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食欲人 #読書記録

現代ではなぜ肥満になる人が多いのか?
というテーマ。
世間一般の認識としては
「食べ物が美味しいから!!笑」
「砂糖と油を使ったお菓子やジャンクフードがいっぱいあるから!!笑」
って感じだと思う。

間違ってはない。間違ってはないんだけど。
そうなると、なぜ現代人はお菓子やジャンクフードを食べ過ぎてしまうのか?という疑問も解消しなければならない。
「なぜ」の部分がハッキリしないと、対処のしようも無くなってしまう。

体型が変わってしまうほど食べ過ぎてしまうような事象を「美味しいから」だけで済ませて良いのだろうか?

食欲人という本は、その疑問に対する答えをくれる。

虫と人工餌を使った実験に始まり、種々の動物からはては人間集団を集めて栄養・食事に関する実験・観察を行う。
PFCバランスを人為的に調整した餌・または食事を与えることでどのようなことが分かるかという内容である。


PFCバランスとは:


実験の結果として、各動物個体には栄養摂取にまつわる ある一つの本能が備わっていることが明らかになる。

それは、タンパク質ターゲットという概念。
動物の身体は、PFCバランスの中のP、つまりタンパク質が一定量摂取できるまで食べ続ける本能が備わっているということが実験より明らかになった。
虫を使った実験であっても、他の動物であっても、はては人間であっても、皆がその本能に従っているのである。

高タンパクな食事であれば、早いタイミングでタンパク質欲が満たされるので炭水化物や脂質の摂取量は低くなりやすい。
逆にタンパク質比率が低い食物の場合、タンパク質欲が満たされるまで食べ続けるので炭水化物と脂質の摂取量は多くなりやすい。

↑この発見をベースに、

  • 動物種ごとの栄養摂取に関する優先順位の差異
    →自身にとって理想的なタンパク質バランスを満たせない食べ物しかない場合、炭水化物脂質が過剰になるのを受け入れタンパク質の摂取量を優先するのか?あるいは、炭水化物脂質の摂取量を一定量以下に抑えることを優先するのか?など

  • 高タンパク質食と低タンパク質食、どちらが良いのか?
    高タンパク質食が必ずしも生物学上の最強最適解、というわけではない…

  • 他の栄養素(食物繊維など)は栄養摂取に置いてそれぞれどのような働きをするのか?どの程度大事なのか?

  • 現代のお菓子はなぜこんなに人を惹きつけるのか?

といった内容が各種研究結果、およびそこから導き出される考察を以て書かれている。


読んでいて驚くことばかりであったし、「コンビニのオヤツを気安く買えなくなっちまうなぁ」なんて思ったりもした。

しかし、あくまでこの本は動物の食事・栄養に関する事実が明らかになったと書かれているだけであり、「タンパク質は実は摂らない方が良い」とか「お菓子は巨大製菓企業による陰謀」とかそういう受け取り方をするのはなんとも乱暴である。

皆にも一読をお勧めしたいが、「読んで終わり」では無く自分の頭で日頃の食事・栄養についてもう一度考えるところまでやってみてほしい。

今回は栄養を考える上での参考になると思い読んだが、運動と睡眠に関しても以下のような書籍がある。

運動・食事・睡眠は人が生きる上での基本であり、どれ一つとしておそろかにしてはならない。
だからこそ、ネットで誰が書いたかも分からない情報を適当に拾うより、一度じっくり腰を据えて読書に勤しむ必要がある。

と、考えている。

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