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もうすぐ命日

この時期になると毎年  思いを馳せる。
またあじさいの季節がきたんだなぁ。

あれから4年が経った。

それは、30代の時にお世話になった人からの1本の電話からだった
「今度、“お別れパーティー”をするから女性代表としてスピーチをお願いしたい。」

お別れ会・・・
100人の前でスピーチなんて出来るのかしら?
何を話せばいいの?

それより、“お別れパーティー”ってどういうこと???


【スピーチ全文】
はじめまして。私は○○○○と申します。
今現在52歳です。
○○社長を初めてお見掛けしたのは20年前32歳の頃でした。
私が勤めていた会社で初めてお見掛けした時はものすごいオーラと存在感があって、とても怖そうで・・・雲の上の存在で・・・その時はまさか私が一緒にお仕事をさせて頂くなんて夢にも思いませんでした。

それから暫くして、私は会社を辞め、独立して仕事を始めることに。
同じタイミングで株式会社○○○を立ち上げた○○社長にお仕事を提供していだけるというお話を頂きました。
初めてご挨拶に伺った時は、緊張のあまり何を話したか全く覚えていません。そうしてお仕事をさせて頂くうちに、厳しい仕事の反面、仕事だけではなく色々なお話を聞かせていただくようになりました。大好きな釣りの話や何回も大きな病気をしたこと。苦労話でも明るく高笑いして語ってくださいました。大きな存在感の裏側にある“強さ”と“温かさ”を知り、私は○○○○という人が大好きになりました。そして、明るい高笑いが大好きでした。
30代、女一人で仕事をしていくのは大変なことも沢山ありましたが、充実した10年余りのときを過ごせたのは間違いなく○○社長の存在があったからでした。

私は昨年9月に友人を乳癌で亡くしました。48歳でした。今年1月、元同僚の友人を胆嚢癌で亡くしました。57歳でした。何一つ伝えられないまま、あっけないものでした。

その2週間後、○○社長からの“お別れパーティー”の電話でした。

私はお寺の娘として生まれ、小さな頃から死というものを無意識の中で意識していたように思います。「人はいつかは死ぬのではなく、いつでも死ぬ」のだと。明日私もどうなるかは分かりませんが、今この瞬間、○○社長も私も生きていて、社長に感謝の思いを伝えることができたことは心から有難く思います。“カタチ“あるものは必ず無くなりますが、“人の思い“は決して無くなることはありません。私は社長に頂いた沢山の御恩を心に刻み、辛い時にはあの高笑いを思い出して、その一瞬一瞬を強く生きたいと思います。
社長に出会えて本当に良かった。
社長、今まで本当にありがとうございました。


私がスピーチをしてから5か月後、社長は旅立った。
亡くなるまで、大好きな釣りを楽しんで。
4年前の、このあじさいの季節に。


32歳で独立して
42歳に再就職
56歳、再スタート

○○社長、応援しててくださいね。

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