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授業の様子③ グローバルスタディーズ学科

 カインゼミ(応用演習)のテーマは「共に生きる~異なる立場を学びながら~」です。

 ゼミの基本的な方針は、関心のある内容を学生自身が積極的に追及していく環境を作ることです。そのための工夫として、学生自身どの内容に関心があるのかを気づかせるためのブレインストーミングをしました。

 言葉だけではなく、ホワイトボードにイメージ図を描いてもらったりもしています。図化することで見える化し、伝えたいことをより分かりやすく表現できるようになると思っています。例えば、「難民と移民って何が違うの?」という疑問に対して、発表担当学生は以下のような図で説明しました。つまり、本国や、ある地域で命や生存の危険(下の写真の右端の図にある⚠)にさらされ、別の国や地域に逃れた人を「難民」、一つの国や地域から別の国や地域に移り住む人を「移民」とする、という区別の図になります。

難民と移民の違いについて学生Nによる図化(2022年7月撮影)

 ブレインストーミングに使用した手法は問題分析から関心を発見する方法です。最初は、ポストイットに自分の関心のあるキーワードを書き出してもらいました。そして、全員が書いたキーワードを見て、それぞれの関連性を話し合います。重複するキーワードは重ねて貼ります。関連性を話し合った後、同じ課題であると考えられるキーワードを一つのグループとして区分します。これをグルーピングと言います。グルーピングしたら、グループ同士の関係性をまた、議論します。最後に、様々なグループのなかで最も重要な点は何だと思うか、その優先順位を考えます。もちろん、これはあくまでブブレインストーミングですから、正解も不正解もありません。

 時期をおいてまた、2回目のブレインストーミングは、学生に自分の関心事について話してもらいます。それを教員が書き出し、見える化しながら、それぞれの関心事の関係性を全員で議論します。

カインゼミにおけるブレインストーミング②(2022年6月撮影)

 一方、統計や現状を知識としても学び取る必要があります。そのため、次の図書2冊をテキストとして扱いました。もちろん、読む内容は学生自身が選定します。それぞれの学生が選んだ部分を自身でまとめ、資料(ワードでまとめる人もいれば、パワーポイントでまとめる人もいます)を使って、発表します。発表しない学生は必ず質問や意見を出したりします。1クォーター(略して1Qと言っています)では「技能実習生」について、伊藤泰郎・崔博憲編著『日本で働く――外国人労働者の視点から』(2021年、松籟社)を、2Qでは、「難民」について、根本かおる著『難民鎖国ニッポンのゆくえ―日本で生きる難民と支える人々の姿を追って』(2017年、ポプラ新書)をみんなで読み、内容について発表し、議論しました。ゼミでは書物だけでなく、実際に当事者の声を直接聞きたい、実際に交流をしたいという声もあります。これからは当事者の方をゲストにお迎えする機会もつくっていきたいと思います。

学生Kによる発表の様子(2022年7月撮影)

2022年8月1日
ナンミャケーカイン(グローバルスタディーズ学科教員)

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