を飛び回って活動を続けていた。東欧民主化をもたらすきっかけとなったのも、彼の存在が大きいとも言われる。上体は曲がっていても「こんなに大きいのか・・・」とその威容に正直驚いた。なんと屈強な身体つきをしているのだろう、と。暗殺事件を乗り越えたが故か、と思われるほどの内から奔り出る凄み。人生を平和への祈りに捧げてきた人の、この世のものとも思えぬパワー。人は本当に文字通り輝くのだ。一生忘れられない瞬間となった。

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