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授業の様子⑨:グローバルスタディーズ学科

本学の国際文化学部グローバルスタディーズ学科では、2年生になると、グローバル関係専攻、アフリカ・アジア文化専攻、グローバル共生社会専攻の中から専攻を選択することになります。今回取り上げる「グローバル関係概論」という授業は、グローバル関係専攻の必修授業です。

近年は、「国際化」よりも「グローバル化」という言葉のほうがよく用いられるようになっています。その背景の一つに、企業規模の巨大化が挙げられます。すなわち、一企業の経済活動が国・地域を超えて展開される「企業の国際化」にとどまらず、巨大化した企業が複数の国・地域にまたがって世界規模で活動する「企業のグローバル化」が以前にも増して現れているのです。政治や社会、環境問題についても同様で、複数の国・地域がかかわることで複雑化してきています。

本授業では、グローバル化する世界経済の中で、モノ・カネ・ヒトがどのような関係性をもって動いているかを学びます。特に、第二次世界大戦後の日本とアジア諸国との間に生じた企業活動や経済政策の変遷について学習します。学生は、まず、教員のレクチャーを聴いた上でグループディスカッションを行います。次に、グループ代表がディスカッションしたことを発表し、最後に、課題としてディスカッションの内容を提出します。

写真1:グループディスカッションの様子(撮影日:2022年10月26日)

実際のディスカッションを一つ紹介します。学生自身が企業の最高経営責任者(CEO: Chief Executive Officer)になったと仮定し、自分の会社の名前、業界、本社が立地する国・地域、外国に進出することを決めた理由、海外直接投資(FDI: Foreign Direct Investment)を行おうとする国・地域と都市名、そして投資先を選定した理由を考えてもらいました。当事者意識を持って議論をすると、講義を聴いている時には気づかなかった重要な視点に気づくことができます。また、ビジネスマンとしてのマナーや規範も学ぶことができるようになります。

あるグループは、京都市松ヶ崎に立地し、観光業を営む「コーポKyoto」という、架空の会社を運営しているCEOになったという仮定でディスカッションをしました。海外に進出する理由は、京都の文化や街並み、雰囲気を世界に広めるためです。コロナの影響で観光客が減少した今の京都の現状を鑑みて、海外へ積極的に出て行って自らを売り込む作戦です。進出先として、サウジアラビアのリアドを選びました。サウジアラビアの人々は予定を立てるのが苦手な人が多く、旅行をあまりしない人が多いらしいという情報を得て、「時間にルーズな人が多い」彼らに対し、京都旅行の商品を企画し、提案することにしたのです。私は、お客様に対して「時間にルーズな人が多い」という表現は不適切であり、「ゆったりとした時間の使い方をする人が多い」という表現のほうが相応しいのではないかという助言をしました。「お客様を大事にする」という日本企業の精神を忘れてはならないのです。

写真2:ディスカッション内容(撮影日:2022年10月5日)

ディスカッションに参加し、レクチャーを受けた学生の感想を紹介します。「その国や地域に元々ある企業と比べると不利になることも多いけど、その中で優位性を見つけることができると成功につながるのだと思いました。」

大学では、学生が教員から一方的に学ぶ講義スタイルの授業もあります。しかし、本授業のように、学生が主体的に講義を受け、その内容をディスカッションする「楽しく学ぶ授業」を今後も心掛けたいと考えています。

写真3:ディスカッション内容を記録する姿(撮影日:2022年10月26日)
写真4:講義とディスカッションを終えて(撮影日:2022年10月26日)

2022年10月31日
ナンミャケーカイン(グローバルスタディーズ学科教員)

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