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【書籍】うつな気持ちが軽くなる本 / 大野裕著

不安を感じる自分のことを情けなく感じるかもしれません。
しかし不安になるのはあたりまえ。自然な心の反応です。
ですから不安を感じることに不安になり過ぎないでください。
新しいことが起きている時に何も心配せずにいたら、思いがけない失敗をする可能性があります。きちんとできるかどうか心配な気持ちになるからこそ、私たちは事前に丁寧に準備をすることができます。
(うつな気持ちが軽くなる本 大野裕著)

心配になるというのは、準備した方がいいという心のメッセージ。優しく響く。こういう本やこうしたメッセージにもっと早く出会っておけば「どん底具合」の程度ももう少し浅かったかもしれない。著者は日経で連載もしている認知行動療法の第一人者とのこと。

「うつや不安症は、体験したことのない人には想像できないほど、とてもつらく苦しい体験です」

ともある。本当にそう思う。落ち込みや不安とは明らかに異なる病的な症状に陥ることがある。より深い落ち込みや不安なのだが、その状況をいまだにうまく説明できないので困る。「正常な(或いは通常の)思考や判断ができなくなる状態」
といったところだろうか。「うつ病とうつの決定的な違い」で記したが、正常な判断ができなくなる最たる状況が「自死を考えるかどうか」であると思う。選んではいけないものを身近に考えてしまう。究極の選択に自らにじり寄るように動いてしまうエネルギーはいったいどこから湧き出てくるのだろうか。

「人間はだれでも本当は死と隣りあわせで生きている。自殺、などというものも、特別に異常なことではなく、手をのばせばすぐに届くくらいのところにある世界なのではあるまいか」(大河の一滴 五木寛之著)

何もかも投げ出したくなる時はあるだろう。だがその原因には対峙するしかないというブッダやアドラーやマルクス・アウレリウスの教えは数千年前から変わっていない(アドラーは「最近」の人だけど)。エネルギーが著しく減少している時、対峙するパワーは弱ってはいるが、そうする以外にないのだ。

時間をかけて向き合えばいい。

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