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kyo_2020
【ショートショート】『Snowflake』
見上げる暗い空から白いものが舞い降りて睫毛に引っ掛かり融けた。
「それじゃあ、ぼちぼち行こうか」
「それって、ふふっ」
顔を見合わせて笑った。もちろん狙ったわけじゃないと思うけれど。これからお墓に行こうとしていたのだ。
降り続く雪。
「一緒に行きましょう」
私がこう言ったのは除夜の鐘を聞いた直後のはだけた布団の上だった。何かを確かめ合うように抱き合っていた私たち。
生? 死? それとも別の何か……いったい何を?
それが何を意味するのかもわからないというのに。
ここに来るのをずっと躊躇ってきた。わかっていた。いつも悲しくなるからだ。
それは失恋に似ていた。ずっと前、彼が大切にしていた人の墓前で手を合わせていた時に思ったことだ。
ひとりに戻った彼を追ってここまで来てそのまま居着いた。腐れ縁というのは時にひどく残酷だ。あまりにも好きすぎてお互いそれが重荷だった十代の頃を思い出した。
懐かしさで胸が一杯になる。
失恋墓地は吹雪にかすんでいた。
(410文字)
* * *
【ショートショート】『Getcha back』から続いています。
以上、こちらからお題をいただきました。
今年もよろしくお願いします。
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